タブロイド/週刊ヘルシング


* ヘルシング・ゲーム化? セラス役にこおろぎさとみが起用か?!

 「大変です、大変ですぅ、局長!!」
 どんがらがっしゃん,何故か水の入ったバケツに躓き、辺りを水浸しにしながらヘルシングは局長室に転がり込んだのは、半人前の吸血鬼・セラス=ヴィクトリアである。
 「なんだ、婦警。騒々しいぞ」
 「た、大変なんですよ,局長」
 「だーかーらー、何にそんな驚いているんだ。深呼吸しろ,すーはーすーはー」
 「すーはーすーはー」
 「落ち着いたか?」
 困ったものを見る目つきで、インテグラは目の前のセラスを見つめた。
 「はい、あのですね,ヘルシングがすでにゲームになってたんですよ!!」
 「はぁ?」
 素っ頓狂な声を上げるインテグラにセラスは続ける。
 「それもコナミです,著作権問題に関しては奴の方が一枚上手です!」
 「…そんな報告、聞いていないぞ。どんなゲームだ?」
 「局長がムチを振るってマスターを倒すってものです。中ボスにはせむし男・ウォルターさんとか、アンデルセン神父も登場です。乞うご期待?」
 「疑問形使われてもなー,そもそもどうして私がアーカードを倒さなきゃならんのだ? それにアンデルセンって一体…」
 むぅ、と熟考モードに突入のインテグラ。
 「今、ベルナドットさんがゲームを持ってくるはずです,リッジウェイ商会に無理言って調達させましたから」
 「持ってきたぜ、嬢ちゃん」
 言葉が終わるか終わらないかの内にやってくるはベルナドットだ。
 セラスは彼の手からゲームが記録されていると思われるディスクをふんだくった。
 「これです、局長!」
 「変わった形のディスクだな」
 それは黄色いディスクだ。3.5インチのそれともちょっと形状は異なる。下部にはNINTENDOの文字があった。
 「これはファミコンのディスクシステムってやつらしい。こっちも調達してきたぜ」
 どでん,ベルナドットは少しばかり大きな装置をインテグラの机の上に置いた。
 今や珍しい、ツインファミコンだったりする。
 彼は慣れた手つきでそれをTVへと接続。
 画面にはチープな音楽を伴って日本語の画面が現れた。
 「ん? 悪魔城ドラキュラ??」
 インテグラは画面の文字を読みながらインテグラはコントローラーを手にする。
 主人公シモン(男)がムチを振るって吸血鬼を倒すアクションゲーム…の様だ。
 無論、ヘルシングに何の関係もない。
 「婦警ぃぃぃ!!」
 激怒のインテグラ。
 「ごめんなさい,なんかちょっと違っていたみたいですねー」
 しかしインテグラが怒っていたのはこの点では、ない。
 「主人公、男じゃないのー!」
 ひゅうん
 ぴしぃ!!
 「ひぃぃ!! ムチで打たないでぇぇ!!!」
 「死ね、死んでしまえ〜〜」
 ぴしぃぴしぃ!
 「ひ〜〜」
 そんな2人を視界の片隅に置きながら、ベルナドットはゲームを続けながらこう呟いた。
 「嬢ちゃんの言ってる事、合ってんじゃね〜か??」



* 美しきロマンスグレーの思い出は? 美人局長脱毛事件

 「局長」
 「何だ?」
 「局長のお父様ってどんな方だったんですか?」
 「突然だな、婦警」
 局長室で油を食っていた婦警はソファに身を沈めながらそんな質問をぶつける。
 「なんとなく聞きたくなっちゃって」
 「ん〜、そうだな」
 ぽりぽり、軽く頭を掻いてインテグラは父の姿を思い出す。
 「ロマンスグレーな髪が素敵な、燻し銀の魅力を持った紳士だったな」
 懐かしい瞳でそう答える。
 「へぇ…やっぱり心労が多いから、髪は白くなっちゃったんですね。あ、局長も後ろに一本、白髪がありますよぉ」
 「お前らが苦労をかけさせるからな」
 二人が笑い合った、その時である。
 がしゃり
 唐突に扉が開いて三つ編みの男が入ってきた。
 「なぁ、こんなもんが演習場に埋まってたんだけどさ」
 言いながらインテグラの机の上にバスケットボール大の四角い金属の箱を置いた。
 大きな錠前が付いていて、鍵なしには開きそうもない。
 「何です? これ」
 「箱、だな」
 「開けてみようぜ」
 ベルナドットはセラスに言う。彼女はその意味を理解して、錠前を握り締めた。
 みしり
 吸血鬼の怪力によって錠前は粘土の様に千切れ、蓋が飛んだ。
 3人は顔を合わせんばかりに中を覗く。
 そこには…
 「ヅラ?」
 「ヅラですね」
 「ヅラだな」
 中にはヅラが入っていた。ふさふさとした白髪のそれだ。
 「「なんだこれ?」」
 顔を見合わせる3人。
 「どうかしたのですかな、皆さん?」
 と、その時、一人の老人が部屋へとやってきた。
 「あ、ウォルター,こんなものをベルナドットが見つけてきてな」
 「演習場に埋まってたんだ」
 ウォルターは箱の中を覗く。
 「あ、それは先代の…」
 思わず呟く老執事。
 「先代の?」
 聞き漏らすことなくセラス。
 「い、いえ、何でもありません」
 ムーンウォークで後退,退出するウォルター。額に冷や汗が浮かんでいるのをセラスは吸血鬼アイでしっかりとキャッチだ。
 「今、ウォルターさん,先代のって…言いませんでした?」
 一同、沈黙。そして…
 「ウォルター!! 一体どう言うことだぁぁ?!?!」
 叫んでインテグラが彼を追いかける。
 「あ、髪が一本抜けた…」
 擦れ違いざま、彼女の金色の髪が一本抜けて、ベルナドットの鼻の上に落ちた。



* 大失態?! 怪僧の痴れ事、あんなことこんなこと

 「局長、大変ですぅ〜〜」
 たすけて〜,ドラえも〜んと言わんばかりのリズムで局長室に転がりこんだのはセラス=ヴィクトリアその人である。
 「何事だ、婦警?」
 部屋の主は『またか』と言わんばかりに彼女を眺めた。
 「北アイルランドの某都市で、アンデルセン神父がカツアゲやってます!!」
 「…はぃ?」
 「カトリックからの苦情までも寄せられてます!!」
 ?マークを周囲に引き連れながら、インテグラは己の額に手をやり、こう呟いた。
 「……北アイルランドに飛ぶぞ」

 北アイルランド・某都市。
 「ベルナドットさんが先に現地入りしてます」
 現場に近いホテルの一室で、セラスはインテグラにそう告げた。
 と、唐突に部屋の扉が開いて三つ編みの男がよろけて入って来た。
 「ぐふぅ!」
 床にそのまま倒れこむベルナドット。
 「べ、ベルナドットさん?!」
 「一体どうした?!」
 婦警は倒れた彼を抱き起こす。
 ベルナドットの左胸には、彼の血で真っ赤に染まった大きな羽が突き刺さっていた。
 「これは…」
 「赤い羽根…共同募金??」
 「帰るか」
 「そうですね」
 2人はその場にベルナドットを残し、北アイルランド・某都市を後にする。


 翌日、趣旨を勘違いしていたアンデルセン神父は某教皇より強くお叱りを受けたとか受けなかったとか…


さぁて、今週のヘルシングはぁ?

レゲ〜
ヅラ
厚意の押し売り

の3本で御送り致しました。
じゃんけん…ポン!(謎)