くりすます!

 「じんぐるべー、じんぐるべー♪」
 「すっずが、鳴るぅ〜〜♪」
 カーテンの向こうで少女が何やら分厚いコートに着替えながら小唄を口づさんでいた。
 その足元で、ペンギンのようなぬいぐるみが合わせている。
 「こっよい、アナタとくりっす〜〜ますっぅ」
 「「ヘィ!」」
 シャ!
 カーテンが開く。
 現れたのは赤地に白い縁のあるぬくぬくなサンタコートに身を包んだ雪音だ。
 「ヘィ、えぶりわん!
 クリスマスを美味しく味わってる??」
 「雪音ちゃん、クリスマスは食べ物じゃないよ?」
 カメラ目線でポーズをつける雪音に、足元のくーがボソリとツッこんだ。
 「食べ物と一緒でしょ」
 「??」
 ぬいぐるみは主の言葉を理解不能。
 「だって美味しいものがたくさん出るじゃないの。ケン○ッキーのフライドチキンとか」
 「料理の手抜きじゃ?」
 「全長2mの巨大ケーキとか」
 「それはウェディングケーキじゃ??」
 「裸で赤いリボンだけ巻いたア・タ・シとか」
 「寝言寝てから言った方が良いよ、ゲフゥ」
 「ともあれ、なんだかんだとクリスマス。みなさんはいかがお過ごしですかぁ?」
 くーの頭を踵でぐりぐり踏みつけながら、雪音はニッコリと微笑む。
 「さて、今回のお題は『アナタにとってクリスマスとは?』です」
 「ビシバシと投稿、お待ちしております。コチラまでお気軽にお願いしますね」
 くーが指し示すのは簡易掲示板だ。
 「えーと、例えば大阪の管理人の場合だと」
 雪音は懐をごそごそとあさって一枚の紙切れを取り出した
 「うみゅ、『ギャルゲーでこの日に何も起こらないと即リセットですわ、ははは〜〜〜』だって」
 「後半の笑いが涙を誘いますね」
 「もはや現実と妄想とに区別がつかなくなってるわね、網走に送られないように気をつけてねー」
 紙切れをポイっと後ろへ放り投げて雪音は続ける。
 「ご意見を下さったお客様には、もれなくアタシがアナタのPCにプレゼントを届けてア・ゲ・ル♪」
 「プレゼント? 雪音ちゃん、そんなの用意できてたんだ」
 「ええ、もちろんよ!」
 雪音は、ない胸を偉そうに張って答え、後ろに置いていた白い大きな袋の口を開けた。
 その中身には……
 「大阪の管理人のPCで栽培されたKlezとbadtrans.bのウィルス詰め合わせセットを、そっとアナタの枕元に!!」
 「ヤメテクダサイ……」
 冬のからっ風が2人の間に虚しく吹き抜けたのだった―――


そんなこんなでドシドシ投稿、お待ちしております。
(終了しました)