ゲットだぜ?


お題:『ポケットモンスター』


幻: 「可愛い顔してこの子ぉ〜は、きっとヤ(殺)るもんだねぇと〜♪」

朝: 「あら、ゲームボーイ買ったん?」

幻: 「草ポケモンがなんぼのもんじゃい! オレ様のヒノアラシの『ひのこ』攻撃で炭にしてくれるわぁぁ!! クククッ…ア〜ッハッハッハ〜〜」

朝: 「あの、もしもし?」

幻: 「ち(死)ね、ちねちねぇぇぃぃ!!」

    ごめす!

幻: 「ぐっは! 朝…貴様いつの間に『いあいぎり』の能力を…オレ様はひでんマシンを使ってないぞ?!」

朝: 「………もはやツッこむ気力も失せたわ」

幻: 「…すまん,さて気を取り直して今回は、世間のちびっこ(死語)の心をそれこそゲット(やや死語)した、ゲームボーイはポケットモンスターに迫ってみたいと思う」

朝: 「アメリカでも恐れられたソフトね。「ジャップの黄色いネズミが市場を席巻するぅぅ」って」

幻: 「そ,メガヒットね。さすがは任天堂だよ」

朝: 「このソフトの内容だけど…一応簡単に説明してよ」

幻: 「ああ。主人公は一流のポケモントレーナーを目指して修行の旅をするんだ」

朝: 「ふぅん」

幻: 「野生で平和に暮らしているポケモンに襲い掛かり、怪我をして弱くなったところをモンスターボールというもので捕獲,調教するんだ。ワシントン条約もびっくりさ。それも乱獲だよ、乱獲!

朝: 「え…ちょっとそれは…」

幻: 「さらに捕らえたポケモンを調教と称して野生のポケモンに襲い掛からせる! まさに平和な農村に機関銃を持ったアメ●カ兵が辺り構わず乱射するような感じかな」

朝: 「………」

幻: 「このゲームの醍醐味は、そうして育てたポケモンを他人のそれと戦わせることだね。どちらかが死ぬまでのデスマッチ,軍鶏よりもハードだね」

朝: 「軍鶏って…アンタ…」

幻: 「ポケモンを育てる幼い少年少女に、古のローマの剣奴をコロシアムに放り出す富民層階級を彷彿とさせるよ,ブルジョワジ〜? そう思わないか,朝?」

朝: 「…はぁ、どうしてそぅ、偏屈な見方しかしないのかなぁ,アンタは」

幻: 「だって想像してみなよ。可愛らしいピカチュウとニャースの壮絶な戦いを!」

朝: 「んー」

幻: 「どちらかが倒れるまで終わらない命の取り合い,頼れるのは己の身のみ。まさにグラップラー刃牙の世界さ。殺られる前に殺る,ピカチュウの電撃がニャースの神経を焼く! ニャースの鋭い爪がピカチュウの黄色い肌を赤く染める!!」

朝: 「…うぇ、想像しちゃったよ,ヤメヤメ!!」

幻: 「現実から目を逸らすな! 実際はそうだろう? 可愛いキャラクタというオブラートに包まれていながらもこのゲームが持つのは支配・暴力・服従だ。違うか?」

朝: 「ゲームだからねぇ」

幻: 「だからこそ怖いんだ。今の子供達がこのゲームから学んだことを将来実行したとしよう。まさに策略と陰謀,罠に裏切りが渦巻く世界にならないか?」

朝: 「そ、そこまで考えるか?!」

幻: 「じゃあ、結論として『友達と手と手を取り合ってモンスター図鑑を完成させつつ、お互いのポケモンを切磋琢磨し合いあう,友情・努力・勝利、そして慈しみを覚えさせる素晴らしいゲーム』だとしたら、世間は納得するだろう,でもお前は納得するのか?」

朝: 「いや、だからゲームでそこまで考えないし…」

幻: 「サイコーです!!」<目を虚ろにして

    ムカッ / ごめす!

幻: 「か、踵落しはないだろう?!」

朝: 「うるさいわねぇ,もうちょっと普通の話にしなさいよ」

幻: 「ん〜、そうだな。ポケモンってマスター・オブ・モンスターズに似てるのな」

朝: 「? 何それ?」

幻: 「昔、MSXとかであったゲームでね,モンスターを使役して領土を広げていくシミュレーションゲームだよ。あのHEX戦はなかなか面白かったね。モンスターも経験を積めばレベルアップする,ノリは同じだな、今思えば」

朝: 「そんなこと言ったら女神転生シリーズだって似てるじゃないのさ」

幻: 「そだね。でもモンスターの可愛さとかそう言った点では売れないよな。『デュラハンって、とってもぷりてぃ〜』とか誰も言わんし」

朝: 「言うか!」

幻: 「しかし何よりゲームボーイという携帯端末だからこそあそこまで広がったんだと思う」

朝: 「友達とデータ交換っていうのは確かに面白いね」

幻: 「一人でひたすらレベルアップしてても、それは自己満足でしかない。しかしそれが友達との勝負に使えるっていうのは魅力的だよな」

朝: 「そうだね。それにポケモンのソフト自体色んな種類が出てるから、そこにあるカオティックさも私は好きだな」

幻: 「それなんだが…赤・青・緑・金・銀…それに『ピカチュウと一緒』とかいうのまであって訳分からん」

朝: 「調べて買えよ…」

幻: 「何が違うんじゃ〜〜!!」

朝: 「色が」

幻: 「ま、そだね。オチがついたところで」

朝: 「ついてねぇ!!」