交錯した過去〜交錯する時
「ここかぁ、神楽警備保障は」
「そうね、このビルの13階にあるはずよ」
「ところでさあ」
「なに、夕」
「行ってどうするの?」
「………」
「………」
「………」
「…まあ、このパソコンを返すってことで…」
「それに、あたしの友人が誰だか確かめてみたいしな」
この三人、道中でかなり仲良くなったらしい。
「じゃあ、行きますか」
三人で中に入る。
ロビーは冷房が入ってないどころか、なぜか床から発熱さえしていた。
「あちーな、ここ」
「あ、だれか出てきた」
裏口のようなところから、暑さで半分以上溶けている少女がでてきた。
「あの、すいません」
「はい?」
死にそうな口調で少女は答える。
「このビルに、「神楽警備保障」ってあります?」
「ないよ」
「「「え!」」」
「この前、潰れたのよ」
「そんな、じゃあ、あたしたちなんのために綾金まできたの?」
「潰れてたか…ちっ、あんな火力、どうやってるのか知りたかったなぁ」
「このビル、煙草売ってない?」
「あなたたち、神楽警備保障になんか用事があったの? もしかして、依頼?」
「いやいや、なんでもないですよ。ただ、このパソコンをもらったんで、返しに来たんですよ」
「あっ、それは…じゃあ、あなたたちだったのね!」
「あれ? もしかして神楽の関係者の方ですか?」
「あたし、社長よ!」
「おーい、エレベーターきたぞ」
「じゃあ、行きましょうか、真紀」
「こらぁ! 軽く流すなぁ!」
「つーか、なんでこんな女の子が社長なんだよ」
梅崎は言ってしまった。
バシュッ
次の瞬間、梅崎の帽子だけがボウガンで射抜かれていた。
「うわっ、なにをする!」
チャキッ
彼女はルガーを構えた。
「…やっぱり。あなたが紅の流れ星ね」
「なんであたしのことを…」
「いい、みなさん。神楽総合警備はあなたたち3人をそれぞれ格闘、戦闘、運転のプロフェッショナルとしてスカウトします!!」
「なんですって?」
「は? 総合警備?」
「ねえ、煙草ない?」
この瞬間、運命の歯車は回り始めた。
最終話:発覚 / TOP