『銭湯準備OK? 参』

著者:元



 「あ…巳晴ちゃん…それ??」
 「どうしたんですか? 高見先輩?」
 桜木は柊の肩を眺める。
 やや日に焼けた彼女の細い肩にはまるで刺青の様な子猫の文様が…
 「ああ、これですか」クスリと笑って柊。
 「今流行りのワキアートですよ,あのキム●クのCMの」
 「…今の娘って、一体?!」
 いや、君も若者じゃないか? 高見ちゃん??



 黒い影が2つ、動き出す。
 向かうは綾金健康ランド,長い長い爪が伸び始め、まるで剣と化し始める。
 そして目にも止まらぬ素早い動き,2人は人間ではなかった。



 「ふぎゃー」
 わしわし
 「我慢我慢…」
 「ふみぃ〜〜〜」
 ごしごし
 「ほら、終わった」
 肩で息する石鹸の泡だらけのまやに、姫萩はシャワーのお湯をかける。
 「ふみゃ〜〜」
 水が嫌いなまやは逃げ出そうとするが、右足首を捕まれ思いきり転倒。
 額をタイル張りの床にしたたか打ちつけて目を回す。
 「何やってんだか」
 構わずに姫萩はまやにお湯をかけ始めた。



 2人の人外のモノ,化け猫は顔を見合わせると、綾金健康ランドに足を踏み込んだ!



 サウナで三人の女性が談笑していた。
 「ハウンドの装備ってお金は結構掛かってるみたいですよ」
 「火力はどうだ? 火力は??」
 「そこそこじゃないでしょうか? あ、でも最近は訓練で実弾使えます」
 「実弾か…良いなぁ」
 「アンタは気がねなく撃ってるじゃないの。そんなことより機会があったら物資をこっちに回してくれない?」
 「それは横領と言うのではないでしょうか?」額に汗のハウンド女性。
 成沢、梅崎、蘭東の会話は何処か物騒であったという。