『おやじまやReturn』

著者:元



≪前回までのあ・ら・す・じ≫(ゴメン,私も忘れた)

 菊島の『磁石を近づけないで下さい』攻撃によって「まや」はバグってしまう。
 結果、愛らしいはずのまやは「おやじまや」と変化し、呆然とする田波・菊島を尻目に、姫萩をも巻き込み、競輪場へと向かったのであった。
 さらに彼女は、田波の銀行口座からオンライン不正操作により10億円を引き出し神楽オフィスを混沌の渦中へと叩きこむ。
 その混乱の中、桜木のメガネの奥が光ったことを、誰も知らない…




 「とゆうことで」
 「人ごとですね、蘭堂さん」じと目の田波。
 「人ごとじゃないの」しかし蘭堂はあっさりとやり返した。
 「とりあえず、夕に連絡とってみましょう,高見ちゃん」
 「はい!」
 蘭堂の指示に、桜木はピポピ,電話をプッシュする。
 数回の呼び出し音の後、
 『はい、なぁに?』
 ぶっきらぼうな声が返ってきた。
 「姫萩さん,今どちらです?」
 『西武園競輪だけど』
 「そうですか、わっかりましたぁ!」
 桜木は受話器を置く。
 「西武園競輪だそうです」
 「ぐわぁぁ!! 早く、早く行かないと俺の給料がぁぁ!!」
 「給料だけで済むかね」冷たい紅の流れ星の突っ込みに田波はさらにもがく。
 と、そんな田波の肩を優しく叩く少女が一人。
 「大丈夫ですよ、田波さん」
 「? 高見ちゃん?」
 彼女はメガネをキラリ,光らせておもむろにパームトップパソコンを彼の前に差し出す。
 「私特製の勝ち馬券シミュレートプログラムが入ってます。これでまやちゃんに勝負を挑んでください!!」
 「……だぁめだぁぁぁ!!」
 独身男の叫びがオフィスに響く。
 レース開催まで後、3分,果たして田波の運命や,如何にぃ?!