ブギーポップも笑えない
「むむぅ?!」
その日、羽原 健太郎は根拠はないが電波をキャッチした。
彼はフルフルと拳を震わせ、そして大空に向かって叫ぶ!
「今日のオレはコトの他、ダジャレが言いてェ!!」
そう、丁度彼の隣を首からエンブリオを下げた『最強』が通り過ぎたのだった。
彼に発現した能力、それは『あまりに寒いダジャレによって世界を凍らせる』能力。
羽原 健太郎はターゲットを見つけてニヤリ、微笑む。
ビッシィ,今に走り出そうとする車を指差し、ダジャレが彼の口をついて出…
「僕は自動的なんだよ」
「?!」
唐突に目の前に現れた男だか女だかよく分からない、変わった衣装の人間が立ち塞がった。
「何だ、お前は?」
「それは君がよく知っているんじゃないのかな?」
左右対称な笑みすらない真剣な顔に羽原は瞬考。
「も、もしや…」
そう、こいつこそ…
「ブギーポップ?!」
一歩後ろに下がる羽原。
そんな彼を、ブギーポップはジロリと睨む。
「君のそのダジャレは世界の敵だ」
「何だって?」
「このシリアスな世界をくだらない馬鹿げたダジャレに染めてしまうなんて、『この』世界の敵と言わずしてなんと言う?」
チィィィ…
ブギーポップの袖から細いワイヤーが現れた。それを見て羽原に冷や汗が流れる。
”殺られる”
さらに後ろに下がる彼は背中に誰かがぶつかった。
「な、凪!」
「羽原…」
赤の魔女と呼ばれる背の高い彼女はしかし、彼を冷たい目で見下ろしていた。
「な、な、な、何だよ! 二人してオレがそんなに敵に見えるのかよぉぉ!!」
「私はシリアスで通ってるんだ」
「げっふぅ!」
凪のアッパーが羽原の体を宙に浮かせた。
「統和機構であっても、君は敵だ」
「げっはぁ!」
ブギーポップのワイヤーが彼を切り裂いた。
羽原はドサリと道に這いつくばる。
そして恨めしげに二人を見上げ…
「か…」
「「か?」」
「加トちゃん…ぺ!」
ガックリ、息絶える。
ひゅぅぅぅぅぅ……………
そして、
世界はこの時から氷河期に入った。
ダメだ、コリャ