ボツネタ×3
【その@】 むしろ婦警と呼んで
対アンデルセン戦を終えて。
「私にはセラス=ヴィクトリアとゆ〜名前があるんです!」
叫ぶ婦警に、しかしアーカードは鼻で笑ってこう返した。
「うるさい、お前なんてハタ坊だ」
「マ、マスタぁ?!」
「いや、むしろウルフ金串なんてのはどうだ?」
「きょ、局長?!」
「そうだな。おい、金串!」
「せめて女性にして下さいよぉ、ますたぁ〜〜〜!!」
「ならば、ニコチャン大王で…」
「両性具有っスか?!」
「アーカード、それはあまりにも可哀想だ。せめてハインケルにしてやれ」
「…婦警でいいです」
アイルランドの風は寒い…
ハインケル「そんなに私が嫌か?!」
【そのA】 くれ!
「おまえの従僕だ、インテグラ。命令(オーダー)を、命令を寄越せ、我が主人」
なんか黒い奴がそう叫んでいた。それに金髪の令嬢は軽くこう答える。
「んー、玄関先掃除しておいて」
「…婦警、やっておけ」
「ええ?! 私デスカ?! ぶつぶつ…」
「インテグラ。命令(オーダー)を、命令を寄越せ、我が主人」
「じゃ、そこの魔人が出てきそうなツボを磨いておいて」
「…婦警やっておけ」
「ますたぁ〜〜!」泣く泣く婦警。
「インテグラ。命令(オーダー)を、命令を寄越せ、我が主人」
「…背中を流してくれないか?」
「認識した、我が主!」
撲殺!
「い、いんてぐら…命令(オーダー)を、命令を寄越せ、我が主人」
「ちょっとマッサージしてくれないか?」
どべしぃ! 吸血鬼を蹴り飛ばして執事が息を切らして飛び出した。
「このウォルターにお任せをぉぉぉぉ!!」
執事・完全に沈黙!
セラス「ああん、お掃除終わんないよー!」
【そのB】 オーダーを! 王将編
「やー、英国の王将は広いねー」
「そうですね」
「いらっしゃいませぇ!」
中華料理店・王将の英国支店。
テディベアの刺繍のあるエプロンをした色黒の女性が、2人の客を出迎えた。
「お二人様ですか?」
「はい」
「ではこちらにどうぞ」
大陸からの客・エンリコ・マクスウェルと他一名はカウンターについた。
と、調理場の方から恨めしい声が聞こえてくる。
「インテグラ。命令(オーダー)を、命令を寄越せ、我が主人」
「うるさいよ、アーカード!」叫ぶウェイトレス。
コロリと表情を変え、二人の客に尋ねる。
「何に致しましょう?」
「ええと、少し考えさせてくれ」
「分かりました」
営業スマイルのインテグラ。その間にも厨房の方からは男の低い声が聞こえてくる。
「私は炒める。微塵の躊躇もなく一片の後悔もなく(にんにくを)炒める事が出来る。この私は炎の料理人だからだ。ではおまえは? お嬢さん?」
ギリィ、インテグラは歯を噛み締める。
「あ、すいません、私は天津セットで」
「私は炒飯セットを」
インテグラは注文書を書き、きっと厨房を見据える!
「入ります! ラーメンセットいー,ソーハンセットいー!」
その叫びに、低い声が返ってくる。
「それで良いのか? インテグラ。中華鍋は私が構えよう。油もひき、卵も割ろう。だが…注文を引きうけるかどうかはお前の殺意だ。さぁどうする? インテグラ!」
「…私を舐めるな、従僕!」
バン! オーダー票をカウンターに叩きつけ、インテグラは叫ぶ。
「私はオーダーを下したぞ、何も変わらない! 「火力が命」、「火力が命」だ! 我々の食するあらゆる材料を切って炒めろ! 逃げも隠れもせず、正面玄関から打って出ろ! 全ての障害はただ進み、押しつぶし、粉砕しろ!」
はぁはぁ…インテグラは肩を上下させる。
「はっ…はははははッ!」
そんな笑い声が厨房から漏れてきた。
「了解、それが最後のイチジクの葉だ。…これも炒めて良いのか?」
ジュゥゥ!!
「カーッカッカッカー、秋山の魔法を見るが良い!!」
「「おお、オリエンタルぅ!」」
そんな間違った東洋が厨房から漏れていた。
今日もこの店は繁盛している…ようだ。
インテグラ「無理あるぞ、これ…」
のっぺりとつづく…