『柊 巳晴 覚醒(?!)』
著者:元
「いいか、この会社でやっていこうと思うならまず同僚を当てにしないことだ」
田波は神楽の穢れを未だ知らぬ後輩に真剣に語り掛ける。
「ハッタリと押しの強さだけで世の中渡ってる連中だからな」
「はぁ…」
「例えばあの蘭東っていう人…」
田波の説明を半信半疑で聞きながら、新入社員・柊は頷く。にわかに信じられない話ではあるが、
この田波の真剣な表情を見る限り、あながち嘘とは言いきれない。
「つまり、この会社は暴力的な人格破綻者の集合に等しい」
彼の説明が一区切り付き、そこで始めて柊は彼の隣に座る少女の説明がなかった事に気付く。
変哲もない,どちらかというとこの場にそぐわない美少女だった。確か名前は…そう、まやといった。
柊は田波に問う。
「この子は?」
「ペットだ」
「?!」
”ペット? それって…まさか、いや、そんな、でも…やっぱり田波先輩とまやちゃんはイケナイ関係?!”
田波とまやを交互に見やって、柊は何を思ったか赤面。
「いいか、仕事は他にいくらだって…ど、どうした?」
田波はその時になって始めて目の前の後輩の顔色が悪い事に気付く。
「柊さん?」その肩に手を振れようとした瞬間…
「いやぁぁ!! 人格破綻者ぁぁ!!!」
「はぐぅ!!」
アッパー一撃,倒れる田波を足蹴に、柊はオフィスを飛び出していった。
「得意技、黄金の右ストレート、と」
蘭東はその様子を横目に、柊の査定書にそう項目を付け加えていたという…