『なわとび』
著者:元
化け猫が走る。
神楽が――田波が、梅崎が走る。
そしてハウンドも走る。
「姫萩さん! そっちに向ってます!!」
田波は化け猫の背を追いかけつつ、携帯電話の向こうに警戒の叫びを上げる。
戻る返事は――
「お〜、任しとけ〜!」
やや間の抜けた、陽気な声だった。
化け猫の突き進む道は右に折れ曲がる、そこには待機していたバモスがあるはずだ。
と、
化け猫の姿が折れた道で見えなくなる。
一瞬後に、再び田波と梅崎は自ら右に折れた道に飛び込むことにより化け猫の姿を捉えた。
続いてハウンドの一隊も彼らの後ろに。
一同、硬直!
道の先で仁王立つ女性の姿に、化け猫を始めとした一同は動きを凍らせる。
そこにはバモスを背に、縄跳びを手にした姫萩の姿。
彼女はニヤリ、笑みを浮かべこう叫んだ。
「一番、姫萩 夕。縄跳びします」
「「酔ってる?!」」絶句の田波と梅崎。見ればバモスの運転席には開封済みのウィスキーのボトルが一本。
「無論、ブラなしで!」
「「「おおおっ?!」」」ざわめくハウンド,どうしたら良いのか分からない化け猫。
そして姫萩は両手に縄跳びを持ち…
「んじゃ、九重跳びを…」
言うなり彼女の両手は高速回転。
シュゴゥゥゥ!!
「「「見えねぇぇ!!!」」」
特に落ちヌ。