鋼鉄の三姉妹 番外編　−　陣内閣下ご乱心？！
著 Uma　／　挿絵 大屋 恵



　草木も眠る丑三つ時…この言葉がエルハザードの世界にあるかは分からないが王宮の廊下を夜陰に紛れて歩む一つの影があった。
　だが静かに歩いてはいるものの辺りを窺うようなそぶりはない。いやそれどころか時々思い出したように笑みを浮かべている。そしてその影は誠の部屋の前で止まり、さすがにこの時は周りを見渡し誰もいないことを確認した。
　もちろん影の主はファトラである。予め見回りの時刻は確認してあるしルーンは熟睡、菜々美は買い付けで出張中だ。
　全てがうまく進んでいることを確信しファトラは満足げに頷いた。
　「今回がラストチャンスと言う訳ではないがこのような千載一遇の機会は滅多にないからな」
　そう呟きながらドアに手をかける。誠に夜這いをかける上で最大の障害である菜々美とルーン。前者は異国の地だし後者はファトラがそれとなく勧めた酒で酩酊状態のまま寝室にいる。邪魔が入るはずはなかった。
　ファトラは素早く扉を開け中へ入り誠のベッドに近付きながら服を脱いでいく。部屋は暗ったが彼女には窓から仄かに差し込む月明かりで充分だった。
　「誠の奴、先日はこの美しいわらわの体を見せてしんぜようとわざわざ部屋を明るくしてやったというのにわらわを見た途端に気絶しおって…全く進歩がない奴じゃ」
　歩きながらぶつぶつと文句を言う。もっとも前回失敗したのはそれが原因ではなく誠の部屋を明るくしたためにその灯りが漏れ、たまたま廊下を歩いていた菜々美が異変に気づいたためである。
　ともあれその時の失敗を繰り返さないのは立派だが後のことは全く考えていない。この件は珍しく目的と手段が合致していたものの、すでに手段が目的となっておりその後に待ち受けている騒動なぞ全く眼中になかった。
　いやその騒動もファトラには好ましい（少なくとも退屈しのぎになる）ものなので気にとめていないだけなのかもしれない。或いは天性のトラブルメーカーである彼女にとって些細な事なのか…。
　ファトラはゆっくりと誠のベッドに腰掛けその寝顔を見つめた。
　「美しい…やはりわらわの夫となれるのはお主しかおらぬ。ふふふ、これからわらわが持てる技全てを持って愛してしんぜよう」
　そう言って彼女は誠の頬を撫でてからゆっくり毛布を下げる。
　いくらロシュタリアが暖かいとは言え毛布の中と外では温度が違う。誠は寒そうに両の肩を抱いた。


　「寒いのか誠？　大丈夫じゃ、わらわが心の芯まで暖めてくれよう…」
　誠の上に覆い被さるような姿勢で呟く。
　その時誠が寝返りを打とうとした。当然ファトラにぶつかり半身になれない。またファトラにしても誠に横を向かれては文字通りやりにくい。ファトラは誠の肩を押し元の位置へ戻すがさすがの誠も異変に気づいたようだ。慌てて体を起こそうとする。
　だが両肩を押さえ込まれ起きあがることができない。また瞼を開くと何か鋭利なものが目に入ってきた。驚いた誠はそれを払いのけようと手を動かすが掴んだものは柔らかだった。
　“な、なんやこれは…”
　弾力性のある『もの』を触りながら誠は未知のものに恐怖すると共に興味を抱く。だがその興味も一瞬で何者かが自分の体を押さえていることを再認識し体を硬直させた。
　「誠、そんなに力を入れるでない。痛いではないか」
　聞き覚えのある声に誠は再度目を開ける。
　にやりと笑うファトラの顔は陰になっていて見えにくいが先ほど目に刺さったと思ったものはファトラの黒髪であり更に自分の手が掴んでいる『もの』がなんであるかを瞬時に理解した。
　「どうじゃ誠、形、張り共に申し分なかろう？」
　しかしながらその言葉は誠に届かなかった。ファトラが言い終える前に気絶してしまったのである。
　誠の手はファトラの胸を触ったままであったが体から力が抜けている。おかしいと思ったファトラが誠の頬に手をやるとねっとりとした感触があった。ファトラは溜息をついた。
　「ったく…このたわけは…気絶だけでなく鼻血まで…純情にも程があるぞ…」
　そのまま放っておくかとも思ったが気が変わったらしい、服を着てから誠の顔を拭き血で汚れた枕を近くにあったクッションと替えてやる。ファトラにしては大盤振る舞いだ。最後に毛布を掛けようとしたとき再び誠が目を覚ます。
　先ほどと同じく傍にいるファトラを見て誠はぎょっとした。
　暗いためその姿をはっきり見ることができないがファトラに誠の緊張感が伝わってくる。彼女はそっと嘆息した。
　が、次の瞬間ファトラは鋭い目で窓の方を見た。もちろん誠には何のことだか分からない。体を起こしファトラに声をかけようとしたとき窓がノックされた。
　身構えようとするファトラに対し誠はのんきにそちらの方を向いた。
　「はい、どなたでしょうか？」
　これまたなんの躊躇いもなく返事を返す。驚いたのはファトラである。慌てて誠に抱きつくようにしてベッドの反対側へ身を隠した。
　しかし誠にしてみればいきなり押し倒されたような感じだ。誠は起きあがろうとしたがファトラに押さえつけられ更に口も塞がれ声も出せない。
　逃げようとした誠だったがファトラが自分ではなく窓の方を注視していることに気がついた。とは言えファトラに問い掛けることもできない。誠はファトラの緊張が伝染したかのように体が堅くなった。
　再び窓がノックされる。ファトラは誠の方を向き唇に指を立てて静かにするように合図しゆっくりと誠から離れようとした時、今度はノックだけでなく声も聞こえてきた。
　「誠さん、誠さん、夜分にすいません。開けていただけませんか」
　聞き覚えのある声にファトラの力が抜ける。体を起こし誠を解放した。
　誠が急いで窓を開けるとそこには月明かりをバックにイフリーナが立っていた。
　「どないしたんやイフリーナ、こんな夜更けに。何かあったんか？」
　イフリーナは何から話して良いのか分からず困ったような表情をしている。どうしようと誠が思い始めた頃ファトラが声をかけた。
　「夜は冷える。早く窓を閉めよ」
　はっとしたように誠はイフリーナを招き入れ窓を閉めた。いつの間にやら部屋の中央ではクッションを背にファトラが部屋の主のように座っている。誠とイフリーナは並んでファトラの前に腰を下ろした。
　「どうしたのじゃイフリーナ。三日前にバグロムへ戻ったばかりではないか。しかもこんな夜半に尋ねてくるとは非常識であろう」
　誠は自分のことを棚に上げたファトラの言葉に突っ込みを入れたいのを我慢してイフリーナを促した。
　「何かまずいことでも起きたんか？　それとも陣内に折檻でもされたんか？」
　イフリーナは首を振ったがやはりすぐには話せない。考えがまとまらないようであるが、部屋には誠だけでなくファトラもいる。彼女の気が短いことはイフリーナも良く知っていた。意を決したように顔を上げ一気に話し出す。
　「ご主人様が変なんです！朝から変な格好をして変な言葉を話して凄く変なんです！」
　ファトラと誠は顔を見合わせた。
　「イフリーナよ、陣内が変なのは今に始まったことではなかろう」
　「そうやでイフリーナ、もう少し詳しく話してや。まずはどんな格好をしとるん？」
　「はい…え〜っと、お顔を真っ白に塗ってですねえ」
　「白い顔？」
　「そうなんです。それに目の上の方に黒丸を描いてて…あれって眉なんでしょうか？」
　「顔を白くして、黒点眉…」　誠は首を傾げる。
　「それだけじゃないんです！歯がみんな真っ黒なんです！！」
　絶叫せんばかりのイフリーナの言葉に再び顔を見合わせる両名。誠はそのデザイン（？）に思い当たる節はあった。だが余りにも意外すぎるしそんな格好をする意図が見えない。
　「そして真っ黒なお口で『 ほっほっほっほっ』とゆっくり笑うんです…もう私怖くって…あ、そう言えば昨日黒いキノコを食べてましたけど歯が黒くなったのはそれが原因でしょうか？」
　「黒いキノコを？いやそんな事はないやろうけど、その黒いキノコって一体なんやろ？」
　この言葉にファトラがにやりと笑う。だが誠とイフリーナは気づかない。もっともイフリーナの場合は気づいたとしても深く考えることはないだろうが。
　誠の問いに一生懸命答えようとするイフリーナ。ファトラはそれを黙って聞いているように見えるが実は必死に笑いを堪えていた。
　そして脱線しまくったイフリーナの話をなんとか聞き終えた誠が困ったような顔で話し始める。
　「イフリーナ、陣内のその恰好は僕らの世界で言うところの『公家』や」
　「公家ってなんですか？」
　「大昔、朝廷に使えた貴族のことや」
　「はあ、それで朝廷ってなんですか？」
　「天皇を中心とした政治や」
　「天皇ってなんですか？」
　きりがない。それでも誠は説明を続けようとしていたがファトラが割り込んだ。
　「陣内がその『公家』とやらのコスプレをしておかしな、まあそれはいつものことであるがの。とにかく普段より異常さが増しておるのじゃな」
　「は、はい。その通りです。お声も甲高くて間延びしているし歩く時もゆっくりで…」
　再び同じ内容を繰り返し話そうとするイフリーナを制してファトラが言葉を続けた。
　「そこで誠にそのおかしな陣内を何とかして欲しいのじゃな」
　「はい！その通りなんです。誠さん、お願いですからご主人様を元に戻して下さい。私このままでは…怖くってお城へ戻れません！」
　イフリーナの懇願に誠は困ったような表情を見せる。
　「まずは原因を特定せなあかんけど本人に会うんは難しそうやしなあ…となると他にそんな事例がないか調べるしかないかなあ…」
　自信がなさそうな誠にイフリーナは不安そうな顔を向ける。所が意外にもファトラが二人を元気づけるように声をかけた。
　「誠、一人で考え込んでもどうしようもあるまい。公家とか言うのがお主の世界のものなら藤沢にでも相談してはどうじゃ。それに今日はもう遅い。明日にせよ」
　「有り難うございます、ファトラ様。なんとお礼を言って良いのか…マリエルちゃんの事といいお世話になりっぱなしで…」
　一生懸命頭を下げるイフリーナに対しファトラはいつになく控えめな態度で返す。
　「よい、構わぬ。誠、しっかり面倒を見るのじゃぞ。イフリーナ、ここにいる間はいつもの部屋を使うが良い。今夜はゆっくり休んで明日に備えるように」
　それだけ言って部屋を出ていくファトラ。二人は深々とお辞儀をした。
　「なんやかんや言っても第二王女だけのことはある。さすがやなあ」
　「そうですねえ。ほんとにお優しい方ですよねえ」
　感心する二人であったが、部屋から離れたファトラが爆笑していたことを彼らは知らなかった。


　翌日、朝食を取った誠達は藤沢の部屋を訪れた。思った通り酒瓶が散乱している部屋にミーズが来ている。
　イフリーテスがいない隙を狙ってのラブラブ攻撃を仕掛けていたミーズは誠とその後ろにいるイフリーナを見て一瞬顔が曇るが、藤沢の手前もあり歓迎の言葉を述べた。
　それに対し藤沢はあからさまに安堵の表情を見せる。さすがの誠も苦笑を隠せないがすぐに事情を説明し何か良い案がないものか相談した。
　「陣内が公家の格好をしている？」
　誠の話を聞いた藤沢は首をひねった。隣にいるミーズも同様であるがこちらは話を半分も聞いていない。
　「そうらしいんです。あいつに何があったのかは知りませんがイフリーナが怖がってまして」
　その言葉に大きく頷くイフリーナ。必死の形相だ。
　「誠さん達はご覧になっていないので分からないと思いますが、ほんっとに恐いんです。あのご主人様のお顔…昨夜も夢に出てきて私を追いかけてきたんです。そしてあの黒いお口で私を食べちゃうんです。こんな事が続いたら私死んじゃいますぅ」
　「そ、それはたまらんな」
　一瞬隣に座っているミーズを見て話す藤沢。追いつめられると言う点に共感を抱いたようだ。
　「先生、ミーズさん、何かありませんか？僕もお歯黒の陣内はちょっと想像しとうないし」
　「そうは言ってもなあ…」
　「そうですわよねえ…」
　はっきりしない二人の答えにイフリーナは大きな目を潤ませ始めた。それを見た藤沢が慌てて話し出す。
　「な、なあ誠、いくら陣内でも唐突にそんな格好はしないだろ。かと言って何か考えがあったとも思えんのだが…」
　その先が続かない。期待していた誠の肩が落ちる。
　「やっぱり本人に会うしかないんですかねえ…」
　陣内のことは心配ではあるが面会するのには抵抗があるらしい。
　「そうだなあ…何か変なもん食ったとか、頭を打ったとか、そんなとこじゃないかと思うがやはり実際に見てみないと分からんかもなあ…だがもしもだ、陣内がまともではなかったら会ったところで意味はないぞ。こちらの問い掛けにちゃんと答えてくれるとは思えんからな」
　「逆に正常やったとすると何か考えがあったわけでその時は理由が分かりますね」
　「しかしそれはお前をおびき寄せる罠だった、てことになるかもしれん」
　「そんな先生、イフリーナが来たんは僕をバグロム城へ連れて行くためやと言うんですか！」
　「え〜っ！私がここに来たのはご主人様が心配だからです。決して罠とかそんなんじゃありません！！」
　二人の、特にイフリーナの目に涙をためての訴えに藤沢も言い過ぎたかと思い素直に謝った。
　「ねえ藤沢様、ここはストレルバウ博士のように博識な方のご意見を伺ってみるのはいかがでしょうか」
　一見まともなミーズの提案であるが、実のところは誠とイフリーナを早く追い返したいと言うのが本心である。
　「すんません。イフリーナがいますのでストレルバウ博士に相談するんはちょっと…。それに博士は今日は会議で忙しいそうやし」
　ミーズの気持ちが分からない誠は素直に答えを返す。当然ミーズは残念そうな表情をしているが誠にその真意が分かるはずはなかった。
　「あ、あのう…」
　今度はイフリーナがおずおずと口を開く。
　「アフラさんは何かご存じないでしょうか…」
　その言葉にミーズはぱっと顔を輝かせた。
　「そうですわ！アフラなら何か分かるかも！あの子はいまアーリマンの泉へ骨休めに行ってるからすぐに出発すると良いわ」
　「分かりました。ではすぐに準備をして…」
　返事をして腰を浮かせようとした誠に藤沢が声を掛けた。
　「待て、誠」
　「なんでしょうか？」
　「お前達二人だけだと心配だから俺もついて行ってやる」
　藤沢の言葉は第一にはミーズと二人きりになるのを避けたいというのがあるが、誠がイフリーナと二人きりになるということに気づいていないからでもある。
　アフラに会うのが目的とは言え二人だけでアーリマンの泉へ行ったことがルーンや菜々美に知れたらどうなるか分かったものではない。
　思った通りミーズが悔しそうな顔で自分も同行する旨を告げるが藤沢にしてみれば彼女と二人きりになるよりは数倍ましな状態なのかもしれない。
　そしてそう言うことに疎い誠とイフリーナは喜んで藤沢達とアーリマンの泉を目指して出立するのであった。


　「ディーバよ、イフリータはどこにいるでおじゃる」
　甲高い声でゆっくりと問い掛ける陣内。袴姿で頭上には奇妙な冠を載せ手には扇子、そして顔を白く塗った上に丸い眉を描きお歯黒であった。
　明らかに尋常ではないのだが声を掛けられたディーバは臆することなく返答する。
　「さあ知らぬのう。今朝ほどから姿が見えぬから陣内殿の命令でロシュタリアにでも向かったのかと思うておったが」
　「そうか…困ったものよのう、きゃつがおらぬと『えるはざあど征服計画』が進まぬでおじゃる」
　口調だけを聞くととても困ったようには聞こえないのだがディーバも同調し眉を寄せる。
　「かなり遅れておるのかな陣内殿？」
　「いやそれほどではないでおじゃる。今朝閃いた作戦であるから本日中に戻ってくれば問題はないでおじゃる」
　「そうか？それでは問題はないのだな」
　陣内の甲高い声を気にすることなく確認する。陣内は大きく頷いてからカツオたちの方を向き指令を出した。
　「勇猛なるバグロムの兵達よ、麿はこれよりロシュタリアへ進行するでおじゃる。牛車をこれへ」
　かなりずれている…だがカツオ達はディーバ同様気にすることなく命令に従うのであった。


　「陣内殿、これが牛車というものか」
　バグロム兵達が引く車に揺られながらディーバが問い掛ける。牛車とは文字通り牛が車を引き、台車の上に小さな小屋が載っているのだが陣内とディーバが乗っているそれは大八車の上に座布団を敷き傘を立てているだけだ。第一牛ではなく虫が引いているのだから虫車と呼ぶのが妥当であろう。
　「そうでおじゃる。雅な乗り物ゆえ一般庶民が乗ることは叶わぬのでおじゃる」
　「そうか…だが速度が遅いのではないか？この分ではロシュタリアはおろか聖大河のほとりへ着くのにも数日はかかるぞ」
　陣内が牛車と言い張る手引き車は、形こそ牛車とは違うものの速度だけは牛車同様ゆっくりとしたものであった。また車の前後にはバグロム兵達が手に槍や旗を持って二列に並び、その進んでいく道の両脇にはこれまた多くのバグロム兵が正座して頭を下げている。まるで大名行列だ。
　また沿道に並ぶバグロム達は行列が通り過ぎるとすぐに立ち上がって前の方へ進み、行列がやってくるとまた正座して頭を下げる…これを延々と繰り返すのだった。


　陣内達が隊列を組み聖大河を目指している頃、ロシュタリア城を出発した誠達はアーリマンの泉へ向かっていた。誠と藤沢は二回目だがイフリーナは初めてである。早く用事を済ませたいミーズが強引に借り出した高速艇の中でイフリーナだけが浮かれていた。
　「そうなんですかぁ、泉って言うからおっきな池かと思いましたが温泉なんですねえ」
　「それも一つやのうて色んなお風呂があるんや」
　はしゃいでいるイフリーナに対し誠は余り元気がない。まあ以前行った時はろくな事がなかったので仕方ないかもしれない。
　一方藤沢はミーズから酒を勧められ上機嫌であった。酔った藤沢はなんの役にも立たないが今回は力仕事はないと思われるため誠も何も言わない。それよりも陣内の奇行が気になっていた。
　ちなみに高速クルーザーを操縦しているのはアレーレである。後で道中の一部始終を報告させるためファトラが寄越したのであるがそんなこととは露知らず再び誠達はファトラに感謝していた。


　「皆のもの、ロシュタリアはもう少しでおじゃる。がんばるでおじゃる」
　発破を掛けているらしい陣内の言葉は例のごとく甲高くゆっくりしており元気づけられるとは到底思えない。
　「そう言うが陣内殿、聖大河さえまだまだ先であるのだが」
　言いにくそうに口を挟んだディーバへ陣内がこれまたゆっくりと顔を向ける。
　「焦らないでおじゃる。ロシュタリアは逃げぬでおじゃる。こうして進んでおれば必ず到達するので心配はいらないでおじゃる」
　確かにその通りだ。納得したようにディーバは頷きお茶をゆっくりと飲み干した。


　珍しく大したトラブルもなく目的地へ着いた誠達。さすがにイフリーナも緊張したのか口数が少なくなる。しかしながら藤沢は既にできあがっていた。
　「あらあら藤沢様、こんな状態で温度が高いところへ行ったら体に悪いですわ。誠さん、私は藤沢様を休憩所の方へお連れしますから後はよろしくね♪」
　魂胆見え見えのミーズであるが酒に目がくらんだ藤沢は喜んでミーズについて行く。
　「あーあ、先生達行っちゃいましたね。どうするんですか誠様」
　一見無邪気そうな顔を見せるアレーレ。彼女は監視する対象が中年カップルではなく誠であることを忘れることはなかった。
　「そうやなあ、ここまで来れば僕たちで大丈夫やろ。はよアフラさんをさがそか」
　「そうですか、では誠様これをお召し下さい」
　そう言ってアレーレが出したものはファトラの衣装である。
　「な、なんやこれは女もんの服やないか」
　「そうですよ、だってここ女湯じゃないですか。そんな一目で男性と分かる格好では痴漢と間違われますよ」
　なんとなく筋が通ってそうな話である。確かに前回は誠は女装していたが藤沢は普段の格好であった。その事を誠はすっかり忘れてしまったようで考え始める。
　「ほら誠様早くしないと日が暮れちゃいますよ」
　「な、なあアレーレ、きみとイフリーナでアフラさん探してくるいうんはどうやろ」
　泣きそうな顔で頼み込む誠。だがアレーレは誠の必死の願いを一蹴した。
　「無理です。私もイフリーナお姉さまもここは初めてなんですよ。道に迷っちゃったらどうするんですか」
　イフリーナはこの会話の間じっと潤んだ目で誠を見つめている。これが誠への無言のプレッシャーとなり彼は泣く泣くアレーレに従い服を着替え始めた。
　以前誠達が泉へ来た時には多くの神官達がいたのだが今は時季外れで誰もいない。ほっとする誠に対しアレーレは残念そうな表情だ。一方イフリーナは珍しそうに回りを見ては質問をしてくる。
　回答するのに夢中になりそうな誠を諭すのはアレーレの役目であった。
　多少脱線しつつも一生懸命アフラを探す誠達。だがなかなか見つからない。人がいないのは誠にとってはラッキーである反面、尋ねることが出来ないためいささか効率が悪かった。


　「これディーバよ」
　尋ねる陣内の顔は真っ白に塗られているため表情が読めない。加えてその甲高い声は抑揚に乏しく機嫌の善し悪しすら判断することも出来なかった。
　「何かな陣内殿」
　一切迷うことなく返答するディーバ。彼女は陣内に全幅の信頼を置いており彼の奇行すら何か意味があるものと思っていた。
　「ここはどの辺であろうのう」
　よく分からない表情であるがどうやら真顔で言っているらしい。
　「はて…陣内殿が知っておるものと思うておったが…分からぬのか？」
　「知らぬでおじゃる」
　この言葉にさすがのディーバも顔色を変え大声を上げた。
　「誰かおらぬか！」
　寄ってきたバグロム兵にすぐさま現在地の確認をさせるべく指示を出す。命令を受けた兵達が散っていく様を見て安心するディーバであったが、陣内の言に従い、彼らが戻ってくるまでその場に止まろうとせず進軍を続けてしまう。
　このため偵察に出た兵達が戻ってきてもすぐに合流できずますます迷走するのであった。


　さてアフラを探してアーリマンの泉を駆け回る誠達はようやく檜風呂にゆったりと入っているアフラを発見した。ほっとした表情の誠とイフリーナであったがアレーレは妖しい目つきでアフラを見ている。
　アフラはアレーレの視線を無視して誠に話し掛けた。
　「どうしました誠はん、汗ぐっしょりで。風邪引いたらいけませんから一緒にお風呂はいかがどす？」


　もちろん誠にそんな度胸がないことを承知で言っている。案の定、誠は首まで真っ赤になって断るがアレーレとイフリーナは大喜びだ。
　「喜んで入らせていただきます！」
　「アフラさん、私もいいですか？私温泉って初めてなんです」
　二人揃ってテンションが高い。さっさと脱衣所で服を脱いできた。慌てて顔を背ける誠。鼓動が速くなり血圧も高い。
　今にものぼせそうな誠を見てアフラもやりすぎたかと思いアレーレとイフリーナにタオルを巻くよう告げる。
　アレーレは残念そうに、そしてイフリーナは理由も分からずきょとんとした表情で従い誠は安堵の表情でアフラ達の方へ向いた。
　と、その時アレーレが巻いていたいたタオルをはらりと落としポーズを取る。それを見た誠はゆっくりと後方へ倒れてしまった。
　「アレーレ、ふざけるにもほどがありますえ」
　アフラは倒れた誠を抱き起こしながら注意する。
　「てへっ、すいません。余りにも誠様が思い詰めたようなお顔をしていたものですから和ませようと思いまして」
　もちろんそうでないことは明白であるがアフラはそれ以上何も言わず誠を介抱した。イフリーナも心配そうな顔で誠を覗き込んでいる。
　ようやく目を覚ました誠だったが、二度と気絶しないよう目隠しをされてしまう。もっとも誠は内心ほっとしていて文句一つ言うことはなかった。
　「それでなにようどす？わざわざこんなとこまで女装までして」
　女装に力を入れて話すアフラ。悪気はないのだがおどおどして落ち着かない誠を見ているとついからかってみたくなる。
　目隠しをしているためアフラの表情が分からない誠はその事に気づかず赤くなりながらこれまでの経緯を説明した。傍ではイフリーナが誠の話に頷きながらアフラを見つめている。
　「陣内がおかしな扮装をして異常な行動をどすか…」　藤沢達と同様首を傾げるアフラ。
　「そうなんです！何か分かりませんかアフラさん。このままじゃ私おうちに帰れません」
　イフリーナはお歯黒の陣内がよほど恐いらしい。アフラはイフリーナに同情しつつも冷静に誠に質問を繰り返す。とは言え誠も直接見た訳ではないので詳しく話せない。
　どうやらイフリーナに訊くしかないと判断したアフラは一度深呼吸をしてからイフリーナの方へ顔を向けた。
　「なあイフリーナ、あんたがバグロム城へ戻ってからの事をできるだけ詳しゅうしておくれやす。どんな些細な事でも、あんたが関係ない思うた事でも構いまへんえ」
　どうやら覚悟を決めたらしい。イフリーナになんでも良いから話せと言う。思った通りイフリーナのとりとめのない話が始まった。


　「陣内殿…このような場所で食事をしている場合ではないように思うのだが…」
　珍しくディーバが陣内の顔色を窺うように話しかける。だがその白く塗られた顔からは何も読み取れない。ディーバは再度問い掛けようとしたが先に陣内が口を開いた。
　「ディーバよ。偉人達も昔から『腹が減っては戦は出来ぬ』と言っておじゃる。今は動く時ではなく食事と睡眠が必要なのでおじゃる」
　「睡眠とな！？」
　驚きの表情で聞き返すディーバ。それに対し陣内はゆっくりと頷く。
　「やはり昔から『寝る子は育つ』言われているでおじゃる。寝ることにより麿が軍団も成長するでおじゃる」
　もう何がなんだか分からない。諦めたようにディーバは首を振り茶碗に手を伸ばした。


　「イフリーナ、今の所をもう一度話して貰えますか？」
　辛抱強くアフラはイフリーナの話を聴いていた。同じようなことや脱線したのではと思われる部分もあったが、それでも何も言わず一生懸命聴いている。誠もイフリーナの話に集中していたがアレーレは湯船に浸かったまま何度か居眠りしてしまいその度に慌てて体を起こしていた。
　もう小一時間は過ぎているのだがこれと言って収穫はなさそうだった。少なくとも誠はそう思っていたのだがそれまで静かに聴いていたアフラが突然口を開いたので思わずアフラの方を向く。が、目隠ししているため彼女の表情等窺い知ることは出来ない。それでも声の感じから何か期待させるものがあった。誠はイフリーナとアフラの会話に集中した。
　「今の所ってどこでしょうか？」
　イフリーナは小首を傾げながら質問する。アフラはいやな顔一つせずに再度丁寧に説明した。
　「はあ、昨日の晩ご飯の様子とメニューですか…え〜っと昨夜はいつも通りご主人様とディーバ様がちゃぶ台に向かい合って座ってですねえ…」
　要領を得ない話が始まったがアフラはその一言一言を確かめるように頷きながら聴いている。時折質問をしていることから重要な局面らしい事が分かるが同じ話を聴いている誠にはその重要さが理解できない。彼はイフリーナの力になっていないという焦燥感を感じ始めていた。
　「…それでですねえ鍋料理はご主人様の大好物なのでご主人様はすっごく機嫌が良かったんです…ご主人様の笑顔を見て私も楽しくお食事していたんです…なのに朝起きたらあんな風になっちゃって…お願いですアフラさん、誠さん。ご主人様を元に戻してください！」
　アフラは半分泣きそうになっているイフリーナに優しく問い掛けた。
　「大丈夫や。それでその鍋の材料やけどどんなもんが入っていたか覚えてます？」
　「はい…お野菜とお肉と…」
　「もう少し細かくお願いできますやろか？」
　「はい、えっとお肉は鳥のもも肉とお野菜は畑から持ってきたものでいつもと同じような…あ、そうでした。この間お茶とお菓子を戴いた時に一緒にキノコも入っていたんです。それを入れました」
　「キノコ？詳しく話してもらえます？」
　「ご主人様は『しいたけ』とか仰っていたんですけど私は初めて見た種類で色は真っ黒で形は…」
　イフリーナの説明を聞いたアフラはため息をつく。何事かと思った誠であるが目隠しを取るわけにもいかずおとなしくアフラの言葉を待った。
　「その黒いキノコはあんたはんがバグロム城に戻る際にファトラはんが持たせたんやね？出所は菜々美はんやろうか…？」
　「はい、菜々美さんはご主人様の大好物だからと仰っていましたけど…あのう、あの黒いキノコを食べたんで歯が真っ黒になっちゃったと思ったんですけど違うんでしょうか？」
　「まあ当たらずとも遠からずやね。イフリーナ、安心してよろしゅうおす。帰った頃には陣内は元に戻っているはずや」
　「ほんとですか？」
　不安そうな声で聞き返す。
　「大丈夫や。ただおかしかった時の記憶はないと思いますから何も話さない方がええやろ。それからここに来たことも内緒にしとき。藪はつつかないようにせんとね」
　「はあ…では私は戻ります…お風呂を有り難うございました…」
　半信半疑のイフリーナ。それでもアフラと誠に礼を言って湯殿を後にした。だがよく分からない点では誠も同様である。アフラの方を向き尋ねてみる。
　「アフラさん、その黒いキノコって一体なんです？」
　アフラはアレーレの方をちらと見てから話し出した。
　「恐らくそれはブラックマッシュルームやと思います。食べると強い幻覚症状を起こす事もあるのでロシュタリアでは所持や販売は禁止されてますえ。多分菜々美はんはその事を知らずに偶然入手したんやなやろうか。そしてそれに気づいたファトラはんがイフリーナに持たせて証拠隠滅と陣内への嫌がらせの一石二鳥をねろうたと思うのやけど…なあアレーレ」
　突然話を振られたアレーレだったが冷静に否定する。
　「そんな事はございませんわ。ブラックマッシュルームはロシュタリアではご禁制の品。菜々美お姉さまが偶然に入手できるものではございませんもの。恐らく他から紛れ込んだのではないでしょうか」
　「まあそう言うことにしときまひょか。所でうちはあと二、三日逗留していきますが誠はんはどうされますか？」
　答えは分かっているのだが敢て訊いてみる。誠は案の定うわずった声でロシュタリアへ帰ると告げ手探りで出ていった。それを見送ってアレーレが話し掛ける。
　「アフラお姉さまも意地悪な事を仰いますね。最初から答えは分かってるじゃありませんか」
　「あんたかてうちの答えは分かってるはずや。ファトラはんの傍におるんわ伊達やないやろ」
　「そんな事ございませんわ。私はファトラ様の愛人に過ぎませんから。では私も失礼致します。お休みの所を誠に申し訳ございませんでした」
　「そうどすなあ…今回のことは貸しにしときまひょ。ファトラはんにはそう伝えてや」
　「分かりました。では失礼致します」
　丁寧に頭を下げ出ていくアレーレ。あとに残ったアフラがそっと呟いた。
　「ファトラはんにも困ったもんやね。菜々美はんが絡んでいたとは言えイフリーナが来た時点でほんまのことを言うても良かったやろうに…ほんに騒動が好きな方やね」
　そしてアフラはゆっくりと体を伸し再びのんびりと湯船につかるのであった。


　いつものようにバグロム城の屋根に降り立ったイフリーナ。アフラの言葉を信じない訳ではないものの階段を降りていって良いものか悩んでいた。
　だがいつまでもいる訳にもいかないし思い切って扉を開けてみる。中はいつもと同じような雰囲気であるが油断はできない。丁度近くにいたバグロム兵を捕まえ尋ねてみた。
　「はあ…今まで演習を…えっ！徒歩で移動していたんですか？それで…ほんとですか！？」
　イフリーナは現在は陣内も元の服装でいつもと変わらない様子と聞き、飛び跳ねるように大広間へ向かう。
　そこにはブレザーを着た陣内がやや疲れたような顔でディーバと一緒に座っていた。イフリーナを見つけた陣内が叫ぶ。
　「イフリータ、どこへ行っていたのだ！ったく誠の策略に難儀していたというのに…」
　悔しそうに話す陣内の前でイフリーナは深く頭を下げ謝った。もちろんアフラに忠告されたとおり余計なことは言わずただ謝罪しただけである。だがそれで陣内は満足したようだ。それ以上追求することはしなかったが代わりに愚痴りだした。
　「誠め、薬物を用いて我がバグロム軍を翻弄するとはなんと卑怯な奴！今度会ったらただではすまさんぞ！」
　陣内は怒っているような口調ではあるが、表情を見る限りそれほどでもない。おかしいなとイフリーナが思っていると
　「今日はもう疲れた…このような日は鍋に限る。ディーバよ、準備は出来ておるか？」
　「ああ、いつでもOKだ」
　”なるほど、ご主人様の好物の鍋料理だからそれほどご機嫌が悪くないんだぁ”　とイフリーナが思っていると具の中に黒いものが見えた。確かめるまでもなく ”黒いキノコ” である。
　慌ててイフリーナは止めようとしたが残念ながら一歩及ばず材料は煮立った鍋の中へ入れられてしまった。
　「どうしたイフリータ、変な顔をして？」
　「い、いえ何でもないです…あ、あの私ちょっとお腹の調子が悪いので今日はこれで失礼させていただきます！」
　一方的に話したあと頭を下げて小走りに部屋を出ていくイフリーナを見送りながら陣内とディーバは顔を見合わせた。　
　「腹の調子が悪いだと？機械にそんなことがあるのか？」
　「鬼神だからそう言うこともあるかもしれぬ。それよりも陣内殿、ゆっくりと鍋をつつこうではないか。今日は疲れた」
　「それもそうだな。それにしてもこんな美味い鍋を食えんとは可哀想な奴だ…おお！今日は私の大好きな椎茸がいっぱい入っているではないか」
　「陣内殿の好物で、また健康に良いとも言っておったから残りを全部用意させた。何またイフリータに買いに行かせれば問題なかろう」
　「その通り！さあ今日は食って食って食いまくるぞ。きゃはは、きゃははははは…」
　「ほーっほっほほほほ…」

　高笑いしながら鍋を囲む二人を後目にイフリーナは夜逃げの準備をしていた。身の回りのものを袋に詰め誰にも見つからぬようそっと部屋を抜け出し空へ舞う。


　翌朝、着流しにサングラス姿の陣内が怒鳴っていた。
　「イフリータ！イフリータはどこにおるんじゃあ！！」
　陣内の回りはさらしを巻いたバグロム兵が守るように取り囲んでいる。そして隣には着物をきちっと着込んだディーバがいた。
　「なあ陣内殿…」
　「なんじゃディーバ、ワシは忙しいんじゃけん用件は手短にな」
　「今日はなぜこのような恰好をしておるのかな」
　「なぜやてぇ！？これからロシュタリア組へカチコミに行くんじゃ！それなりの準備が必要じゃろうが！」
　怒鳴り散らす陣内に圧倒されるディーバ。それ以上は何も言わず大人しくする事に決めた。
　「おら！カツオにタラオ！とっとイフリータをここに連れてこんかい！今日こそ誠のタマを取るんじゃあ〜！！」
　夕食の鍋で大量のブラックマッシュルームを摂取した陣内が正気に戻るまで八日を要した。その間バグロム城では虚無僧、新撰組、モビルスーツ、そして女子高生…様々な陣内が闊歩していたという。


了

---

あとがき＆感想

　瓢箪から駒…実はこの作品はこの言葉がぴったりだったりします。
　昨年春くらいだったと思いますが『藤の庭園』のBBSで『着流し』と『平安貴族』姿の陣内が話題に上がったことがあります。
　その時にネタが浮かびかけたのですが、大屋恵さんにイラストをお願いしたところ描いて下さると快諾を戴き俄然やるになったという、まあ少々不純な動機で書き始めた作品でした。
　色々あって遅れたのですが（汗）大屋さんから素晴らしい挿絵を戴きここに完成！
　大屋さんにはお忙しい中、しかも『お歯黒陣内』という大屋さんには耐え難い陣内像を描いていただき感謝感激です。
　改めてお礼申し上げます。
　またこの作品は『番外編』となっており本編とは直接関係はないものの、設定が本編の後となっているため若干ネタばらしにもなってます。
　一番の例がストレルバウ博士でしょう。
　本編では犯罪者扱いとなっていますが無事（？）復帰できているようです。
　その辺りの話は大体できているのですが…すいません。近いうちに書きたいと思っておりますのでお待ち下さい。
　ではまたエルハザードの世界でお会いしましょう。　―――　Ｕｍａ

　この度はＵｍａさんの素敵小説の挿絵を描かせて頂きありがとうございました♪
　もう金輪際「お歯黒閣下」というおぞましいものを描くことは無いと思いますが、描き終わった今ではいい想い出になったと思います。（泣笑）
　お目汚しでした。　―――　２００２年秋．大屋　恵

　お歯黒陣内を見て逃げ出さなかった『あなた』に乾杯♪
　と冗談はさておき、鋼鉄の三姉妹の番外編として書かれたUmaさんの逸品に大屋恵さんの華麗かつノリの良すぎるイラストの融合体は如何でしたでしょうか？
　これを読み終わった今、陣内指数が上昇して行くのを感じます。
　指数である１Zinnaiはコシヒカリ３ｋｇで換算してください。
　ともあれ、気合の入ったお二人に応援のメッセージ等を入れてもらえると幸いです(^^)
　気付くとあなたの隣にも陣内が　―――　2002.9.28. 元