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お正月
「あけましておめでとうございますっ!」
「おめでとう、未紅。カメラ目線で誰に言っているのかさっぱり謎だが」
「テレビの前のみんなに決まってるじゃないの、ユウ。そんなことよりアタシの格好見て、何も感じないの?」
「着物、着てきたのか?」
「そう、このアタシの名にふさわしい、血のように真っ赤な色を施した晴れ着をねっ!」
「嫌な色だぞ、ソレ」
「そんなことよりっ! お正月といったらユウは何を始めに思い浮かべる?」
「初夢」
「うぁ、寝ることばっかり考えてますよ、主人公のクセに」
「……なら未紅は何を思い浮かべるんだ? もちろん立派なもんなんだろうな?」
「当然じゃない。お正月といえば年の始め。年の始めといえば、昔からお代官様とかお偉い人が言うじゃないのさ、まずは『姫初め』だって」
「……おまえ、意味分かっていってるのか?」
「とーぜんでしょ? 書初めの仲間かなにかじゃん、違うの?」
「家に帰ったらお父さんお母さんに聞いてみな」
「むー、そーする」
「ともあれ、今年一年」
「よろしくおねがいしまーす」
ふかぶかとお辞儀しあう2人。
「じゃ、まずは神社で甘酒もらってのみましょう」
「いやいや、まずはおみくじで今年の運勢を占うことから始まるだろう」
「巫女さんをじっくり眺め回すのもいいわねぇ」
「それは男であるオレのセリフだと思うのだが、未紅?」
先にお参りしろよ、お前ら。
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