『男だねェ!』
おやじまや4

著者:元



 「急げェェェ!!」
 出張君2号を飛ばし、田波は姫萩顔負けのドライビングテクニックを公道にて披露する。
 「ちょっと! もっとゆっくり走りなさいよ!!」
 「うるせ〜,俺の給料がぁぁ!!」
 右に左に、揺れる車内で、しかし後部座席ではノートパソコンを食い入るように見つめる3対の瞳があった。
 「蘭堂さん,これって…」
 「ええ、間違いないわ」
 「えらいことだぞ…」
 真中の桜木の沈痛な言葉に、両隣の蘭堂と梅崎もまた,苦い表情を浮かべている。
 携帯端末の液晶画面には一つの表が載っていた。
 西武園競輪・最終レースのオッズ表だ。
 レートが恐ろしいほど狂っていた。1番と3番がほぼ等倍である。
 「これはやっぱり、まやちゃんが…」
 「ええ」蘭堂は自信を持って頷く。
 「これは…」



 「まや,アンタどれ買ったの?」
 姫萩の問いと同時に最終レースがスタートする!
 「1−3の一点買い」デットヒートを繰り返す先頭集団を食い入るように見つめながら、少女,まやはぶっきらぼうに答えた。
 「男だねェ」
 のほほんと姫萩は素直に感心。
 10億円全財産を一点買いした”おやじ少女”,果たしてその運命や,如何に?!!?