『銭湯準備OK? 弐』

著者:元



 「ええと、集合は2時間後かぁ…隊長達って案外長風呂なのかな?」
 綾金健康ランドは女湯の脱衣所に彼女はいた。
 彼女は何やら一人そう呟くと、なやかな肢体を隠す様に小さめのタオルを胸に抱き、小さな石鹸とシャンプー片手に湯煙りの立つ浴場へ消えて行った。
 入れ替わる様にして7人の女性がやって来る。
 「う〜、あったまいた〜〜」
 「アレくらいでか?」
 先頭の蘭東に梅崎。
 「結構広いんですねぇ」
 「にゃ〜にゃ〜」
 「観念しな、まや」
 桜木と、まやの襟首をつかんだ姫萩、そして
 「アタシ、脱いだらスゴイのよ」
 「そ、そうなんですか??」
 菊島と柊,計7人の神楽だ。
 いつもは何処かしなびた雰囲気漂う綾金健康ランドがこの瞬間、急激に華やかになったと番頭のおばちゃんは後に証言している。
 女湯だけだが。
 対して男湯では…



 至る所に筋肉の壁があった。一般人ではない,軍人の体つきだ。
 「なんか妙に男臭いなぁ」
 ハウンド隊員に囲まれ田波は一人、お湯に首まで浸かる。
 幾つかあるうち、一番広いと思って入ったはずの浴槽はしかし人口密度が高く狭かった。
 さらにである。
 「肩まで200秒! それ!」
 「1」
 「2」
 「3」
 分隊長らしき男の叫びに応じて、隊員らしき男達が只でさえも大きい声を張り上げていたりする。
 「199」
 「200!」
 ザザァ!
 およそ20人が一斉にその浴槽から上がった。
 「あ、あれ?」
 一人残された田波はお湯が腰までしか無くなっているのに気付き、ただただ呆然とするしかなかった。