『ホワイト メモリーズ @』

著者:元



 ”ホワイト・デーか”
 蘭東 栄子は街を歩きながら、デパートのウィンドウを眺めて思い出す。
 あげた事が少ないだけに、貰った憶えも少ない。
 しかし、そぅ、あの時は驚いたものだ……



 「え〜こちゃん、え〜こちゃん!」
 「え〜こちゃん言うなって,うぁあああ!!」
 朝、彼女が玄関を出てすぐに、待っていたのはいつもの従兄弟。
 毎日、高校への通学は面倒ではあるが一緒に行ってやっているのだ。
 しかし、いつもよく見るソイツは2人いた。
 ”なになになに?! こやつ、分身の術でも習得したっていうの?!”
 「え〜こちゃん,コレ、ホワイト・デーのお返し!」
 従兄弟・結城の片一方がそう言った。
 ”お返し??”
 蘭東は何故か笑顔のまま動かない結城の鼻ずらをちょんとつつく。
 「飴?」
 「そ、1/1スケール結城キャンデーだよ」
 「………さすがに驚いたわ、でも私にこんなもの、食えって言うの?」



 ”アレはその手のマニアに高く売れたわね〜”
 思い出し笑いの蘭東。
 今年の3/14は何もなく暮れ行く…