『ホワイト メモリーズ C』
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「まや、こいこい」
「?」
田波は窓辺で寝そべる仔猫を呼ぶ。
呼ばれて耳だけを動かした彼女は瞬後、人型の少女となりトコトコと走り寄ってきた。
「この間はありがとな。はい、削り節」
「ゥ」
彼女は満面の笑みを浮かべ、大きなビニールの袋いっぱいに入った削り節を大事そうに胸に抱える。
「あの、田波さん?」
「ん? どうしたの、高見ちゃん?」
「何か違うような気がするんですけど…」
「そう?」
「?」
純粋に首を傾げる田波とまやに、桜木は困ったように眉をしかめ、そして、
「ま、何でもないです。はい!」
穏やかに2人に笑いかけた。