幻: 「こんなシンプル且つ入り込めるゲームがかつてあっただろうか?」
朝: 「ワイヤーフレームな迷宮と、居並ぶ怪物達。そしてその迷宮の一番奥に潜む大魔法使いワードナ!」
幻: 「このワードナを倒して魔除けを取り戻すことが本来の目的なんだけど…キャラを育て、迷宮に1階、また1階と降りて行くたびにそれは通過点の一つに過ぎなくなってゆく」
朝: 「いつしかプレイヤーはキャラクタの育成とアイテムの散策にハマっていくんだよね、懐かしいなぁ」
幻: 「これこそ元祖育てゲーじゃないのかな?」
朝: 「そうだねぇ。レベルアップを我が子のことのように喜び、死を身近に感じながら迷宮を今日はホンの少しおくまで行ってみようとかね」
幻: 「調子に乗って下に降り過ぎて、ドラゴンブレスにやられて命からがら逃げかえったりしたなぁ」
朝: 「うんうん,死んだキャラクタをカント寺院で灰化されて手に汗握り、塵化されて泣いたものよねぇ」
幻: 「そんなのを乗り越えて、ゆっくりと手塩をかけて冒険者を育て、初めは会ったら逃げ出してたグレーターデーモンもやがて良い経験値ネタと化したときの優越感! くぅぅ!!」
朝: 「ああ、地下10階の玄室ね。宝箱がテレポーターだった時は震える手で解除したもんだわ」
幻: 「ムラマサブレードとか手裏剣とかな。あとガープオブロードなんかが出た時の喜びは今でも忘れられん」
朝: 「シンプルイズベスト,っていうわけじゃないけど、最終目的がポンと一つ与えられているだけのこの物語は、それ故にプレイヤーの数だけ独自の物語があったと思うんだ」
幻: 「そうだな。プレイヤーが自分の中でキャラクタ達の物語を綴ってゆく。与えられっぱなしの最近のRPGではなく、自ら与えるRPGだね」
朝: 「色んな技術が発達した今でも充分に楽しめる、不朽の名作と呼ぶに相応しい作品じゃないかな?」
………
……
…
幻: 「マーフィーズゴーストって知ってるな?」
朝: 「うん、一階に出てくるブッシュワーカーよりも強い奴でしょ。属性変換に最適なヤラレ役ね」
幻: 「あれって製作者を子供の頃にいじめていた奴の名前らしい」
朝: 「…ある意味、ドラマがあるのね」