『とある年末進行な報告書』


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  菊島が走る。
  田波が走る。
  桜木が走る。
  一匹の猫を追いかけて無人の港をひた走る。
  海から吹き荒ぶ冬の風をその身に受けて。
  そして…
  3人と1匹の行く先には柊が待ち構えていた。
  彼女が昨夜、徹夜してあみ出した『最終兵器』を用意して。



  「「「んな!!」」」
  その最終兵器を目の前にして、3人は驚愕のあまりに目を白黒させていた。
  柊のあみ出した最終兵器とは、なんと…
  「あ、お疲れ様です」
  お茶をすすりながら『その』最終兵器で暖を取るのは柊である。
  「な、なによ、アンタ…その」
  「こたつですか?」
  にっこり笑って菊島の言葉の後を続ける柊。
  そう、彼女は港のど真ん中で最終兵器『こたつ』を展開していたのだ!
  「こ、こんなので化け猫が捕まるかぁぁ!!」
  「でも田波先輩、ちゃんと捕獲してますよ,ほら」
  こたつぶとんをぴらっとめくると、真ん中で化け猫が丸くなっている。
  桜木はその様子を見つめ、メガネの端を光らせた。
  「なるほど、猫はこたつで丸くなる…それは自明の理。まさに必然」
  彼女は最近『カ○ジ』などの同人誌に凝っていると噂だ。
  「ともあれ、デリート!」
  柊が手もとのハンドヘルドPCのリターンキーを軽快に叩く。
  パシュ!
  そんな音を立ててこたつが光り、化け猫は消えた。
  「化け猫、GETだぜ!」
  「違うわ〜!」
  親指を立てる柊に、菊島はどこから取り出したのかハリセンを一撃,
 豪快な音を立てて彼女の頭に叩き込んだ。
  「いった〜い!」
  柊は恨みがましく菊島を見つめ…
  何を思ったか、唐突に化け猫を封印したPCを操作しだした。
  「な、何よ」
  思わず後ずさる菊島,つられて田波もまた後ろへ下がる。
  そんな2人に柊はニコッと微笑み…化け猫を解放!
  ポン! っと音を立てて現れた化け猫に彼女は一言。
  「行け、ニャース! 乱れひっかきよ!!」
  「にゃ〜す!」
  「「ばかやろ〜〜〜!!」」
  いつの間にか額に小判をつけた化け猫に追い回される2人を
 見つめながら、桜木はニヤリと微笑み、こう呟いていたと言う。
  「使えるわ…」



   
  その冬の年末、有明の某所にて桜木がロ○ット団のムサ×の
 コスプレをしていたかどうかはご想像にお任せすることにしよう。




                                終わり


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 あとがき

  21世紀を目の前にして九萬HITでございます。
  皆さん、如何お過ごしのことでしょうか?
  今年もあと僅か,あがいてあがいて頑張りましょ〜〜

                                                          2000/12/17

文/