『やめてよプリーズ』
おやじまや2
著者:元
「うにゃにゃにゃん,にゃかにゃ〜ん♪」
手に一杯の券を持ち、嬉しそうに歌を口ずさむ”おやじ少女”一匹。
場所は西武園競輪の一般観戦場所。
その内の怪しげなおやじ達のたむろしている一角に彼女達2人は溶け込んでいた。
全く違和感がないのが、らしいといえばらしいが。
「あれ、まや,そんなにたくさんの馬券,買うお金はどうしたの?」姫萩が不思議そうに問う。
まやは小遣いなど貰っていないはずだった。
「ん? ちょっと田波の兄さんの口座に手を加えてね」のほほんと応えるまや。
「なぁんだ,それってマリオの無限増殖みたいで無敵じゃん」
「うん!」
そのころの神楽総合警備・・・
ピロロロロ・・・
「はい、神楽総合警備です」蘭堂の声が響いた。
わずかなやり取りの後、電話を置いた彼女がバッと立ち上がる。
「仕事よ!」蘭堂の声がオフィスに轟いた。響く。
「依頼人は長期信用金庫,金融機関よ」嬉しそうに彼女は言う。
「でかした,え〜こちゃん」
「支払い、コゲつくかもしれませんよ」桜木の小さな呟き。
「・・・ま、そんときは担保でも取ってと,で、内容は?」
その問いに対し、蘭堂は机上のデスクトップを叩く。
届いた依頼書でもあるEメールを読みあげる彼女。
「ええ、何でも化け猫と思われるプログラムの侵入の痕跡を発見,オンラインを不正操作していたんだって」
「へぇ、化け猫もやっぱり金が必要なのかなぁ」感心したように田波。
「で、化け猫の退治及び、その口座の人間を捕獲せよって言うのが今回のお仕事・・・ねぇ???」語尾が疑問符にイントネーションが上がった。
「どした?」
「口座名は田波洋一,10億円の不正入金ですって」
「まやを緊急捕獲!」第一級装備をしながら田波が叫ぶ。
「使った分はアンタの給料から差し引いておくから」蘭堂の容赦ない言葉。
「捕獲次第、デリート!!」
”そろそろ私の時代ね,フッ・・・”桜木がそれを横目で見ながら、瞳の奥に邪悪な何かをたたえていたのを・・・誰も知らない。