幻：　「君はどうよ？　一番コレだ！って思うのは？」

朝：　「ん〜、そうね。やっぱり『エアーズ・アドベンチャー』かしらね。唐突な展開に理不尽な妖精とか、挙げたらキリないもの。それに『大冒険』なんかも」

幻：　「模範生のような答えだな」

朝：　「なによ、だったらね…そうだ、『消えたプリンセス』は？　あんなの攻略本なきゃ解けないよ。十字路の真ん中で野宿してロザリオだすとかさ」

幻：　「……」

朝：　「むー、それなら『マイティボンジャク』なんかどうよ？　『サイコドリーム』とか『バトルブレイズ』とかは？」

幻：　「それらは単にマイナーなだけでクソゲーじゃないと思うぞ」

朝：　「なら、アンタは何がクソゲーだと思ってるのよ？」

幻：　「ドラ●エの�YあたりとかＦ●のやっぱり�Yあたり」

朝：　「うっわぁぁぁ！！　危険発言だぞ、それ！！」

幻：　「有名で売れてるからって必ずしも名作ってわけじゃないだろ？」

朝：　「でもでも，面白いじゃん！！」

幻：　「ああ、確かに面白いさ，ＣＧもスゲェさ（FF）。でもさ、ほどほどでしかないじゃないか」

朝：　「？？」

幻：　「圧倒的なものがないんだよ、アレ。そこそこに面白くて、そこそこの技術使ってる。でもＣＧなんかは次世代機が出ればより性能良くなるのは当たり前だろ？」

朝：　「んー，確かにＭＳＸでイース�Uやった時、OPでリリアが振り返るアニメーションには驚いたけど、今では何でもない技術だね」

幻：　「ＳＦでもＴＯＦのOPで「夢は終わらない」が流れた時だって、ゲームショウでは皆驚いてたさ。でもサターンやプレステでは当たり前の技術だ。技術で魅せる作品は、時事ネタ的性質の方が強いんだよ」

朝：　「だからって、●Ｆやド●クエがクソゲーだとは…」

幻：　「なら聞くけど、ドラ●エ�Xのストーリーを完全に思い出せるか？」

朝：　「…むー」

幻：　「じゃ、ドラクエ�Tは？」

朝：　「それは思い出せるなぁ」

幻：　「だろ？　最初は名作だったさ，今でも名作さ。しかしな、二番煎じ、三番煎じとだんだん味は落ちていくんじゃないのかな？　特にＲＰＧはそう，物語と演出が命だからね」

朝：　「じゃぁ、F●なんかはストーリー悪いん？　面白いじゃん」

幻：　「そこそこにね。そこそこなんだよ，こだわりが薄いんだよ。万人に受けようとして、どこか気を使ってるんだ、それが嫌いな人をそんなに作らないのと同時に、心に深く残らないと思う」

朝：　「…良く分かんねぇなぁ」

幻：　「うわべだけの物語なんだよ。心からぶつかってない，叫びがないんだ。叫べばそれだけ、個性が出ちゃってプレイする人に好き嫌いが出ちゃうから」

朝：　「そうなのかな？？

幻：　「恒常的な売上げを求めるそんな一流メーカーに対して、一発逆転を狙う中小製作社では個性丸出し。名作が多いよ、ホント。ゲームを買ってもらうということもあるけど、製作した会社を憶えておいてもらいたいというのもあるから。それに大手と違って何より小回りが効く事で遊び心が持てるのが、大きな要因かもしれない」

朝：　「遊び心か、それは大切ね」

幻：　「そう。また構成するシステムにしても問題点がある」

朝：　「システム？」

幻：　「ＲＰＧで例を挙げるなら、主人公が苦労して最後の敵まで向き合って、そこでセーブポイントがあるのがゆるせん！　人生にコンティニューはないんだ，やりなおしはきかないんだよ。せめてボス戦くらい、苦労して「ここで負けたら今までここに辿りつくまでの苦労が無になる！」くらいの切羽詰った状況が欲しいよ。ＳＦでは女神転生はそこんところを押さえていてくれたけど、次世代になってからはダメね，バックアッパーとかいうアイテム出てきてるからね」

朝：　「確かにドラクエ�Tや�Uでは復活の呪文を聞いた後、ラスボスまではセーブポイントないね。延々と敵の城の中を這いずり回って、やっとの事で竜王とかゾーマにあったなぁ。でも倒した時は「やった！」って小躍りするくらい嬉しかった。苦労が報われたってね」

幻：　「今はプレイヤーがだんだんラクしていくんだ，これがイカン。苦労しろちゅうんじゃ！　八方美人なシナリオやめろや。月並みな展開もヤメロ，美人美女ばっかり出すな，自分で勇者を名乗るな，ビアンカ、俺んところへ嫁に来い？」

朝：　「わけ分かんねー！」

幻：　「まぁ、そういうことで、心に残らないありきたりなゲームこそがクソゲーなんじゃないのかな？　だからさっき君の言ってた『エアーズ』とかは俺にとっては名作。あんなの忘れられないもん」

朝：　「む、むぅ…しっかし」

幻：　「もしも１０年後、君は『ドラ●エ�Z』と『ラブクエスト』のどちらを憶えていられる自信がある？　前者は名門中の名門の予定・話題の名作となろう。後者はＳＦのレゲー・狂ったようなセリフ連発の希代の迷作」

朝：　「……」

幻：　「答えは、聞かない。結局、判断なんて人それぞれだし、『クソゲー』と思える思えないなんてのも個人個人の嗜好だからね」

朝：　「そうだね。世間一般が面白いと言っているものを、そうとは感じない人は山ほどいると思う。皆、同じ考え方してないし、それが間違ってるはずなんてない。個性だもの」

幻：　「大切なのは己の考えをはっきり持つ事だ。周りが面白い・最高だ！と言われてそれを自ら吟味することなく、同調してしまったり、逆につまらないという噂だけで目を逸らしてしまう事，それだけは避けたい所だね。もしかしたら人生の転機たる大切な何かを見落としてしまうかもしれないから」

朝：　「珍しくキレイにまとまった所で」