ホネ?
太助は満面の笑みを浮かべて、新品のそれを見つめていた。
七梨家のリビングルームに、ででんと定位置に据えられているのは、液晶大画面32インチのテレビである。
「いやー、大きいっていうのはいいもんだなぁ」
太助はしみじみと呟いた。
前のテレビは、試練と称したキリュウによってご臨終と相成ったのである。
「そんなに大きいのはいいものか?」
「あ…」
後ろからの声に振り返ると、短天扇を手にしたキリュウその人がテレビと太助を見つめつつ立っている。
「まぁ、見やすいしね。なにより迫力あるよ」
「なるほど。では万象大乱」
短天扇によりもたらされたキリュウの能力の発動先は、
「うぉ?!」
どでん
太助の首から上の大きさが3倍余りになった。
リアルサザヱさん状態だ。
「より迫力が出ただろう?」
「こら、キリュウ、戻せよっ!」
「それがモノを頼む態度か?」
「ごめんなさい、戻してください」
「さて、どうしたものか」
「お、おい、さっさと戻してくれよ〜」
「だから、それが人に物事を頼む態度かと聞いている」
「ごめんなさいもうしません戻してください」
「さてさて、どうしたものかな」
「いい加減にしてくれー!」
「…試練だ、耐えられよ」
「何を鍛えるんだよっ」
「首のホネ?」
「……」
「……」
万難地天キリュウ。その性格は主である太助には未だ正確に掴めていない。
すまん