森で迎える夜と朝 ‐海平×史子
Written by ◆Lumi/2sUEI


 河畔に立てられたテントに雨が降り注ぐ。
 「ラジオ聞いたけど、今夜いっぱい降るそうだよ」
 テントの中、枕木史子が寝袋を敷いている。
 その隣では、すでに木島海平が寝袋の中に入っていた。
 海平が史子のキャンプに到着したと同時に降り出した雨は、夜になった今も降り続いている。
 忙しい合間を縫って森に来たというのに、雨が降っては何も出来なかった。
 「せっかくきてくれたけど、こんなに降ってたらしょうがないね」
 「仕方がないよ天気のことは」
 「明日には帰っちゃうんでしょ」
 「うん」
 「そうか。残念」
 史子は寝袋の中に入る。
 「今週ここに来れるのは今日だけなんだ。明日は昼までには戻らないといけないし」
 「じゃ、することもないから寝ちゃおっか」
 「うん」
 「また次に来たときに遊べばいいからね。じゃあおやすみ」
 「おやすみなさい」


 テントの中にはランプの灯りだけが灯っている。
 まだ目を閉じて10分も経っていない。
 「ねえ…起きてる?」
 顔を向こうに向けたまま史子が声を掛けてきた。
 「…起きてるよ」
 「そっちにいってもいい?」
 「え?」
 「ちょっと寒いから。二人で一緒に居たほうが暖かいでしょ」
 確かに雨の影響で気温は下がっている。
 寝袋をくっつけて寝るという事と理解した海平は返事をした。
 「うん。いいよ」
 返事と同時に史子の寝袋が、ずずっと海平の寝袋に近寄る。
 史子の寝袋のチャックが下りる。
 「おじゃましまーす」
 海平の寝袋のチャックも開けられその中に史子の生脚が滑り込んできた。
 「え? 入ってくるの?」
 「そうだよ。一緒に居るって言ったでしょ」
 体を入れると史子は寝袋のチャックを閉じた。
 「ふー。暖かい」
 本来寝袋は一人用である。
 海平一人ならばまだ余裕はあったものの、史子が入ってきたため二人では窮屈になってしまう。
 「狭くない?」
 「こうやってくっついたほうが温かいでしょ」
 「うん。そうだけど…」
 「他の子とはこうやってくっついて寝ないの?」
 「いや、こうやって寝てることが多いと思う。多分…」
 「ふーん…」
 史子は海平の背中に手を回すと力を入れて抱きしめる。
 「あっ…」
 「何? どうかした?」
 「い、いやなんでもないよ」
 史子が見につけているのはタンクトップとショーツだけである。
 密着しているために、史子の胸、脚が海平に押し付けられる。
 海平の体の一部分は徐々にその姿を変えていった。
 「ねえ」
 「なに?」
 「私の太腿に当たってるのは何かな?」
 「…」
 すでに出来上がってしまった海平の陰茎は、ズボンの上から史子の太腿を押していた。
 史子は両手をランプの光りの届かない寝袋の中を動かし、ズボンの上から海平の股間を弄った。
 「これかな〜?」
 「あっ…ちょっと…」
 「教えてくれないなら勝手に調べちゃお」
 そしてトランクスの中に両手を突っ込むと海平の陰茎を握った。
 「おっ、元気だね」
 握り方を変えて陰茎の固さを確かめる。
 「こんなに大きくしちゃって…」
 海平の陰茎は、史子の手では収まりきれないほど大きくなっている。
 「どうしてこんなに大きくなっちゃったのかな?」
 「…」
 史子は指を細かく動かして陰茎に刺激を与えた。
 「あっ…」
 陰茎を包み、搾り出すように扱く
 「うっ…くっ…」
 「ふふふ。気持ちいいの?」
 史子が顔を見上げると、海平は目を瞑り吐息交じりの嬌声を上げる。
 「はぁ…いいよ…」
 「あれ…?」
 史子の手にぬるぬるした液体が付着する。
 「先っぽ、濡れてるよ」
 一旦手を引き抜き、指先を確認すると糸を引いている。
 「男の子も濡れるんだね」
 史子は再び両手を下ろし、液体を陰茎に塗りたくるように扱く。
 「あっ! …もうダメだよ…出ちゃう」
 「ふふ…いいよ…出しても」
 史子は陰茎を扱く手の速度を上げた。
 「だ、駄目だっ!!」
 『ドクッドクッドクンッ…』
 海平の滾りを、史子は掌で全て受けとめる。
 「ああ…」
 史子は陰茎を軽く扱き、残っていた滾りも掌に出させた。
 「いっぱい出ちゃったね」
 「あ…ああ…」
 顎を上げて喘いでいた海平は視線を降ろす。
 見上げる史子と目が合った。
 「気持ちよかった?」
 「…うん」
 「そう。よかった」
 海平のトランクスの中では史子の手が再び海平の陰茎を捉えた。
 「ねえ、どうしたい?」
 「え…」
 「まだこんなに元気だけど」
 史子は、掌に付いた滾りを海平に塗りつけるように扱く。
 「あっ…ああ…」
 「ふふ…出した後は感じやすいの?」
 「あ…うん…」
 「そう」
 史子が扱く手の中、自身が放出した滾りを塗りたくられた海平の陰茎がピクピクと震えている。
 「あっ…また…」
 「入れたい?」
 「え?」
 「私の中に」
 史子は手を止めて海平を見つめた。
 「え…と」
 「このまままた手に出しちゃってもいいけど」
 顔を見上げて海平は考える。
 隙が出来た海平の首筋に史子は吸い付いた。
 「うっ!」
 「ほら、素直になりなよ」
 再び海平は史子と顔をあわせるとくぐもった声で言った。
 「…入れたい」
 「うん、素直でよろしい」


 史子は海平のズボンを降ろし、トランクスの中から陰茎を取り出した。
 そして自分はショーツのクロッチを横にずらす。
 寝袋の中、海平の陰茎を掴んで自身の膣口に添えた。
 「はやく…」
 「じゃあいくよ」
 史子は海平の腰に抱きつき、一気に陰茎を押し込んだ。
 『ぬちゅちゅちゅっ』
 「くっ」
 「はぁ…この感触久しぶり…」
 史子の中に海平の陰茎が収まる。
 海平も、史子の背中に手を回し抱きしめた。
 「どう? 久しぶりの私は」
 「あったかい…」
 「君のもとても熱くてヤケドしそうだよ」
 「痛かった?」
 「ちょっとね。久しぶりだから。君は、久しぶりじゃないんでしょ?」
 「…うん」
 「ほどほどにしておかないとダメだぞ。スキンシップもいいけど勉強もね」
 「…授業に出ていない人に言われたくないなあ」
 「細かいことは気にしないの」
 海平はぐっっと腰を動かす。
 「動かしちゃだめだよ」
 「え?」
 「寝袋破れちゃうでしょ」
 「あ、そうか」
 「それに…もうちょっと感じていたいな。君の男の子の部分をね」
 だが史子の中では、肉襞が自然に海平の陰茎に取りついていた。
 「うっ…」
 海平の鈴口、茎に取り付き吸い取られるような錯覚を覚える。
 自分で動かすよりも気持ちいいかもしれない。
 それに耐えるのは海平にとっては拷問に近いものだった。
 「どうしたの?」
 「…腰、動かしてないよね」
 「うん。どうして?」
 「さっきからすごく気持ちよくて…吸い取られるみたいで」
 史子は下半身に意識を持っていくと、ようやく海平の言うことを理解した。
 「ごめんね。君が欲しくて私の体が我慢できないみたい」
 史子はいたずらっぽく微笑むと股間をきゅっと締めた。
 「はうっ!」
 「大丈夫?」
 「ああ…ごめん、もうだめ…」
 『ピュルッピュッ』
 「くっ…うっ…」
 海平の陰茎から再度、ゆっくりと放出される。
 だがそれは先ほどとは違い勢いはなく、ただ出した、という程度のものだった。
 海平の陰茎はゆっくりとその固さを失っていく。
 「出ちゃった?」
 「…うん」
 「小さくなっちゃったね」
 史子の中、海平の陰茎は縮こまっている。
 「いつもはまだ大丈夫なのにね。君はもう満足したの?」
 「うん…とっても気持ちよかった。体全体で揉まれてるみたいだった」
 「そう。でも、あたしはまだ満足してないよ」
 「え?」
 「もう一回ほしいな」
 「え?」
 史子はそっと股間を締める。
 「うっ!」
 「久しぶりだもん。いいよね…?」
 史子は力の出し入れを繰り返し、襞で海平の陰茎を包み込む。
 「ふふふ。元気にしてあげるね」
 ゆっくりと股間をすり合わせると、海平の耳にも溢れた蜜の音と、股間が擦れ恥毛が絡まりあう音が入ってくる。
 雨がテントを打ちつける音など耳に入ってこなかった。
 「大きくな〜れ大きくな〜れ」
 「あっ…くっ…」
 史子の肉襞が海平を締め付け解放する。
 何度もやられて海平の陰茎が反応しないはずが無い。
 一度引いた海平の血液が再び陰茎に集まり、史子の中で硬さを取り戻した。
 「おっ、大きくなったね」
 「い、いい…」
 完全に復帰した海平の陰茎を史子は、なおも締めつける。
 「僕も…腰動かしたい…」
 「だめだよ。君は夢中になって動かしちゃうから。寝袋が破れちゃうでしょ」
 「ちゃんと気をつけて動かすから」
 「だ〜め」
 海平の陰茎を締める様に股間に力を入れ、両手で海平の腰をしっかりと掴む。
 これで海平は下半身を動かすことが出来なくなった。
 「はぁぁ…」
 「君はかわいい声だすんだね」
 「…え?」
 「もっと声聞かせてよ」
 海平の表情を楽しみながら史子はそっと腰を動かした。
 「うっ!」
 そして史子の舌が海平の首筋を這う。
 『ぴちゃっ…ぴちゃ…』
 唾液をたっぷり塗りつけ、海平の首筋を愛撫する。
 「はぁ…はぁ…はぁ…」
 首筋と陰茎を同時に責められ息も絶え絶えになる海平。
 「気持ちいいよ…」
 「え?」
 「君が感じてる顔見たり声聞くのって気持ちいいんだ」
 「そうなんだ。でも僕はっ…声出すのは、はずか…しい…」
 「ふふ。じゃあもっと恥ずかしくしちゃおっと」
 海平の背中を掴んでいた手を口元に持っていくと、指にたっぷりと唾液を塗りつける。
 その手を海平のシャツの中に入れ、乳首を弄った。
 「おあっ! はあ…」
 史子の指は海平の乳首を摘み捏ね繰り回す。
 「こんな声聞いちゃったら…たまんないよね」
 海平の喘ぎ声に応えるように史子の肉襞も激しく陰茎を締め付ける。
 「あっ…はっ…」 史子の愛撫に耐えられなくなった海平の陰茎が細かく震え出す。
 「プルプルしてるよ。もう我慢できない?」
 「…うん」
 「いいよ。我慢しなくても」
 「そ、それじゃあ…うっ!」
 『ドクンッ ビュルッ…ピュッ』
 「ああ…いい…いっぱい出てる…」
 ……………………
 ……………
 ………
 …
 「はっ…!」
 入口のスキマから光が差し込んでいる。
 その光で海平は目がさめた。
 昨夜は着ていたはずのシャツもトランクスも脱がされている。
 「あれ…?」
 テントの中には史子は居ない。
 海平の寝袋の横には、史子の寝袋とショーツとタンクトップが残されている。
 「昨日は…そうか…」
 昨夜、史子にいいようにされたにも関わらず、自分の陰茎は朝ということで見事なまでに勃起している。
 『バシャッ』
 テントの外から水音が聞こえた。
 眠たい目を擦り、海平はテントの外に顔を出した。
 だが河原にも、川にも史子の姿はない。
 「今の音は何だったんだろう…?」
 そのとき水面から勢いよく史子が飛び出した。
 「あ…」
 史子は裸で川を泳いでいたのだ。
 裸の史子の海平は思わず唾を飲む。
 腰まで水に浸かりながら手で顔を拭っていた史子だったが、海平の視線に気付いた。
 「おはよう」
 「あ…おはよう」
 「気持ちいいよ。君もこっちにおいでよ」
 史子は手招きして海平を誘う。
 海平はテントから出ると前を両手で隠しながら川に近づいていった。
 「別に隠さなくてもいいじゃない。私に見られて恥ずかしいの?」
 「…」
 海平は手を離して前を見せる。
 いつもの元気な海平が史子の目に入った。
 「うんうん。立派立派」
 史子に全身を見られながら海平は川に近づき、つま先をゆっくりと水面につけた。
 「冷たっ!」
 「どう? 眼覚めるでしょ? ゆっくり入ればいいからね」
 史子の指示通りに海平はゆっくりと歩を進め、史子と同じく腰まで水に浸かった。
 「昨日はぐっすり眠れた?」
 「…いつ寝たのか覚えてないんだ」
 「そう」
 「ねえ、僕は…3回目までは覚えてるんだけど…その…」
 「うん?」
 「それから…何してたんだろう?」
 「知りたい?」
 「うん」
 水面からわずかではあるが、海平の亀頭が姿を見せている。
 その亀頭を指で突きながら史子は続けた。
 「あの後、君はもう一回したいって言ったんだよ」
 「…」
 「で、下着全部脱いで君が私の中に入って…君が寝ちゃったのはその直後」
 「ということは…」
 「そう。君は私の中に入ったまま寝ちゃったんだよ」
 「入ったまま…それで…朝まで?」
 「君が私の中でピクピクしてるのが面白かったよ」
 「……」
 「起きたときはびっくりしたけどね。一晩中私の中にいて、ずっと元気だったんだから」
 「……」
 「朝起きて寝袋から出るときは大変だったよ。君が私を離さなかったからね」
 「そう…」
 「ところで、する?」
 「え?」
 「昨日の続き」
 史子は海平のそそり立った陰茎を弄ると、海平に抱きついた。
 そして耳元で囁く。
 「こんなに元気なのを見せられちゃうとね。私も欲しくなっちゃった」
 えへへ、と笑う史子。
 「君も、したいんでしょ?」
 「うん。僕も欲しい」
 海平も史子の耳元で囁き返す。
 海平と顔をあわせると史子は海平の唇を塞いだ。


 史子が両脚を海平の腰に絡めると、海平も片手で史子の尻を抱える。
 海平はもう片方の手を陰茎に添えると、史子の陰部に宛がった。
 「いくよ」
 「うん」
 海平は腰を突き出し陰茎を押し込んだ。
 「くっ…」
 「ああ…」
 そして昨夜動かせなかった分、思いっきり腰を動かした。
 『ザパッザパッ』
 「あっ…いいよ…」
 お互い腰から下は川の中。
 海平が腰を動かすたびに川面に小さな波が立つ。
 「もう…元気なんだから」
 「昨夜動かせなかったから…思いっきり行くよ」
 海平は史子の唇を塞ぐと、史子の両足を抱え込み更に腰を激しく動かす。
 『ザバッザバッ』
 「んっんっ」
 史子は海平に唇を塞がれているため声を出すことが出来ない。
 しがみ付く両手に力を入れて、海平の動きに耐える。
 そんな史子の心中を読んだのか、海平は腰の動きを止めた。
 「え?」
 すると海平は、史子と一つになったまま股間を擦り合わせた。
 「あっ…ちょっと」
 濡れそぼったお互いの陰毛が絡み合い、史子のクリトリスは海平の皮膚に擦られる。
 「あっ…こんな…」
 『ちゃぷっちゃぷっ』
 「もう…こういうことは本当に上手なんだから…」
 「気持ちいい?」
 「いいよ…絶好調だね今日の君は」
 「えへへ…」
 『ちゃぷっちゃぷっ』
 先ほどのように激しく動かすのとは違い、海平はゆっくりと股間を擦り合わせる。
 「ねえ…ひょっとしてじらしてる?」
 「…ばれた?」
 「ずるいよ…」
 「昨夜のお返しだよ」
 「でも…君もそろそろじゃない?」
 「え…?」
 「顔見れば分かるよ。それに、元気な君がぴくぴく震えてる」
 「実はね…僕も、もういきそうなんだ…」
 「じゃあ、最後は思いっきりしていいよ」
 「うん。脚、しっかり力入れてね」
 「え?」
 「思いっきり動かすから」
 海平はニヤリと笑うと、再び腰を打ちつけた。
 『ザバッザバッザバッ』
 両手で史子の尻を固定し、奥の奥まで突き上げる。
 「あっ! そんな…」
 ぎりぎりまで引き抜いて再度奥まで一気に突き上げる。
 「水が…入っちゃうん…」
 海平の陰茎が突き上げられるたびに、川の水も一緒に入ってくる。
 史子は体の中で、川の水の冷たさを感じた。
 「熱いのか冷たいのか…わかんないよ」
 史子の独り言は、海平の耳には全く入っていなかった。
 眼を閉じ、歯を食いしばって只管腰を打ち続ける。
 『じゃぶっじゅぶっ』
 史子はちらりと海平の顔を見た。
 ―――もうそろそろかな?
 史子がそう感じた瞬間、
 「いくよ…もういくよ…」
 眼を開けた海平が史子に囁いた。
 「いいよ。来て…」
 「うっ…」
 『ドピュッ…ドピュッ…ドプッ』
 「うっ…うっ…はぁ…」
 海平の陰茎が史子の中で爆ぜた。
 「はぁ…激しすぎ…」
 「…ごめん」
 「いいよ。元気な君が大好きだよ」
 海平は史子を抱えたまま反転し、ゆっくりと歩き出す。
 そしてテントの傍までやって来ると、既に小さくなった陰茎を引き抜き、史子を座らせた。
 「ちょっと待ってて。バスタオル持ってくるから」
 「バスタオルならテントの入口のすぐ傍にあるよ」
 テントを覗き込むと、史子の言うとおりタオルが畳んで積まれてあった。
 海平はその中からバスタオルを2枚掴むと、再び史子の元に向かった。


 史子は、海平がタオルを取りに行っている間に既に焚火を起こしていた。
 「お待たせ」
 「うん」
 海平は史子にバスタオルを投げる。
 二人は焚火の傍で体を拭いた。
 「満足した?」
 「?」
 「小さくなってるよ」
 史子が海平の下半身を除き見る。
 確かに海平の陰茎は小さくなっていた。
 「うん…満足したよ」
 「そう。よかった」
 「…じゃあ服取ってこようかな」
 先に拭き終わった海平はテントへ向かおうとする。
 「ごめん。私のも取ってくれるかな」
 「え?」
 「君の寝袋の隣にあるでしょ私の下着。それと上着もテントの奥に置いてあるからお願い」
 海平の寝袋の隣には確かに史子の下着が脱ぎ捨てられている。
 海平は自分の着替えを取ると、そっと史子の下着を持った。
 そして奥にある史子のショートパンツとTシャツを掴んだ。
 「はい」
 「ありがと」
 史子は笑いながら海平から着替えを受け取る。
 海平も服を着始めた。


 「次はいつ会いに来てくれる?」
 ショーツを穿きながら史子は海平に聞いた。
 「…わからない。先の予定はまだわからないから」
 「そうかぁ」
 史子は下着に続いてTシャツとショートパンツを身に着ける。
 普段の史子の格好だ。海平も服を着終えた。
 史子は、テントを支えるロープにかけておいたバスタオルを手にした。
 「ねえ、このバスタオル、戻ったら洗ってきてくれない?」
 海平にバスタオルを渡す。
 「いいよ」
 「これで出来たでしょ。ここに来る口実が」
 「え…?」
 史子は海平に抱きついた。
 「来週の金曜日の夜、君はバスタオルを返しにここに来るの」
 史子はいつもと違う、艶っぽい口調で海平に囁く。
 「ええっと…それは…」
 「理事長さんなら、約束守って返してくれるよね」
 史子の本心を海平は漸く理解した。
 以前ここに来たときも金曜だった。そして今回も。
 森で過ごす史子と夜を共にするには金曜日が最適だった。
 「…はい」
 「じゃあ待ってるからね。君の予定表の金曜日の欄は全部私が予約しちゃったから」
 「…」
 「さ、そろそろ帰らないとまずいでしょ。準備しよ」
 史子は海平にキスをすると、岸に引き上げておいたカヌーに向かって走り出した。
 ―――ちょっと強引だったけど、彼にはあのくらいが一番だよね。