二人のアトリエ ‐海平×カトリーヌ
Written by ◆Lumi/2sUEI


 「次の課題のテーマが人物画なんだ」
 「それで僕に?」
 「そう」
 理事長室。応接用ソファーに腰掛ける海平と茜。
 その反対側には制服姿のカトリーヌ・ドブクワイエが腰掛けている。
 カトリーヌは休み時間を利用して海平にモデルの依頼に来ていた。
 「モデルかあ」
 「男の人を描いてみようと思ってね。それだと頼める人が理事長しかいないんだ」
 「やったことないんだけど、大丈夫かな」
 「座ってくれるだけで大丈夫だよ」
 「それならできそうだけど。いいでしょうかシスター」
 「もちろんです。いい経験になるんじゃないでしょうか」
 「じゃあ引き受けてくれる?」
 「うん」
 「それじゃ悪いんだけど、明日アトリエに来てくれる?」
 「明日?」
 「今日はちょっと忙しくて明日なら大丈夫なんだけど、だめかな?」
 明日は土曜日で学校は休みである。しかし…
 海平は隣に座る茜をちらりと窺った。
 「行ってあげたらどうですか?明日は特に仕事はありませんし」
 茜はいつもと変わらない穏やかな表情で答えた。
 しかし海平には茜からまるで刺すようなオーラが発せられたことを敏感に感じ取った。
 「じゃあ明日行くよ」
 「ありがとう。12時にはアトリエ空けておくから」
 そのとき授業の開始を知らせるベルが鳴った。
 「じゃあ授業があるから行くね」
 カトリーヌが去り、理事長室を静寂が支配する。
 茜は海平に擦りよると体を正対させ、その膝の上に跨った。
 「茜さん、不機嫌ですか?」
 「もちろんじゃない。明日は私と一緒にいるって約束だったでしょ」
 「でもいいんですか?」
 「生徒の願いを理事長が無視するなんて出来ないでしょ」
 「すいません」
 「大丈夫よ。埋め合わせは今してもらいますから」
 「え? 今からですか?」
 「今日はもう授業無いんでしょ?」
 茜は海平のシャツのボタンを外していく。
 「夜まで我慢できませんか?」
 「今じゃなきゃイヤです」
 まるで子どものように強請る茜に呆れながらも海平は笑顔で言った。
 「…わがままな人ですね」
 「あなたの前だけよ」
 笑みを浮かべながら茜は海平にもたれかかる。
 海平は逆らうことなく、そのままソファーに押し倒された。


 翌日。
 休日の校内には全く人影が見られない。
 そんな中、アトリエの前には海平の姿があった。
 時間は丁度昼の12時。昨日カトリーヌと約束した時間である。
 海平はドアノブに手を掛けた。
 『ガチャガチャ』
 「あれ?」
 鍵がかかっている。カトリーヌはまだ来ていないようだ。
 「理事長」
 呼ばれて振り返ると、いつものつなぎ姿のカトリーヌがこちらに駆け寄ってきた。
 「遅れてごめん」
 「いいよ、僕も今、着いたばかりなんだ」
 つなぎのポケットからアトリエの鍵を取り出しドアを開けた。
 「入って」
 海平はアトリエに足を踏み入れる。
 そこにあるのは白いシーツが掛けられたソファーだけだった。
 海平は入口に振り返るとカトリーヌに聞いた。
 「どうすればいい?」
 「そのソファーのところで待ってて」
 その言葉を聞いて海平はソファーへと向かう。
 そのときカトリーヌが後手にアトリエの鍵を閉めたことに海平は気付かなかった。


 「他には誰もいないの?」
 ソファーの前に立った海平が言った。
 「…いるわけないじゃない」
 「?」
 海平は振り返るとカトリーヌの顔を見た。
 いつもの顔と違う、何かを決意したような厳しい表情だった。
 カトリーヌはゆっくりと海平に近づく。
 距離が縮まるたびに彼女の心臓が高鳴る。
 そして、手の届くところまで近づくとカトリーヌは立ち止まった。
 「…」
 「…」
 「理事長…」
 カトリーヌは海平の両肩を掴むと、力を振り絞って海平を押し倒した。
 「うわっ」
 ソファーに倒れこむ海平とカトリーヌ。
 「カ、カトリーヌ…」
 「理事長…」
 海平はカトリーヌに組み敷かれ身動きが取れない。
 「あのね…描く側としてはモデルのことは全部知っておきたいんだ」
 「…」
 「だから、今日は理事長のこと全部調べちゃうから…」
 海平の両肩はカトリーヌにしっかりと掴まれて動かすことが出来ない。
 カトリーヌの顔がゆっくりと降りてくる。
 お互いの吐息を直接感じられる距離になると、カトリーヌは両手で海平の頬を優しく包む。
 仄かに赤く染まったカトリーヌの顔。
 「カトリーヌ…」
 「好きだよ、理事長…」
 次の瞬間、お互いの唇が重なり合った。
 ただ唇を重ねるだけのキス。
 カトリーヌはゆっくりと顔を上げると海平のワイシャツに手を掛ける。
 そしてボタンを一つ一つ外していく。
 手がかすかに震える。
 こんなことをするのももちろん初めてだ。
 ボタンを全て外し終えるとパッと開く。
 ワイシャツの下にはTシャツ。
 カトリーヌはTシャツを引っ張って裾を出すと、一気に捲り上げた。
 カトリーヌの目に海平の胸板が映る。
 「…」
 ルネッサンス時代の彫像は何度も観た。だが本物の男子の体を見るのは初めてである。
 「かっこいいね」
 ワイシャツとTシャツを脱がすと海平は上半身裸になった。
 「え…と…」
 「?」
 これまで積極的に仕掛けてきたカトリーヌの動きが止まった。
 「どうしたの?」
 「…どうすればいいのかな」
 「え?」
 海平は上半身を起こす。
 「ごめん理事長…わかんないや」
 「カトリーヌ…ひょっとして、初めて…?」
 「…うん」
 「そうだったんだ」
 「ごめん…私が始めたことなのに…」
 カトリーヌは泣きそうな表情になる。
 海平はにこりと笑うとカトリーヌの頬を撫でた。
 「無理しなくていいよ」
 海平はその胸にカトリーヌを抱いた。
 そのまま後ろに上体を倒す。
 「カトリーヌの気持ちは分かったから。僕もカトリーヌが好きだよ」
 「本当?」
 「うん」
 「よかった…ここまでして『嫌い』なんて言われたらどうしようかと思ってたんだ」
 ほっとカトリーヌの表情が緩む。
 海平はカトリーヌを抱きしめたまま体を入れ替えた。
 今度はカトリーヌが海平を見上げる姿勢になる。
 「もう一度、聞かせて」
 「好きだよ、カトリーヌ」
 海平はゆっくりと顔を下ろす。
 「理事長…」
 二人同時に目を閉じるとお互いの唇が触れ合った。
 海平は体重をかけてカトリーヌと密着し、そっとカトリーヌの髪を撫でる。
 カトリーヌは海平の背中にしがみ付いた。
 惜しむようにゆっくりと唇を離す。
 カトリーヌは目を開けると海平ににこりと微笑んだ。
 その笑顔を見て、海平は再び口付けした。
 だが今度はこれまでとは違う。
 海平は口付けすると、カトリーヌの唇を吸った。
 「んっ…」
 驚いたカトリーヌが口を開いたところを逃さず、海平は舌を割り込ませた。
 「(んっ…理事長…)」
 海平の舌はカトリーヌの舌を撫でる。
 「(な、何…)」
 そしてカトリーヌの舌を絡めとる。
 「(んんんっ…)」
 激しく動く海平の舌。
 カトリーヌの口の中は海平の思うがままだった。
 「(そんな…理事長慣れてる…?)」
 海平の舌の動きに、体全体が痺れるような感覚を覚える。
 目が虚ろになる。手に力が入らなくなっていった。


 背中のシャツを掴んでいたカトリーヌの手がだらりとソファーに落ちる。
 それを海平はゆっくりと顔を離した。
 「ねえ…ひょっとして慣れてる?」
 「…うん…実は何回かね」
 「そう…そうだよね、男の子だもんね」
 「…」
 「意外だったなあ。普段はそんなふうには見えなかったのに」
 「そんなふうって?」
 「仕事に追われてて女の子には興味がなさそうな感じだったよ」
 「そうだったんだ」
 「でも安心した。今こうして一緒にいてくれるのはちゃんと女の子に興味持ってるって事だよね」
 「うん、そうだよ。でも今は『女の子に』ではなく『カトリーヌに』だよ」
 「…嬉しい」
 今度はカトリーヌが海平に口付けを返した。
 「ねえ…一つお願いがあるんだけど」
 「うん」
 「二人きりのときだけ、名前で呼んでもいい?」
 「もちろん」
 「ええと…じゃあ、海平さん?」
 「僕のほうが年下だから君付けでいいよ」
 「うん…じゃあ後は海平君に任せるよ」
 「え?」
 「あたし、やり方知らないから」
 「ああ、そうか…じゃあ脱がしていい?」
 「…うん」
 海平はまずエンピツ簪を外す。
 次につなぎのファスナーを一気に引き降ろした。
 そしてつなぎの中に手を入れ、シャツの上からブラジャーのホックを外した。
 こんなふうに脱がされるのはカトリーヌにとってもちろん初めてだ。
 海平が余りにも、てきぱきとこなすのを見て感心してしまう。
 カトリーヌの上半身を起こす。
 エンピツ簪を外したために、まとめられていた髪が重力に従い、ふわっと垂れる。
 「かんざしをしていないときの髪形、初めて見たよ」
 「いつも纏めてるからね。そうしておかないと絵を描くときに邪魔になるから。そういえば以前海平君が夜這いにきたときは見なかったの?」
 「あの時は頭にタオル巻いてたし…あれは夜這いじゃないって何度言えば…」
 「はいはい。わかってるよ」
 海平はつなぎの肩口をつかみ引き降ろした。
 腕が抜けたつなぎはカトリーヌの背中の後ろに力なく崩れる。
 緑のシャツの裾を掴んだ海平は、ブラジャーと一緒に脱がした。
 海平の目にカトリーヌの乳房が映る。
 「きれいだよ」
 「でもそんなに大きくないでしょ。海平君は胸が大きいのと小さいのとどっちが好き?」
 「大きさなんて関係ないよ。とってもかわいいよ」
 「そう。ありがとう」
 海平は再びカトリーヌを寝かせると、下半身のつなぎを引き抜いた。
 床に落ちたつなぎは抜け殻のように鎮座している。
 そしてショーツと靴下も脱がすと、カトリーヌは一糸纏わぬ姿になった。
 「…」
 「どうしたの海平君?」
 「とっても綺麗だよ…」
 カトリーヌの全裸に海平は思わず見とれてしまった。
 透き通るような白い肌にまるで吸い込まれるような感覚になる。
 「ありがとう。ねえ、海平君も脱いで。あたしだけじゃ恥ずかしいから…」
 「うん、いいよ。脱がしてみる?」
 「え!? あ…いいよ今度で。今はちょっとそれどころじゃないから」
 「じゃあ、ちょっと待ってね」
 海平は一旦ソファーから降りて、着衣を脱ぎ始めた。
 カトリーヌはその様子をじっと見ている。
 ワイシャツとTシャツを脱ぐ。
 「…いい体してるんだ」
 続けてベルトを外し、ズボンとトランクスを下ろす。
 その瞬間、カトリーヌの視線は海平の体の一部分に釘付けになった。
 「! 何? あれは…」
 カトリーヌの目に飛び込んできたのは、海平の立派な一物であった。
 ルネッサンス時代の男性の彫像を見たことはある。
 だが海平のそれは彫刻のものとは違う。
 大きさ、形状それに向いている方向。
 彫像のそれは小さく、萎れたアサガオのような形状で下にだらりと垂れている。
 ところが海平のは大きく、先っぽがやや尖ったような形状で屹立している。
 「すごい…立派」
 靴下を脱いだ海平はカトリーヌが驚いた表情をしているのを見て聞いた。
 「どうしたのカトリーヌ?」
 「それは…」
 不思議に思った海平だが、カトリーヌの視線が自分のものに向いているのに気付いた。
 「あ、これのこと?」
 「うん…とっても大きい…」
 「ごめん。カトリーヌがとっても綺麗だからこんなになっちゃったんだ」
 再びソファーに転がり込み、カトリーヌに覆いかぶさる。
 「そうなんだ…」
 海平はカトリーヌの右手を握るとそのまま自分の一物を握らせた。
 「えっ!?」
 「大丈夫。そっと掴んでみて」
 カトリーヌは、海平の言うとおりにそっと一物を掴む。
 「…熱い」
 「脈、すごいでしょ」
 「うん」
 「僕は興奮してる。カトリーヌが欲しくて堪らないんだ。それで体中の血液がここに集まってこんなに大きくなるんだよ」
 「そう。海平君、私が欲しいんだ」
 「うん」
 カトリーヌは海平の一物を掴んでいた手を離した。
 「じゃあ…私をあげる。そのかわり、優しくしてね」
 「うん。約束する」
 海平は再びカトリーヌの唇を塞いだ。
 舌にたっぷりの唾液を含ませて、カトリーヌの右乳首をなめる。
 「んっ…」
 小ぶりな乳房の上でしっかりと自己主張しているピンク色の乳首を海平が口に含み舌で弄ると徐々に固くなっていく。
 「あっ…うぅん…」
 声を漏らさぬよう指を咥えて堪えるカトリーヌ。
 だが海平は舌、唇の動きをさらに激しくし、カトリーヌに刺激を与える。
 「我慢しなくていいよ。もっと声を聞かせて…」
 「でも…」
 「今日は休みだから。誰も聞いちゃいないよ」
 カトリーヌは咥えていた指を離した。海平はその手を取ってシーツの上に置いた。
 「声を出すことが恥ずかしいと思ってる?」
 「…うん」
 「恥ずかしいことじゃないよ。僕はもっとカトリーヌの声が聞きたいんだ」
 「…」
 「だからもっとかわいい声を聞かせて」
 海平はこれまで吸っていた乳首を摘んだ。
 「ひゃうっん…」
 瞬間カトリーヌはギュッとシーツを掴んだ。
 「感じてるカトリーヌ、とってもかわいいよ」
 海平が乳首を愛でる度にカトリーヌの口から漏れる嬌声は、海平にとっては心地よいBGMになる。
 再び乳首に口をつける。今度は左側だ。
 「ああっ…」
 シーツを握る手に力が入る。
 「そんなに胸ばかり舐めないで…」
 「…どうしたの?」
 「変な気分になっちゃう」
 海平は内心では女の子の体は大事に扱わなければならない事はわかっている。
 だがカトリーヌの可愛らしい反応の前に、彼女の体をもっと知りたい、食べてしまいたいという本心とは別の欲望が海平の心を支配してしまう。
 「…じゃあもっと変な気分にさせてあげる」
 「え?」
 海平は素早く体を移動させ、カトリーヌの太腿を開いた。
 「だめっ!ここは…」
 シーツを掴んでいた手で慌てて秘所を隠す。
 「どうして?」
 「だって…」
 カトリーヌは顔を赤くして横を向いてしまう。
 「やっぱり恥ずかしいよ…」
 「恥ずかしいことじゃないよ。僕は見たい。カトリーヌの全てを」
 「…」
 「それに、カトリーヌに気持ちよくなってほしいんだ。さっきも言ったけど僕で感じてくれているカトリーヌはとってもかわいいよ」
 「…」
 「隠す必要なんて無いよ。全部僕に任せて」
 「…わかったよ」
 カトリーヌはそっと両手を離す。海平の目の前にあるのはしっぽり潤ったカトリーヌの秘唇。
 海平は線を引くように指で秘唇を掬い取った。
 「きゃふっ…」
 海平の指先には、カトリーヌから溢れ出た愛液がべっとりと着いている。
 「こんなに感じてたんだ。嬉しいよ」
 指の愛液を舌で舐め取ると海平は秘唇にぐっと顔を近づけた。
 「ええっ? 何をするの?」
 カトリーヌの問に海平は顔を上げ笑顔で答える。
 「もっと気持ちよくしてあげるから」
 海平は舌をカトリーヌの秘唇に這わせた。
 「きゃっ! ちょっ…ああっ…」
 舌先を使いやさしく秘唇を愛撫する。
 「くっ…んっ…」
 「とってもかわいいよ。カトリーヌのここ」
 「そ、そんなこと…言わなくていい…から」
 カトリーヌは海平の頭を押して股間から離そうとする。
 「ダメ。もっとかわいがってあげる」
 海平はカトリーヌの太腿を抱え込むと口を秘唇に押し付けた。
 「ひうっ…」
 海平は音を立ててカトリーヌの蜜を吸い取る。
 「あっ…だめっ…そこ…」
 「カトリーヌもっと、もっと欲しい」
 海平は更に舌を奥に挿し入れ蜜を掻き出す。
 カトリーヌはシーツを掴み、上半身をくねらせ襲いかかる刺激に必死で耐える。
 「もっと感じて」
 舌を動かしながら、秘唇の少し上にあるふくらみを指で摘んだ。
 「あああっ…」
 ふくらみを指の腹で撫でると海平の口に注ぎ込まれる蜜の量が多くなっていく。
 「ダメッ! ほんとに変になっちゃいそう…」
 カトリーヌは脚をバタバタさせ始めるが海平は構わず吸い続ける。
 「だめっ…だめ、あううっ!」
 絶頂を迎えたカトリーヌの体。
 一瞬体が硬直し、すぐに脱力する。
 バタバタしていた脚、シーツを掴んでいた手は力を失っている。
 海平はカトリーヌの秘唇から口を話す。
 「カトリーヌ…?」
 目を閉じたカトリーヌの息は荒い。
 胸が大きく上下している。
 「カトリーヌ、大丈夫?」
 カトリーヌはゆっくりと目を開ける。
 「…うん、大丈夫」
 「そう。…いいかな」
 海平は一物をカトリーヌの秘唇にあてがう。
 「カトリーヌの体はもう準備できてるよ。あとは、カトリーヌの気持ちだけ」
 「…痛いのかな?」
 「え?」
 「これまでの海平君の経験ではどう? みんな痛いって言ってた」
 「…うん。言ってた」
 「そうだよね。こんな大きいのが…」
 カトリーヌは大きく息を吸うと、ゆっくりと吐き出した。
 「…いいよ。海平君と一つになりたい」
 「痛かったらどうする?」
 「我慢するよ」
 「そう…じゃあいくよ」
 海平はカトリーヌに覆いかぶさるようにゆっくりと腰を静めていく。
 「うっ…」
 海平は体重をかけ、こじ入れようとする。
 だがカトリーヌは体に力を入れすぎていたため反発が強く、なかなか奥に進まない。
 「カトリーヌ?」
 「どうしたの?」
 「そんなに力入れるとかえって痛くなるかも」
 「そう?」
 「うん。注射と同じ。力まないほうがいいよ。リラックスして、ね」
 「うん…」
 カトリーヌが素直に力を抜く。
 海平は再びカトリーヌの中に押し込む。
 「いいっ!」
 力は抜いていても裂けるような痛みが走る。
 それを堪えるためにシーツを固く握り締め、歯を食いしばる。
 「い、痛いっ…!」
 体に幾度も痛みが走ったが、ようやくカトリーヌの体に、海平の一物が収まった。
 「大丈夫?」
 「嘘つき…力抜いてても痛かったよ」
 「…ごめん」
 「海平君のが大きすぎるからじゃない?」
 「え? それは…わからないけど…。カトリーヌの入口が元々狭いからかもしれないよ」
 「そうなの? …体のことよく分からないから」
 「今はどう? 痛い?」
 「痛いというよりも熱いかな。今は」
 「熱い?」
 「海平君のがね」
 カトリーヌがやっと笑った。
 「カトリーヌもとっても熱いよ。溶けちゃいそうだよ」
 海平も笑みで返す。
 「もうちょっとだから、頑張ってね」
 「うん」
 海平はゆっくり腰を動かし始めた。
 「あっ…あっ…あっ」
 海平の一物が出たり入ったりするたびにカトリーヌは歓喜とも苦痛とも取れない声を上げる。
 「痛い?」
 「ううん大丈夫」
 「もしも耐えられなかったら言ってね」
 「うん…」
 海平は腰を動かし続ける。
 ゆっくりと、しかし確実にテンポを上げる。
 「はっ…あっ…はっ…」
 「ああ…とっても熱い…」
 「うはっ…あっ…やっ…」
 「ねえカトリーヌ、聞こえる?」
 カトリーヌの蜜が海平の一物に絡まって、腰が動くたびに淫靡な水音を立てている。
 「ぐちゅぐちゅいってるよ」
 「バカ…」
 「カトリーヌ、いっぱい感じてくれたんだね」
 「うん…海平君と一つになってる今が一番きもちいいよ」
 「ありがとう、カトリーヌ」
 海平は上半身を倒してカトリーヌに覆いかぶさった。
 キスをして、そのまま腰を打ちつける。
 「あっ…あっ…あっ」
 「すごいよカトリーヌ…とってもかわいいよ…」
 カトリーヌの熱った顔と嬌声は海平を益々興奮させる。
 海平が腰を打ちつけるたびにカトリーヌの中は益々熱を帯びてくる。
 その熱に冒されて海平は昂ぶる気持ちを抑えることが出来ない。
 「カトリーヌ、ごめんね…優しく出来そうに無い」
 「え…?」
 海平はカトリーヌの背中を抱きかかえる、力を入れて腰を打ち付ける。
 「やっ! あうっ! あうっ…」
 「ああ、カトリーヌ…カトリーヌ…」
 腰を打ちつけるたびにカトリーヌの耳元で囁く。
 「海平君…」
 余りの力強さについていけなくなったカトリーヌは海平の耳元で言った。
 「お願い…もうちょっとゆっくり」
 だが海平は即座に答えた。
 「ごめん。もう止められないよ…」
 カトリーヌに無理を強いることになるのは分かってはいるが、この快楽には勝てそうにも無い。
 海平は絶頂目指して更に加速する。
 「あっ! ああっ! …」
 「カトリーヌ…かわいいよ、カトリーヌ…」
 海平は全体重をかけ腰を打ちつける。
 「ごめん。もうちょっとだから…あっ!」
 海平は己の絶頂が近いことを悟った。
 そんな海平を見てカトリーヌは声を掛ける。
 「置いてかないで…一緒に…一緒にね」
 「うん…頑張るよ」
 海平は笑顔で答え腰を打ち続ける。
 カトリーヌは両脚で海平の腰を押さえつけた。
 だがカトリーヌの絶頂はすぐそこまできていた。
 「あっ…わ、私も…何かっ…きそうっ!」
 「うん…いこう…一緒にいこう!」
 「あっ! くる! くる! あっ! ああーっ!!!」
 「んんっ!!」
 海平の腰が震える。
 カトリーヌの両脚に力が入り、海平の腰を押さえつける。
 根本まで差し込まれた海平の一物が弾り、カトリーヌの体内に大量の滾りを放出した。
 「くっ!」
 「ああっ! 熱いっ…」
 カトリーヌは、海平の一物のとはまた別の熱を、体内で感じ取った。


 「はあ…はあ…」
 「カトリーヌ、大丈夫…?」
 海平はカトリーヌ顔を覗き込んだ。
 「…うん大丈夫。こわれちゃうかと思ったけどね」
 「ごめん。無理にしちゃって」
 「気にしないで」
 「僕が乗ってると重いでしょ」
 「ううん。このままでいいよ。もうちょっと一緒にいて…」
 力が抜けた脚と腕に再び力をいれ、海平を強く抱きしめる。
 カトリーヌは目を閉じ、海平の体の重みを感じた。
 「ずっとこうしていられたらいいのに…」
 「え?」
 「何でもないよ」
 「ねえ、カトリーヌ」
 「何?」
 「僕のこと、どれだけ分かった?」
 「え?」
 「僕のこと全部調べるって言ってたじゃない」
 「あ、ごめん。すっかり忘れてた」
 「え? いいの?」
 「いいよ。だって、海平君とこうするための口実だもん」
 海平はカトリーヌと顔を見合わせる。
 「そ、それじゃあモデルの話は…?」
 「それは本当だよ」
 「あ、そうなんだ」
 「シスターに嘘を言うわけにはいかないでしょ。すぐばれちゃうから」
 カトリーヌは海平の頭を撫でる。
 「でもそうだなあ。あえて言うなら海平君について分かったことは、優しくて、男らしいってことかな。精神的にも肉体的にもね」
 カトリーヌは海平の胸を撫でる。
 「いい体してるね」
 「そうかな。そんなに鍛えてるってわけじゃないんだけど」
 「この体なら…ヌードデッサンにしようかなあ」
 「え?」
 「初めてのモデル体験がヌードというのも面白いと思わない?」
 「え…ヌードはちょっと…」
 「どうして? 今だってこうやって裸でいるじゃない」
 「でも絵にされるってことは皆が見るって事でしょ。それはやっぱり恥ずかしい…」
 「冗談だよ。普通に書くから。そろそろ書き始めないと夜遅くなっちゃうから、いいかな」
 「うん。始めようか」
 海平はカトリーヌの体からゆっくりと一物を引き抜いた。
 「ごめん。シーツが…」
 ソファーに敷かれてあったシーツは、カトリーヌの腰があった付近は海平の精液とカトリーヌの蜜が混ざった染みが付いていた。
 カトリーヌが体を起こすと背中の部分は汗が染みている。
 「気にしないでいいよ。洗えば大丈夫だから」
 カトリーヌはソファーを降りると服を着始める。
 「服着ないの? それともヌード、やりたい?」
 「え? いやいやちゃんと着るよ」
 カトリーヌに続いて海平も服を着る。
 先に着たカトリーヌはシーツをソファーから取り払う。
 「じゃ、ここに座ってくれる?」
 服を着た海平がカトリーヌに指示さえた場所に座る。
 カトリーヌはその少し斜め前に椅子を置き、画板を手に座る。
 「もうちょっと斜め向いてくれるかな。体ごと。そうそうそれでいいよ」
 海平に指示を出しカトリーヌは筆を進める。
 「じゃ、そのまま動かないでね」


 2週間後 理事長室―――
 「はい、これ」
 カトリーヌは海平に一本の筒を渡す。
 海平が筒の中の物を取り出すとそれは、カトリーヌが描いた海平の肖像画だった。
 「今日返却されてね。なかなかいい点もらったよ」
 「そう。よかったね」
 「モデルが良かったからね。それはお礼にあげる」
 「ありがとう。大切にするよ」
 海平は絵を再び丸めると筒の中に収納する。
 「じゃ、行くね。あ、そうそう」
 カトリーヌは踵を返し、入口へと向かいかける。が反転して海平の前に立つ。
 「シスターはいないの?」
 「うん。今は事務室にいるよ」
 「そう。なら大丈夫だね」
 カトリーヌはソファーに座る海平の前に立つと、体を屈めて海平と視線を合わせる。
 「また、モデルになってね。今度は課題なんかじゃなく個人的に、ね」
 「…うん。いいよ」
 海平はカトリーヌの顔を抱きしめると、ゆっくりとその唇を塞いだ。


おわり