『BOSS』

著者:元



  とある極秘任務の帰り道。
 「あ、もしもしぃ」
 路上で携帯電話を弄ぶ女子高生グループらしき集団を横目に、彼女は隣を歩く上司にボソリ、呟いた。
 「矢島隊長,最近、着メロとかって流行ってますよね」
 「ああ」
 「私、思うんですけど、大人でも入れてる方、いますよね,あれって恥ずかしくないんですかね? 社会人失格ですよぉ」笑いながらも真剣に、力説する彼女・成沢。
 不意に、その時である。
 「ちゃ〜ら〜ららら〜らら〜ら〜ら〜♪」
 勇ましい電子音が鳴り響いた。
 矢島はおもむろに、己の懐に手を入れ、オンフックボタンを押す。
 「!?」硬直の成沢。
 「矢島だ…入江か! 核が?! ああ、ああ、分かった」
 ピッ…
 「あ、あの〜」おずおずと切り出す成沢に、矢島はクルリ、振り返る。
 「明日から君に会えないのは、残念だよ」
 が〜ん!
 言葉の通り、次回ミッションには成沢は外されたそうな,なまんだぶ…