「ナニ作ッテルンダ,マコト?」暖かな昼下がり、それは起こった。
すきすきだいすきまことさま
設定はラジオドラマの方に近い…かな?
ルーン王女の早口言葉から題名を頂きました。内容とは関係ないっす
「ああ、ウーラ。これはな、自転車っていうんや」折り曲げられた鉄の棒と自作のハンダゴテを使いながら、誠は答える。
「ジテンシャ?」
「ああ、ここのペダルに足を乗せてこうして動かすと…ほら、車輪が動くやろ? これに乗って足で走るより楽に早く移動できるんやで」
「何ニ使ウ?」首を傾げるウーラ。
「菜々美ちゃんに頼まれたんや,何でも出前に使いたいんやと。ここまで作るの苦労したんやで,藤沢センセの酔いを覚まして力借りたり、足で電気起こしながらハンダゴテ使ったり…ってウーラにそんなこと言っても分からんわな」言って溜め息一つ。
それにしかし、ウーラは首を横に振った。
「ヨクワカル,マコト、無理矢理作ラサレテル」冷静な猫である。
「…そんなあからさまに」
「マコト、オナカヘッタ」
「そうやな、足りない部品もあるし。ほな、早めやけど昼食べにいこか」立ち上がる誠。ウーラはそれを見て先導した。
そして部屋にはタイヤのゴム部分のない自転車が残される…。
バァン,扉が蹴り開けられた。
「誠、飯に行こうぜ!」赤毛の少女が飛び込み、叫ぶ。
勢い余って作りかけの『自転車』を蹴り倒した。
「あ、わりいわりい…」しかし答える者はいない。
「ちっ,しゃあねぇ」無人の部屋から背を向ける,がふと足を止めた。ゆっくりと彼女は振り返る。視線の先にはタイヤの外れた物体があった。
「まずいよな、やっぱ…。よぉぉし! このシェーラ・シェーラ様が直してやろうじゃねぇか!」
3分後、彼女はダッシュでこの場を立ち去ることになる。
「誠殿…おや、いないようじゃな」珍しいツーショットが誠の部屋を訪れた。
「開けっ放し,不用心な。勝手に探させて貰うか…」彼女は先程まで主のいた部屋に足を踏み込む。
「確か、背表紙が青かったのぅ」
「幻の書物『プスドモナルシア・デモヌム』が博士んトコにあったなんて、まさに灯台下暗しや」どうやら彼女、誠がストレウバウ博士から借りている本を探しにきたらしい。
「ん? 博士、これは何ですやろ?」視線が部屋の中心で止まる。知的好奇心をその瞳の奥に秘めて彼女,アフラ・マーンは『自転車だったもの』に触れた。
「はて、 その2つの輪っかは動くようじゃな。何かの測定器じゃろうか…」長い髭をさすりながらストレウバウは呟いた。
「そうでっしゃろか? 私は乗り物にも見えなくないですけど」さすが博識のアフラである。
「乗り物とな,ううむ、そうかのぅ」
「この所々熱に爛れたような跡は何か意味があるんでしょうか?」
「誠殿のやることは異世界のことが多いからのぅ。ワシには思いもつかん」
「これはハンドルみたい」アフラは『それ』に触れる。
ガラン
「「あ」」シェーラにより老朽化していたのだが、2人にはそんなことは分からない。
「どうしましょ」
「直すしか…あるまいのう」
10分後…
「良い出来じゃ」
「そ、そうでっしゃろか?」額に汗のアフラ・マーン。
「ま、まぁ多少やりすぎたとも言えなくないが…」
「ここはやっぱり…?」
「飛ぶ鳥、跡を濁さずということで…」顔を見合わせ2人は肯き…ダッシュで逃げ出した。しっかり跡は濁しているが…。
扉の影から中を伺う影が一つ。
「ファトラ様、いませんよ」その言葉に一人の少女がズカズカと部屋に踏み込む。
「うむ、アレーレ,誠の制服を探すのだ」
「制服なんか何に使うんですか?」言いながらもタンスの中を荒らすアレーレ。
「あれを着て誠に化けるのだ。そして菜奈美とシェーラを…フフフ」
「なるほど、さすがはファトラ様!」
「ほら、さっさと探すのだ…何だ? これは」ファトラは部屋の真ん中でやたらと存在感を放つ物体に呆然とする。
ピエロの服を着てドラムを持ち、メガネを掛けた人形…『自転車だったもの』である。
「これは『くいだおれ人形』ですわ」何故そんなことを知ってる?! アレーレ!
「ほう、こんなものを誠はどうするんだ?」
「うーん、やっぱり菜々美お姉様のお店の客寄せに使うんじゃないですか?」
「ほぅ、ではわらわがもっと客寄せになるように改造してやろう」
「え…?」
5分後、『完全武装された何か』がそこにあった。
本日7人目の客がこの部屋に飛び込んできた。
「誠さん、誘拐しにきましたぁ…あれ?」ゼンマイを構えてイフリータは首を傾げる。
「お留守でしたかぁ、またご主人様に怒られちゃうなぁ」ぎぎぃ、何かが動く音がした。はっと彼女は振り返る。
きゅどどどどど……
「ひょええぇぇぇ…」武装くいだおれ人形がミサイルをイフリータに向けて放つ。自動標準機能と永久機関をファトラにより与えられた『自転車』は超兵器となって古代の超兵器を襲う。
「もしやサード?!」ボケる彼女にロケットパンチが飛んだ。
「テンプルを打てるようになったのね」『あし○のジョー』も好きらしい。
「でも負けない、え〜い,かめは○波ぁ!」ゼンマイからの衝撃波の一尖! くいだおれ超兵器は壁に叩き付けられ動かなくなる。
「目標、完全に沈黙! あっはっはっはっは!」陣内笑いを真似るイフリータ。様になっていないのは言うまでもない。
はっと我に返り、彼女は壊れた人形に近寄った。言うまでもないが、自転車の面影はすでにない。
「これを見たら誠さん、悲しむだろうなぁ…どおしよう…」しばらくの考慮の後、彼女は意を決したように懐から何かを取り出す。
『セメダ○ンC』と書かれた赤いラベルの張ってある円錐型の容器。近頃プラモデルに凝っているらしい,よく見ると指の先がパリパリとしている。そして彼女は「修理」に取り掛かった。
7分後、そこにはガンタ○クを思わせる物体が残されていたという…。
床下からそいつは現れた。ぬぅっとまるで生えるように。
「復讐に戻ってきたよ、誠。地獄の底から」褐色の肌の彼女,カーリアは呟く。が、咳をしても一人…。
「また1人か…」彼女の視界には当然、『自転車』が目に入る。
「ん? このディテール,この作品から溢れ出す作者の情熱! これは今世紀最高の兵器だわ!」復活した際、思考回路に障害ができたらしい。
「でも一味足りないわね、そう、私の生体兵器を作り出す能力がこれには必要よ!」
3分後、カーリアは満足気な表情で現れた時と同様に床の下に消えていった。
「ありがと,まこっちゃん。助かるわ〜」
「あとはこのゴム(みたいな)のをタイヤに付けるだけや,あれ? 何で部屋の扉開いてるんやろ?」近づいてくる声。それよりも先にウーラは部屋の中に入る。
「ウニャニャ!!」叫び、逃げ出すウーラ。
「ど、どうしたんや?!」走り去る猫を見送る2人。そして2人は部屋に踏み込み…。
「誰が最終人型決戦兵器を作れって言ったぁぁぁ!」
「はぶしぃぃ!」そして誠は、菜々美の昇○拳に星になった…。
このエヴァ○ゲリ○ンは某遺跡に封印され、眠れる超兵器として再び日の目を見るまで、永く永く語り継がれたという。
ストレルバウ :なんか誠とアフラの口調が変じゃぞ
元 :どうも方言というのは苦手でして
ストレルバウ :CDのセリフでは『すきすきキスして誠さま』じゃ
元 :この物語はフィクションであり…
ストレルバウ :文章、下手じゃな
元 :処女作というやつですか,こうして日の目を見るのは。ここら辺でもう許してくださいよ
ストレルバウ :もっとワシの出番を増やすのなら、許してやっても良いぞ
ラブコメに出してもらえると…むふふぅ
元 :(このスケベじじいめ)
ストレルバウ :何か思ったかの
元 :いいえ、何も…