『田波の日記』

著者:元



 ふと高見ちゃんが田波の机の上を見ると1冊のノートが置いてあった。
 「? 何だろ、これ」
 何気なく開く。そこには某月某日、何がどうあったなどなどと書かれていた。
 「日記帳??」高見は一度閉じる。しかし、どうしても気になったのか、つい開いてしまった。


 8月某日
 まやがカルボナーラを作ってくれた。美味しかった。
 菊島とは出来が違うと感じる。


 8月某日
 朝起きると枕元にカルボナーラがあった。
 昼も出た。
 夜も出た。
 飽きたぞ。


 8月某日
 またカルボナーラだ。
 菊島がいない。
 逃げやがった、絶対許さん。


 8月某日
 人生って何だろうと考えた。


 そこまで読んで、高見はノートを閉じた。
 「高見ちゃん、どうしたの?」背後から田波の声。
 「い、いえ。ところで田波さん、今晩は私、料理を作らせてくださいね」
 「はぁ」
 その晩の高見ちゃんが作った料理は、品数も多く、豪華だったという。