『とある深夜の報告書』
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−--
『猫』 ねこ(Cat) ネコ科に属し、Felis catusという学名をもつ、
おもに肉食性の小型動物。イエネコともいう。ネコ科の他の動
物と同様に、出し入れできるかぎづめ、するどい聴覚と嗅覚(き
ゅうかく)、暗がりでもみえる発達した視力、筋肉質でひきしまっ
た、しなやかな体をもつ。
記憶力がすぐれ、観察や経験にもとづく高い学習能力をそなえ
ている。寿命は約15年だが、20年以上生きる猫もいる。
「ふぅん」田波はデスク上のパソコンに映るその情報を見つめる。
何気なく立ち上げた付属の百科事典ソフトで「猫」の欄を調べたのだ。
「しっかし…何かあったのか?」田波はオフィスを眺める。
蘭堂、梅崎の2人は何らかの用があって席を外し、姫萩は地下,溜りに溜まっ
た事務処理をこなさなければいけないのに、残る2人,菊島社長と桜木の両名
はぐっすりと…
そう、ぐっすりと各々の席で深い眠りに就いていたのであった。
時間はおよそ12時間遡る。
「社長,本当なんですかぁ?」桜木嬢は眠気まなこをこすりこすり,傍らで
じっと一点を伺う幼児体型な社長に尋ねた。現在、草木も眠る丑蜜時…。
「ええ、確かな情報スジからの報告よ」
「情報スジって…社長が実際見たって言ってたじゃないですか」
「ええい,細かい! ほら、んな事言ってる間に出てきたわ!」そして廊下の
角に2人は身を隠す。
彼女達の見つめる先,神楽総合警備の地下にある「田波君の私室」の扉。
そこから1人の黒い服を着た少女が出てきたのである。
「ふぁ…」廊下で少女は両腕を高く上げて軽く伸びをする。どこか寝ぼけて
いるのか,彼女はおぼつかない足取りで、2人の監視者達とは反対の方向,
地上への階段を上がっていく。
「追うわよ,高見ちゃん」
「はい!」追跡者と化した2人は暗視ゴーグルを着用,何故か「東京マ○イ」
という札の付いたモデルガンを手に動き出したのだった。
黒服の少女,まやは社内から出、人気のない歩道を歩く。
「??」不意に足を止めるまや。車道との境にあるガードレールに目を止め…。
「!! しゃ、社長…」桜木が絶句。
「とうとう本性を現したわね」まやはガードレールの上に乗り、そこを歩き
始めた。
「…猫…だからですかね?」
「ええ、大変な発見よ」どこがだ? あんたら…
そしてまやは不意に路地裏に走る!
「き、気付かれた?!」
「そんな馬鹿な,追うわよ、高見ちゃん!」
「はいっ!」急ぎ、路地裏に入る2人。
「「ハッ!」」そろって足を止める!
路地裏に広がる暗闇,そこに1つ、また1つ光る目が増えてゆく…。
しかし2人の暗視ゴーグルには確実に映っていた。そこには数十匹の「ノラ猫&
飼い猫」がいることを!
その中心に立つ人影が2人にゆっくり振り返る。
「にゃぁ?」
目を光らせ、2人を見つめるまや。同時に他の猫達の目も思わぬ珍入者に向けら
れた。
「「ひぇぇぇ!」」
そして2人は戦術的撤退行動に移ったのだった…。
「どうなってるんだろうなぁ、この会社。なぁ、まや?」
「ん」
傍らでぼけっと立ち竦む少女に声を掛ける田波。その存在を確認した彼は、再び
パソコン上にある説明文の続きをクリックする。
夜行性であり、一日に決まったスケジュールをこなすという性質もある。
この性質が満たされない場合、ノイローゼとなることが多い。また、他
の猫達と集会を開くことがある。このことより、中世ヨーロッパでは悪
魔の使いや魔女のしもべと判断されることが多かった。主な種類としては…
「ふぅん、まや,お前も夜行性なのか?」
「???」首を傾げるまや。言葉の意味が分からない様だ。
「ま、いいや。仕事するか…」
こうして何気ない,本当に何気ない一日が過ぎていったのであった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
あとがき
祝2000Hit!! 早かったなぁ、1000からの間が…。
これもこのHPに立ち寄って頂いた貴方のお陰です,多謝!!
これからも宜しくお願いしますね♪
今回は、まや=猫という事実に基づいてみました。
猫を飼ったことのある方なら、「ああいう性質もあるぞ!」とか出てきそうですな。
朝、飼い主の胸の上に乗っかって前足で押しまくるとか…(エサくれという意味ら
しい)。
それがもしも、まや(人間モード)だったら…,ううむ、書くのが恥ずかしいな。
猫の性格は「What's マイケル」が非常に参考になります。
んな訳で、また!
1998/02/28(sat)
文/元
|