CMネタ四連射

お題:『悠久幻想曲』


 トリーシャ: ローラ,ローラ! 悠久のCMが出来たのよ!
 ローラ  : え?! どれどれどれ?!
 トリーシャ: これよ,父さんからかっぱらってきちゃった。
 取り出すは一本のビデオテープ,なんとβだったりする。
 ローラ  : 早く見ようよぉ!
 トリーシャ: うん,じゃ、これをデッキにセットしてっと…
 がちゃん、うぃぃん…
 TVモニターの前で映像を待つ二人。やがて暗転していた画面がパッと映像に切り替わる。
 二人の男女が映っていた。
 『ああ…そこは…やめて…』
 『身体は止めてなんて言ってないじゃないか,あ?』
 『ん…』
 トリーシャ&ローラ: うはぁ…
 −−−閑話休題−−−
 トリーシャ: あのバカ親父! こっちよ、こっち。
 ローラ  : ホント? トリーシャ?
 トリーシャ: 今度は間違いないって!
 がちゃん、うぃぃん…




*Vol.1 缶コーヒーのB●SS編
 ここエンフィールドに限った事ではないが、特にエンフィールド学園を中心として若者に、魔術師ギルドが開発した『携帯電話』というものが一大ブームを起こしていた。
 「ふぁ〜らうぇい♪」響く電子音。
 そんないわゆる、着メロというものもまた、若者の間で流行っていたりする。
 学園の生徒であろう,そんな音を立てて笑いながら電話の向こうと話をする若者を、自警団の二人は目の前に見送っていた。
 「最近、着メロとかて流行ってるじゃないですかぁ?」
 ハルバートを肩に担ぎ、そんな同世代の若者,アルベルトは隣の敬愛する中年男にそう話し掛けていた。
 「オレ,思うんですけど、社会人でも着メロ入れてる奴っていますよね,あれって恥ずかしくないですかね? サイテ〜ですよね!」力説する彼。
 それを中年・リカルド=フォスターは微笑を浮かべたまま聞き流していた。
 不意に、その時である。
 「ちゃ〜ら〜ららら〜らら〜ら〜ら〜♪」
 勇ましい電子音が鳴り響いた。
 リカルドはおもむろに、己の懐に手を入れ、オンフックボタンを押す。
 「!?」
 「私だ、ん? トリーシャか…」
 アルベルトはそんなリカルドを横目に眺めながら、どうしても震えの止まらない手で缶コーヒーをゴクリ,一飲み。
 「…ああ、分かった。ではな」
 ピッ!
 リカルドは携帯を再び懐へ。
 クルリ,アルベルトに振り返り、変わらぬ微笑の侭、一言。
 「明日から君に会えなくなるのは寂しいな…」
 夕日が、真っ赤に燃えているようにアルベルトには見えたそうな。
 その後、アルベルトは数ヶ月、他の街に出向になったかどうかは定かではない。




 ローラ  : ま〜、アルベルトだし、良いんじゃないの?
 トリーシャ: でもね、最近通話料が家計を圧迫してるんだ…
 ローラ  : ……大変だね




*Vol.2 家庭教師のTRY・男性教師編T
 「ほんっと、子供なのよ〜」
 「そ、そうなの?」
 お昼過ぎのさくら亭,シーラはお菓子を食べながらそう言い放つパティその人を苦笑して眺める。
 ホンワカしたお昼過ぎのこの時間、ランチの時間が過ぎた事もあり、いつも喧騒に包まれる酒場兼宿屋のここは、嘘の様にシンと静まり返っていた。
 「ええと、私帰るね,お勉強の邪魔しちゃ悪いし」
 「ゴメンね、シーラ」
 席を立つ令嬢に、活発そのものを形にしたような彼女は大きく手を振る。
 同時に
 カラン
 来訪を告げるカウ・ベルが鳴った。
 現れるるはおとなしそうな少年だった。
 「あら、リオ君。こんにちは」
 「こ、こんにちは、シーラさん…」少年はおずおずと頭を下げる。
 そこにパティの元気な声。
 「いらっしゃい,先生!」
 ”先生?!”驚愕のシーラ。
 「こんにちは、パティさん。この間出しておいた課題は終わってますか?」
 「ロンモチよ!」
 シーラは呆然と、リオの教えを受けるパティを見つめる。
 ”本当に子供だったんですね…パティさん”
 でも教え方、むっちゃ巧いし…




 トリーシャ: リオ君って何気に頭良いからね
 ローラ  : でも気が弱そうに見えるのが、ちょっとね〜
 トリーシャ: そうそう! その点では………(井戸端会議モードに突入)




*Vol.3 家庭教師のTRY・男性教師編U
 「ほんっと、子供なのよ〜」
 「そ、そうなの?」
 お昼過ぎのマリア邸,シーラはお菓子を食べながらそう言い放つマリアその人を苦笑して眺める。
 「あの様子だと、彼女とかいないわよ,私にはいるとか言い張ってるけど、あれって背伸びしてるようにしか見えないもの」
 ケタケタ笑いながらマリア。
 と、シーラの表情が硬ばる。
 「どしたの? シーラ??」
 「あ、あの…」シーラの視線はマリアの真後ろ。
 「わ,私、これで失礼するね,そのお勉強の邪魔しちゃ悪いし」
 言って令嬢はそそくさとマリアの前から逃げる様にして立ち去って行った。
 「ちょ、ちょっとシーラぁ! ?? それってどういう…」
 「…誰が子供だって?」
 びっくぅ!
 ドスの聞いた声がマリアの真後ろから聞こえる。
 恐る恐る振り返る彼女。
 そこには額に怒りの四つ角を浮かべたルーが立っていた。
 「子供な私は子供っぽく復讐しようと思うが、宜しいかな?」
 言って不敵に微笑む青年は両手一杯の問題集を持っていた。
 「ひぃぃ!!」
 マリアの地獄が、始まる。




 ローラ  : ご愁傷様…
 トリーシャ: あんなにおしゃべりじゃなきゃ、マリアはホントに『令嬢』って感じなのにね
 ローラ  : (人のこと、言えるの??)




*Vol.4 家庭教師のTRY・女性教師編
 「なぁ、帰れよ」
 ピートは遊びにきた友達の二人に唐突にそう告げた。
 「ど、どうしたの,急に」
 「??」
 首を傾げるはクリスとリオ。
 「…来るんだよ」
 恥ずかしそうに、ピートは俯いて言い放つ。
 「何が?」
 「…」クリスの問いに、しかしピートは俯いたまま。
 「都合が悪いものでも?」
 「…だよ」ボソリ,リオの言葉にピートは俯いたまま何かを呟く。
 「「なに?」」
 「家庭教師が、来るんだよ!」
 叫ぶ様にして、彼は言う。
 「あ…」
 「勉強の邪魔、ってこと?」
 ピートはしかし、首を横に振る。
 「? どういうこと? ピート君?」
 「…俺はいらないって言ったのによ…団長が無理矢理…だから…早く逃げろよ、お前等!」
 「「??」」
 ピートの言葉の意味がますます分からず、首を傾げたままの二人。
 「お〜い、ピート、来たぞぉ!」団長の声が、聞こえてくる。ビクリ,ピートの体が震えた。
 「は、早く帰れよ!」
 「え?」
 「どんな先生か見てみたいなぁ」
 ピートの剣幕に、おたおたする二人。しかし…
 ズシャァ
 足音が、三人の背後に。
 「ピート君,勉強の時間…」少し間延びした、女性の声はそこで途切れる。
 恐る恐る後ろを振り返る三人。
 そこには目をキラキラを輝かせたライシアンの女性が立っているではないか。
 「え…」
 「由羅…さん?」
 「あっちゃ〜」頭を抱えるピート。
 「まぁまぁまぁまぁまぁ!! アタシったらなんてツイてるのかしらぁ〜,クリスくんもリオくんも…逃がさないわよぉぉ」
 「「ひぃぃ!!」」
 クリスとリオは、ものの見事に彼女に捕まり抱きしめられながら、ピートの学力をしかしながら心配せざるを得なかったといふ。




 ローラ  :ところでこれって、ただのCMのパクリなだけじゃないの?
 トリーシャ:さて皆さん、如何でしたでしょうか?
 ローラ  :おい…
 トリーシャ:それではまたどこかでお会い致しましょ〜
 ローラ  :ちょっと…


幕引き 幕の裏では二人の喧嘩が聞こえてくる…