『ホワイト メモリーズ A』
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「柊くん!」
「は、はい! 田波先輩?!」
夕日をバックに、彼女は田波にがっしと肩を掴まれる。
田波の真摯な瞳一杯に、驚きの顔の柊が映っていた。
「今日のホワイトデーのお返しは、この俺だ!」
「ええええええ?! 本気ですか?!」
「本気だ」
「嬉しい!!」
田波の胸に飛び込む柊,フェイド・アウト。
「なぁ、高見ちゃん?」
「はい?」
「どうしたんだろ、柊さん?」
田波は机に向かって何やらニヤニヤしている柊を指差し、唯一の常識人(と思っていた)に尋ねる。
「さぁ?」
桜木もまた、やや怯えた風に声を小さくして答える。
「季節的に春が近いから、じゃないですかね?」
「そっか。春、だもんなぁ…」
そうか?