Diary
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窓から覗く外の空は、高く蒼い。 けれど、どことなく物寂しく見えるのは雲一つないからだろうか。 暖かな日差しの降り注ぐ、のんびりとしたお昼。 だけれども、寒さも次第に自己主張してくる季節。 シャッシャッシャ 軽快な音が外から聞こえてくる。 シャッシャッシャ 決して不快ではない、何かを擦る音だ。 「んー」 ラップトップパソコンを前にした彼は胸のポケットに入れたタバコの箱を摘む。 「む」 その中にライターしか入っていないことに気づいた彼は、重い腰を上げる。 ガチャリ 2階建てのアパート。その二階西側に居を構える彼は玄関の戸を開けた。 僅かな眩しさに目を細め、サンダルをつっかけて外へ。 「ん?」 階下。アパートの前の道端を、竹箒で掃いている女性の姿が目に入った。 エプロン姿の髪の長い女性。 彼女は玄関の音に振り返り、彼と目が合う。 「こんにちわ、亮くん。お出かけですか?」 「れれれのれ」 ぼそりと、彼は彼女の言葉に付け足してみる。 「近所のコンビニまで。しかし、なんだって掃除なんかしてるんですか、乙音さん?」 錆びた鉄製の階段を下りながら、彼は乙音に問う。 彼女の足元には街路樹から舞い落ちたイチョウとモミジの葉が山と積まれている。 黄色と赤の、実に秋を感じさせる色合いだ。 「誰かがしないと落ち葉で埋まっちゃいますよ」 苦笑いの乙音。 「それもそうですね。ここの管理人はこういうのには無頓着ですし」 亮はパチンコ好きの老人の顔を思い出しつつ、乙音の前を通り過ぎる。 「それじゃ」 「いってらっしゃい」 「おかえりなさい」 「ただいま、乙音さん。はい」 タバコを咥えた亮は、火の付いた落ち葉の山を見ている乙音に手のひらサイズの銀色の筒を投げ渡す。 「?」 彼女は右手でキャッチ。 「あら、缶コーヒーですか。ありがとうございます」 カシュ、小気味いい音を立ててタブを引っ張る彼女。 「おつかれさま」 亮もまた、ポケットから同じものを取り出してカシュっと栓を開ける。 2人で缶を傾ける。 「「ふぅ〜〜」」 溜息は同時。白い湯気が2条、揺らめいた。 「亮くんはお昼ごはんは?」 「あー、そういえばそんな時間ですね。朝が遅かったからあんまり食欲ないなぁ」 「じゃあ、これを一緒に食べましょ♪」 乙音は手にした木の棒で、燃えている落ち葉の山を突いた。 その奥の方から、器用にも棒を使って何かの塊を一つ取り出す。 銀紙に包んだそれは、20cmほどの物体だ。 彼女は銀紙を取り外し、中から出てきた赤黒いそれを真ん中で2つに割った。 ふわりと、白い湯気が黄金色の断面から上がる。 「どうぞ」 言って、彼女は片割れを亮に手渡した。 「焼き芋ですか。どうりで落ち葉集めなんかしてるわけだ」 「う、ち、違いますっ! ついでに焼いただけですよーだ!!」 「ふーん。ま、そういうことにしときます。いただきまーす」 「いただきます♪」 2人の口の中に、温かく甘い香りが広がった。 秋――天高く馬肥ゆる。 そしてそれが過ぎると雪降る季節の始まり。 心と体の防寒対策、忘れずに――― * おいもっ! なんてーか、身動き取れない忙しさでして。 日ごろの運動不足もあり、体力が続かない結果、せっかくのお休みの日が大抵寝てすごします。 ああー、スポーツの秋とかってどこにいったんでしょう?(己の生活態度が悪いだけ) 皆さんはどんな秋を過ごされていますか? 21th Nov/2004 1+1が必ずしも2になるとは限らない。 時にはマイナスになったりもするだろう。 しかし虚数になるってことはあるのか? 剣を構えた彼は一人、上も下も分からない不可思議空間でただただ唖然としていた。 背後では「あれー?」だとか「おやー?」だとか呟きながら首をかしげている仙人の少女がいる。 「なぁ、俺達は屋敷に巣くう化け物たちを相手に戦っていたよな?」 彼の問いに、仙人は笑って答えた。 「そうね。私がアナタに回復の術をかけつづけていたわね、うんうん」 「それが唱え間違いしたと?」 「まぁ、アレよ。ナンタラの筆の誤りってやつ?」 「ほほぅ」 「仙術の1つや2つ失敗したって笑って許してあげるおおらかさって必要だと思うよ?」 「うるせー、とにかく何とかしろ」 同様の内容を伴っていると思われる鳴き声も四方八方から聞こえてくる。 それは巻き添えを食らった化け物たち。 彼「ら」が元の世界に戻れるのかは誰にも分からない…… * キャストミス ぶっちゃけ「唱え間違い」ってないのかよ? とツッコミを入れようが、もともと作られた世界の出来事なのだから検証しようがない。 しかしながらよく考えると、現代この世においても「唱え間違い」は存在するのです。 例えば甲子園での選手宣誓。 これ言い間違えたら、うん。大変。 ……思ったよりも面白くないのでこの辺で。 17th Nov/2004 「センパイセンパイ、今の娘、誰ですか??」 「? 妹だが?」 「えぇ?! 相馬センパイに妹さん、いたんですかっ」 「何をそんなに驚いておるのかね、今井くん?」 涼やかな顔で青年は、隣で詰め寄る後輩に首を傾げた。 問われている方の彼は襟章からこの高校の3年、詰め寄る方は2年であることが伺える。 2年の男は、すでに廊下の向こうへ去ってしまった1年の女子の背中を探すように見つめている。 「ムチャクチャ可愛い娘じゃないですか」 「そうかね? 毎日見ていると分からんもんだな」 「毎日の生活がバラ色っスね!」 「手のかかる猫みたいなものだと思うが?」 「猫って……夜中に寝床に入ってくるわけじゃないんですから」 「時々あるが?」 「ぬぁ!? マジっすか、マジッスカ?!?!」 「そんなに驚くことかね? まぁ両親が旅行に出て、雨が降っている夜なんかは怖いのだろうな」 「くはぁぁ! 萌え萌えじゃないですかっ」 「萌え??」 「もしかしてパジャマ姿の妹さんが『お兄ちゃん、一緒に寝ていい?』って言いながら部屋に入ってくるんですか、くはぁ、羨ましいぜっ」 「いや、違うな」 「? 違いますか?」 「パジャマはあまり好きではないようでな。寝るときは私の着古したYシャツを好んで着ているぞ」 「ゲフッ!」 「ど、どうした今井くん。血を吐くなんて……」 「い、いえ、あまりにも羨ましいシチュエーションに、体がついて行けないようでした」 「そういうものか?」 「そういうもんです。ってか、相馬センパイ、それってヤベーっスよ。マジに萌えっスよ」 「ヤバい、か」 「ヤバいです」 「そうだな。アイツもいい歳頃だ。未だに兄と一緒にお風呂というのはどうにかしている」 「ちょーっと待ったぁぁ!! センパイ、今なんて言いましたか?!」 「いい歳頃だと」 「その後!」 「私と一緒にお風呂というのはどうかしている?」 「そう、そこ!」 「そろそろ兄離れしてもらわんと」 「もー、犯罪っスよ、ああ、もうこんチクショウ! これで血がつながってなかったら、即18禁っすよ?」 「よく分かったな」 「は?」 「妹は再婚した父の相手の連れ子でね」 「どーなってんだよ、この世の中!! オレにセンパイの幸せのホンの一匙でいいから別けてもらいたいっすよ! あ、白川先輩こんにちわ」 「おや、白川くん。ご機嫌ななめだね」 相馬と今井の後ろには、いつのまにか3年の女子が立っていた。 無表情な彼女の顔を見て、しかし相馬はどこから感情を読み取ったのかそう問うた。 白川嬢は無言のまま右手を振り上げ、 ごす 「? 白川くん?」 相馬の額にチョップ。 ごすごす 「やめたまえ、白川くん」 ごすごすごす 特に避ける風でもない相馬の額に、白川の無言のチョップが続いたのだった。 「やってらんねーよ」 とは、今井くんの談。 * 幸せの偏在化 最近のワタクシはムチャクチャ仕事が忙しい状態が続いておりまして、さらにそれがデフォルトになってしまっておるのです。 そのデフォルト状態からさらに忙しさが募ってきたものですから、この状態は……。 そうそう、オメガ忙しい?(←オメガ馬鹿とレベッカ先生にツッコまれつつ) しかし忙しいという負の方向の出来事が続くと、それに相対する正の方向の出来事が起こってもおかしくないはず! そんなわけで。 最近起こった幸せ♪ 1.ルーター通してインターネットできるようになった(ってか電源3日抜いておいたら自然とできた)。 2.山形空港でやっていた搭乗者プレゼントに当たってラ・フランスの詰め合わせが送られてきた。 3.えーっと、えーっと……冬に向けて体重増えた? 4.それ悪いことじゃ? 5.そういや会社の昇給試験が落ちたなぁ。 6.土日は寝て過ごす以外、気力が起きないなぁ、はぁ。 し、幸せなんてっ!! ノベルゲーム第二弾「もみじひとひら」の背景撮影のために、ちょいと山に行って来ました。 すっかり秋を満喫してきましたよー♪ 満喫の仕方は、 厚着して自転車で出発→山道がキツイ→汗だく→服を脱ぐ→帰りの坂道→寒い いやぁ、冬の足音がっ。 ![]() 14th Nov/2004 「ただいまー」 「うきゃーーーー!!」 「??」 帰宅した彼女は部屋の奥から聞こえる妙な声に首を傾げる。 「ああー、もぅ、何でよー、キーーー!!」 奇声を発しながらパソコンの配線やら何やらを振り回しているのは、彼女の姉であった。 「どーしてうまくいかないの?! なんで、どーして?!」 「あのー、姉上? 何を遊星から来た謎の怪鳥のような悲鳴をあげておるのです?」 くるりを彼女の振り向いた姉は、右の耳に小型ドライバーをさしてキッと彼女を睨む。 「何でか分からないけど、ネットワークの確立がうまくいかないのよっ!」 雪音が姉の手元を覗き込む。 そこには分解されたパソコン。袋から出されたばかりらしい部品。 そして乙音の頭上には、かなり不安定な状態でパソコンデスクに鎮座する21インチモニター。 「サービスセンターに電話してみたらどう?」 冷蔵庫から麦茶を取り出し、雪音は問う。 「とっくに電話したわよ」 「ダメだったんですか?」 「お話にならないわっ! 説明書と同じことを言うだけ言って、それがダメだったら『お使いの機器が壊れていると思いますので、そちらのメーカーにお尋ねください』の一点張りよ!」 「まぁ、それはそれは…」 如何に労力を省くかがサービスセンターの基本であろうことは、学生の雪音でさえ分かる。 「分からないから訊いているのに、「分からない」ってどーして平気で言えるのかしらね、ヤツラはっ!」 それはそれで問題があるような気がするが、取り立てて事を荒立てるつもりはない雪音である。 「あ、それじゃ、亮お兄ちゃんに訊いてみたら? お兄ちゃん、パソコンとか得意そうだし」 「ダメよ」 「へ?」 姉の即答に雪音は首を傾げる。 「私は亮クンには『電気系統は強い女』というイメージを植え付けてるの。ってか私、こういうのは強いはずだし」 「でもダメじゃん」 「ウキーー!」 乙音が立ち上がろうとした瞬間。 不安定だった21インチモニターがパソコンデスクから落ちた。 落下先には乙音の後頭部! ごす 「きゃふ!」 フローリングの床の上に、乙音が目を回してノビた。 「……我が姉ながら、なんとゆーか」 麦茶を冷蔵庫に戻し、その足でキッチンへ。 タオルを水に濡らし、姉の後頭部に置いた。 「さて、このまま目を覚ましてもらっても困るし」 雪音はしばし考え、そしてそのまま玄関を出て隣の部屋のインターホンを押した。 「やっぱり僕の出番かい?」 「よく分かってらっしゃる」 顔を出した男性に、雪音はニカッと微笑んだ。 「そりゃ、あれだけ騒いでいれば聞こえるさ。壁もそんなに厚くないんだから」 「そうなんだ。だから亮お兄ちゃんは女の人を部屋に連れ込まないの?」 「……あー、はいはい、そーですよ」 憮然と答え、亮は先程まで乙音が見ていたパソコンの前に。 「カノジョいないんだったら、アタシがお兄ちゃんのカノジョになってあげようか?」 「大人をからかうんじゃないの」 亮は軽く雪音の頭をこずくと、目を回した乙音の隣に腰を下ろし、パソコンを眺める。 「なるほど、ルーターを導入しようとしてたのか。雪音ちゃん用の回線を作るつもりだったみたいだね」 「?? なんだか分かんないけど、直るのかな?」 「どうだろう? 乙音さんがこういった系統が強いのは事実だから、僕に分かるものかどうか…」 言いながら一つ一つをチェックして行く。 「うーむ」 「分かった?」 「いや、さっぱり。手順はあってると思うんだけど」 「ふーん。ところでお兄ちゃん。これ、差してなくて良いの?」 雪音が指差したのは電源アダプターの一つ。ルーターの電源だった。 それはどこにも差さっていない。それどころかビニール袋に入ったままだった。 「あー、それだそれ。灯台下暗し、だな」 「気づかないものなのねぇ」 未だに目を回して夢の世界にいる姉を眺めながら、雪音は大きな溜息をついたのだった。 * 必ずしもそうではないが ルーターを購入しました。 けれどネットワークが確立できません。 ヤフーのサポートセンターに電話しました。 説明書と同じ説明をされました。 最終的に「ルーターメーカーに問い合わせてください」&「LANカードが壊れている可能性があります」。 あー、それはないですから。買ってきたばかりですし。 ってか、ODNの時もそうだったけど、時間の無駄だな! 分かっていることをおさらいしただけでした。サポートセンターってそんなモンみたいです。 原因ですが、色々調べまして、どうやらモデムに使っていたLANカードのMACアドレスが記録され、それ以外のアクセスは禁じている模様。 これはセキュリティのためと思われますが、これを解除するにはおよそ1.5日モデムの電源を落として内部メモリを飛ばさないといけないっぽい。 ……モデムの原因じゃねーかっ!! とりあえず、来週PC使わない時間が多いので試してみることにします。 今日の風の王国――― 久々の門派イベで草原へ遠足に。 ギリムやマリョといった懐かしい面々に会えました。 ![]() 帝や大の中に平仙人が一人…(^^;; 7th Nov/2004 吹きすさぶ砂塵の向こうから、奴らは帰ってきた。 己の存在意義を示すために。 安穏とした生活は、彼らの人生にとっては一時の休息に過ぎない。 戦いこそが、彼らの生き様なのだ! ![]() ネットゲー「風の王国」に復活しました。 キャラはいつもの「刀牙」&「夜想」。 久しぶりに入ったそこは、何の変わりもなかったです。 っていうか、全然VerUpしてねーよ(^^;; 接続者の数もかなり減り、200人いるかいないか。寂しいものです。 その中でもやはり見知った名は多く、どこかしら安心するものを感じました。 さて、そんな中で久々に狩りましたよ。 刀牙ではお相手が見つかりづらい感じだったので、仙人の夜想にて。 屋敷で1時間ちょい。取得経験値が増えたそうで、2.7億も稼がせていただきました。 効率がほぼ1.5倍かな。 狩りの方は、呼びかけに応じていただいたのが大戦の方だったので、かなり安心して狩る事ができました。 霊魂のタイミングがうまく取れませんが。 これからコツを取り戻していきたいと思います。 見かけたら声を気軽にかけてやってくださいませ。かなり喜びます。 出現時間は大抵、夜かと思われます、はい。 本日は久々に晴れていたので、現在製作中のゲーム(もみじひとひら)の背景写真を撮りに山の中&街中へ行ってまいりました。 イメージに近い写真を撮ることはできましたが、切り株の写真と倒木の写真の良い物が発見できず。 あと「伝説の木」っぽい写真も。これはネットで探そうかなぁ。 ともあれ一歩一歩少しづつ、前へと進んでおります。 大事なのは前へ進む意思、なんでしょうね。 3rd Nov/2004 預言者の言葉は絶対無比に正確だった。 これから起こる天災、人災、そして一人一人の生き死にまでをも正確に当てることができた。 人々は預言者を敬い、そして恐れた。 やがて預言者は人々の恐れの感情から生まれた暴力によって、無残な死を迎えることとなる。 今まさに死を迎える直前、迫り来る暴徒達を前にして、とある記者が預言者に尋ねた。 「この状況を、貴方は予知できなかったのですか?」 預言者はその問いに、憂いを帯びた、そしてどこかしらせいせいした感じを伺わせる笑みを浮かべただけだった。 その国には不死と呼ばれた将軍がいた。 とある記者は将軍の『死』の直前にこう質問をした。 「将軍はなぜ不死なのですか?」 将軍は寂しそうな笑みを浮かべてこう答えた。 「私の死は今は亡き著名な預言者によって予見されているのです。彼の言った死に方をしない限り、私は死なないのです」 「それはどんな?」 「誰にも言えない秘密です」 そう答えた将軍は、まだ若いにもかかわらず老人のように記者には見えた。 数日後、将軍はキュウリを喉に詰まらせて死んだ。 それは予言された通りの出来事だった。ゆえに将軍はキュウリを徹底的に避けていたのだが。 なんと将軍は、スブタに入っていたキュウリを食べて死んだのだ。 ……という訳でさ。スブタにキュウリなんて入っているのはおかしいんだよ」 「黙って食いな、このバカ息子が!」 * パインも許せません 某試験が落ち、ある意味で転機が訪れた。 しかし目標がない。困ったもんだ。残された時間は少ない……。 色々あって、80代で異国に渡っていた祖母が亡くなった。 「今生の別れ」という言葉を不意に思い出した出来事です。 時間は等速で我々の間を等しく過ぎてゆく。 1st Nov/2004 彼は頭をひねった。 さて、この登場人物たちはこの先、どんな行動をとるのだろう? 一人は男。妻がある身で愛人がいる。 一人は女。夫を心から愛している。 そんな彼女が、夫の愛人の存在に気づいたら…… 「なぁ、この場合、彼女はどんな態度をとると思う?」 彼は後ろに立っていた女性に尋ねた。 「そうね」 彼女は言う。 「きっと夫を殺すんじゃないかしら?」 「うーむ、定番と言えば定番だな」 唸る男。 「しっかし実際はそんなことするかね」 「するわ」 女性は彼の懐疑的な言葉に即答した。 「随分と自信があるね」 「そりゃ、そうよ」 ニッコリと笑う彼女。 「そんなもんかね?」 ふーん、と首を傾げる彼。 「そんなもんよ」 答える彼女の後ろ手には、抜き身の包丁――― * そんなもんさね 肉体疲労の回復がなされない@元です。 フィールドに制限か何かかかってるのだろうか? いや、きっと呑みすぎと睡眠不足。多分。きっと……? 31th Oct/2004 趣向を変えて、最近姉の元へ移り住んだ雪音っちのお話などを。 彼女は一応、高校1年生なのですよ。 新しい学校で暴れまわっている模様です。それではどうぞ――― スポーツの秋とか言うけれど、俺にはそんなものは無関係だ。 今日も学校行事で「球技大会」とやらが開催されているそうだが、せいぜいノリのいい奴らで楽しんでくれればいい。 遥か下から聞こえてくる歓声をBGMに、俺は青い空に輝く太陽を見上げながら煙を吐いた。 学校の屋上。 静かでいい。今日は一日ここで寝ることにしよう。 くわえたラッキーストライクを寝そべるタイルに押し付け、俺は再び太陽を見上げ…… そこには青い空と眩しい太陽はなく、怒りの形相を湛えたツインテールの女とスカートから覗く白いパンツ、そして目いっぱいに広がる靴底が迫っていた。 めしっ どうしようもない音が、俺の頭に食い込んだ気がした。 ぶつん、俺の思考の電源が間違いなく落ちた音だと思う。 「フレー、フレーッ、イ・チ・マ・ツ♪」 やけに浮いたその女の歓声を聞きながら、俺はバッターボックスに立った。 金属バットを軽く素振り。一回二回。 そして俺を見てやや引き気味のバッターを睨み、俺はバットを外野へ向けて指し示す。 ホームラン宣言だ。 「キャー、イチマツー! カッコいいよー!」 うるせぇ、バカ女。俺はやるときゃやる男だ。 ピッチャーは俺のその態度にやや憮然とした表情を一瞬浮かべたが、俺の一睨みで沈黙した。 代わりに振りかぶって第一球を……投げた! 外角低め! ギリギリストライクゾーンだ。普通の奴なら見逃すが、野球の神たるこの俺に撃てない球などない! 掬い上げるようにして、振りぬく。 まずは右手に、そして左手にいい感じの感触が伝わった。 快音! 白い球は、まっすぐとセンター方向外野を越えて校庭の外にまで伸びて行った。 ホームランである。 俺は当然の顔でダイヤモンドを一周。 皆の唖然とした雰囲気の中、本塁を踏んだ。 同時、俺の背中に抱きついてくる奴がいる。 「さすがね、イチマツ!」 ああ、バカ女か。 当然だろ、俺は伝説の野球の神だぞ、野球の神っ! 野球の…神? 「あ、あれ?」 今、俺は何をやっていた? なんか野球とかやっていなかったか? んでもって、ホームランとか打たなかったか? 俺は屋上でタバコ吸ってこんな球技大会はフケてたはずだろ? なんでこんなトコで点数まで取ってんだよっ!! 街を歩けば誰もが恐れた狂犬の異名すら持つこの俺がスポーツだとぉぉぉ?!?! 「なに、アンタ寝ぼけてんの?」 腰に抱きついていたバカ女がその大きめな瞳にあからさまな侮蔑の一色をこめて首を傾げる。 「球技大会・野球の部でウチら1−Bは決勝で1−Eと激突したのよ」 「それと俺が何の関係あるんだ?」 「4−5のまま最終回で2アウト、ランナー2塁、最後の打者としてアンタが代打に立ってサヨナラホームランぶちかましたんじゃないの」 「そーじゃなくてだな。どうしてこの俺が野球なんぞをやってるんだ?」 バカ女は小さく首をかしげてこうのたまいやがった。 「アタシが屋上で寝てたアンタをカカト落としでノして、ピヨってるところをちょちょいと暗示をかけて最強打者に仕立てたんじゃないの」 あー、コイツ殺していいですか? 「さぁ、放送部。ヒーローインタビューをどうぞ♪」 一方的に言い放ち、奴は俺をマイク片手に佇む放送部とやらの一団に蹴りだしやがった。 「市松さん、ひ、ひとことお願いします」 マイク片手にややビビリ気味の2年が俺に問う。 よくよく見れば、コイツらにしても遠巻きにこちらを伺っているクラスの奴らにしても、俺に向ける視線が微妙にいつもと違う。 いつもはただの恐怖の塊を見るような視線なのだが、今に限ってはその中に僅かに何かを期待しているものを感じる。 「あー」 俺は軽く頭を掻く。仕方ねぇ、一言言ってやる。 バカ女は相変わらず気にくわねぇが、結果的に今の俺はちょっと気分がいい。 だから一言。 「っしゃ!」 「「おーっ!!」」 クラスの奴らがその後に続いた。 まぁ、たまにはスポーツも良いかも知れないな。 俺の名は市松 京也。一部では血みどろ狂犬で通っている。 最近妙な奴が学校に転校してきやがってから、俺の周りがまるで回避不可能な台風の直撃を受けたかのように何かが変わってしまっていくような錯覚に陥ってる。 妙な奴――それが先程から俺にまとわり付いてくるバカ女だ。 名前は雪音とかいう、どう見てもお前はまだ中坊だろうと言いたくなる、第二次成長期を迎えていないとしか思えないガキだ。 だがコイツ、滅法強い。 不条理なほど強く、転校初日に3年の総番をシメやがった。 その理由が「転校生はやっぱり総番シメなきゃ♪」という訳の分からんもの。あと音符付けるな。 その後、俺との通称『パンツとカカト落とし』事件を経て現在に至る。これについてはあまりに頭の痛い事件だったため、話をするには俺の中で思い出にするだけの長い時間が必要だ。 ともあれそれ以来、雪音という女は同じクラスである俺の周りをうろちょろすることとなる。 ウザいことこの上ない。 これがスタイルも性格もいい、おしとやかな女ならば歓迎すべきことなのだが、口も悪く胸もない、あつかましさに関しては天下一品な女ではたまったものではない。 以前の殺伐としつつニヒルな生活が恋しい、今日この頃である。 ってか、コイツの席が隣になったのが運のツキなのか? そうなのか?? 誰か俺を助けてくれ――― * 雪音の出番を増やしてくれ。 ぶっちゃけ、体育の授業中にタックルを受けて転倒→頭を打つ→意識を失う→でも何故か体は動く→気づくとちゃんと授業は受けて着替えも終わっていた、なんてのを体験したことがあります。 無駄に意識がない分、動きは普段より良かったそうですよ。 いやぁ、やっぱり脳へのダメージは怖いね、脳は。 駅で号外が配られていました。 なにやらまたイラクにて日本人がテログループに捕まったそうで。 どうして行くなと言われているのに行くのかなぁ…どれだけ復興の足を引っ張っているのか分かっているのだろうか? 今度はどんな輩が捕まったのかを検索してみると、 LINK ………こんなやつ、放っておけ。 日本人ゆえに、そうもいかないのだろうけど。外務省のみなさんお疲れ様と言いたい。 27th Oct/2004 「うぐあぁぁぁぁぁ…」 「どーしたんです、カエルがお尻から徐々に潰されていくような声を出して」 「カエルがお尻から潰されて行くなんてゆー、きしょい場面に遭遇したことがあるんですか? ってより、勝手に部屋に入ってこないでくださいよ、乙音さん」 机で真っ白な原稿を前に唸っている僕を、後ろからひょっこりと覗き込んでいるのはお隣のお姉さんであるところの乙音さんである。 「だってインターホンいくら押しても返事がないんですもの」 「誰かさんが連打したせいで壊れてしまいまして」 「困った方ですね、誰がそんなひどいことを」 「アンタだ、アンタ」 「そんなことより亮クン。気分転換に行きません?」 インターホンを『そんなこと』と一蹴してしまった乙音さんは、人差し指でキーホルダーに付いた車のキーをくるくるさせながら言った。 ちなみにキーホルダーは一頭身のペンギンがくっついている。趣味が変だ。 「どこに行くんですか?」 「紅葉でも観に」 「…そうですね、アイデアにつまっていたので丁度いいかもしれません」 僕は腰を上げる。 「運転は乙音さんが?」 「はい。華麗なドリフトをお見せしますわ」 「ふつーに運転してください」 もっともこの時点で乙音さんが僕を何の意味もなく、ドライブに誘うはずはなかったのですが。 さて乙音さんの乗る車は真っ赤なミニクーパー。 BGMとして陽気に口ずさむのはGET WILDだった。年代がバレバレである。 小一時間ほど走ると、いつしか景色は山の中。 でも。 「乙音さん」 「はい?」 「外、真っ白ですね」 「濃霧注意報がバリバリに出ていそうですね」 5m先が見えないほどの霧に包まれていた。先日の雨が原因だと思う。きっと標高の高いこの地点は雲の中なのだ。 「せっかくの紅葉が見えませんね」 「うーん、残念」 答える乙音さんはしかし、全然残念そうじゃない。 「そうは見えませんけど?」 すると乙音さん。「うーん」と考え、 「そうそう、亮クンと2人きりっていうのが嬉しいんですよ、だってこれってデートじゃないですか」 「『そうそう』が付くあたり、全然そう思っていないと思うんですけど?」 「細かいことを気にすると、シワが増えますよ? あ、着きました」 車が止まる。 山奥のとある一軒家だった。 看板がかかっている。そこには『山野寝酒造』なーんて書かれていた。 よくよく見れば、周りには何台もの車が止まっていた。 少なくともこんな霧の中、紅葉を観に来たようには見えない。 「ん? なになに? 新酒、お一人様一本限り?」 僕の目に入ったのは、一軒家の前に書かれた張り紙の注意事項。 と、僕の手が柔らかいものに掴まれ、そちらに引っ張られた。 「さ、並びますよー。『ついで』なので買って行きましょうね」 乙音さんに腕を捕られ、僕達は行列の一部となる。 どっちが『ついで』なのやら。 ともあれ、今夜はご相伴にあずからないと、僕としても納得できないことだろう。 並びながら、おつまみのメニューを考えている自分がいた。 原稿のアイデアはきっと、ほろ酔いの中で見つかるに違いない、うん! * 路上で売ってた山菜をおひたしにしたそうな 西武ライオンズ優勝おめでとふ♪ なんだか2年おきに優勝していた記憶があったのですが、パ・リーグで優勝はしていたけれど日本一は12年ぶりだったそうな。 地元に住んでいたのに、とんと気づきませんでした。地元ゆえ? 25th Oct/2004 彼らは若き挑戦者達だった。 年寄りは彼らにいつも、こう冷たく言い放ったものだ。 「無理なものは無理だ」と。 「それができて、なにになる」と。 だが彼らは挑戦し続けた。 諦めることなく、挑戦し続けたのだ。 そしてついに。 彼らの挑戦は実を結んだ! 「で、できた」 「できたぞ」 「できたんだ!」 彼ら――若いタラバガニ達はとうとう『まっすぐに』歩くことができた! 横にしか歩けなかった彼らは、しかし今日からは違う。 まっすぐ歩くこともできるのだ。 コツは足の関節を普段使わない方向へ曲げることだった。 さすがに8本もあると難しいが、頑張れば可能だ。 ともあれ、これはタラバガニ界にとって大きな一歩になるはずだ。 喜びに沸く、その時だ。 彼らは一斉に何かによって足元をすくわれた! なすすべもなく、彼ら全員は見えない力によって上へ、海面へと引き上げられて行く。 「おお、大漁だ」 「今年のカニも美味そうだな、オイ!」 挑戦。 それは飽くなきものなのである。 挑戦者達に幸あれ! * カニすき食いてェ パソコンの使っていない機能を現実的にしてみたりした週末でした。 TVにモニターの画像を出力できたんだぁ。 あとUSB端子をようやくPC前面に持ってこれたよー。 24th Oct/2004 晴れた日。 青一色の空の下、背の低い草の覆う河川敷。 川岸では3人の子供達が小石を積み重ねて遊んでいる。 それを見下ろせる土手に、2人の男と1人の女がいた。 3人とも中年近くの年齢であると見て取れる。 2人の男のうち、やや頭髪が気になる方の男が、空を見上げた。 つられて残る2人も見上げる。 晴れ渡った雲一つない、青一色のキャンパスだったそこにはしかし、一つの線が描かれようとしている。 白い一直線だ。 飛行機雲である。 「俺たちは」 初めに空を見上げた男が呟いた。 「結局、どこまであのヒコーキ雲に近づけたんだろうな」 「そうだなぁ」 隣の男がその言葉の後を継ぐ。 「君は正直に走り続けたんだよな、オリンピックマラソンの金メダルじゃ、まだ届かないのか?」 問われ、彼は首を横に振った。 「そういうお前はエースパイロットになった。どうだ、あの頃の俺たちが目指したところに届いたのか?」 質問をそのまま返され、男は苦笑。 「あ、ヒコーキ雲だっ!」 そんな声は川岸から。 3人の子供達が届くはずがない飛行機雲に向かって駆け出していた。 東から西へと伸びる、まっすぐな雲はすでに、その根元は風に散らされて薄くなっていた。 けれど未だ西の空の高い位置にある先端は、空を分断するかのようにとがった姿を生み出し続けている。 「走ると転ぶわよ」 残る一人の女性が彼らに声をかける。 それが拍子だったかのように、3人の子供達のうち1人が転んだ。 2人の少年と1人の少女。 転んだのは少女だ。 「あらら」 それを土手から見下ろす、苦笑いの男2人。 だが母親である女は心配した風もなく、ただ黙って見つめている。 少女は泣くこともなく、少年達は彼女を起き上がらせて再び走り出した。 「ほぅ」 「なるほど」 2人の男達は感嘆の息を漏らす。そして女に振り返った。 「昔の俺たちとは違うな」 「君はよく泣いていたっけ」 そんな男達の視線と言葉に、女は小さく笑いこう応えた。 「これが私の近づき方よ。きっとあの子達は、私たちよりもずっと近づけるはず」 再び3人は空を見上げる。 視界に入るは西へと伸びる飛行機雲。 しかし3人が見ているのは、子供たちが見ている飛行機雲とは違う。 彼らの目に映るのは、すでに消えてしまった飛行機雲。 幼い日に見た、きっと走れば追いつけると思っていた、夕焼けの彼方へと消え行くヒコーキ雲だった――― * おいかけておいかけて♪ 『鳥の詩』は何度聴いても名曲だよなぁ。 聴きながらなんとなく書いてみました(↑)。 取り戻せないものは「時」でありまた、「時」こそがすべてを形作って行く。 しみじみ感じて、「あー、そろそろなんとかしなきゃなー」とぼんやり考えてみたり。 20th Oct/2004 カゼガ、ナオラナ〜イ〜〜(ロボット口調で) そんな中でラグナへログイン。 ハナミズずびずば状態で剣士なんぞを作ってみたり。 ![]() はぁ〜、マグナムブレイク気持ちエエなぁ♪ 課金終了まで@2日。 18th Oct/2004 「あー、また雨かぁ」 ここのところ雨が降ったり止んだりと、不安定な天気が続いている。 「帰りまでは持つかと思ったんだけどなぁ」 僕は駅の改札口で、一歩足を踏み出したところに降り注ぐ雨を憎々しげに見つめた。 曇天の空はこの雨が降り止む気配がないことを示している。 「珍しく外出するとこれだもんなぁ」 もっとも蒸し蒸しとするであろう電車の中の湿気地獄は、間一髪回避したので良しとするか。 僕は駅に並んで建っているコンビニへと足を運び、安いビニール傘を購入した。 「さて、途中の牛丼屋あたりで晩御飯食べて行くかな」 ビニール傘を開き、僕は一人呟く。 と、先程僕が出てきた改札口に見知った後ろ姿を見つけた。 会社帰りのサラリーマンや学校帰りの学生に混じって、雨のおかげで駅から足を踏み出せない人々の中で、それは間違いなく僕の知っている人だ。 腰まであるまっすぐな長い黒髪、ぴっしりと着込んだスーツ。 形のいい白い膝下がスカートから覗いている。 彼女は携帯電話でどこかに電話しているようだった。 「乙音さん、こんにちわ」 僕の声に振り返る彼女。 ちょっと驚いた目で僕を見つめ、そして電話に向かって一言。 「ごめんなさい、雪音。傘は大丈夫よ」 言い放ち、ぷちっと通話を切った彼女。 「こんばんわ、亮クン♪」 にっこりと微笑み、乙音さんは僕の右腕に腕を絡ませる。 「渡りに船って、こういうこと?」 「どーいうことですか…」 ひょんなことからアイアイ傘になってしまった。 「今の電話は?」 「雪音に…あ、妹に傘持ってきてって頼もうとしたんだけどね。ちょうど亮クンいたし」 言って乙音さんは透明なビニール傘越しに空を見る。 「この雨の中で迎えにこさせるのも、可哀想ですしね」 「そうですね」 言っている間にも、さらに雨が強まったようだ。 比例するかのように、乙音さんが胸に僕の腕を抱く強さが強まった気がした。 腕に襲い掛かる、思った以上の柔らかさの破壊力に内心たじろぐ。 「亮クンは今日はどうしたんです? いつもは部屋に籠もって怪しいことしてるのに」 「怪しいことって何ですかっ! 今日は出版社にどうしても行かなくちゃいけなかったんです」 「運が悪かったですね、こんな日にお出かけなんて」 笑う乙音さん。確かに天気は運が悪かった。 でも、まぁ。 腕に感じる心地良さを差し引きすれば、そうは悪くはない。 「乙音さんも会社帰りですか?」 「ええ。そうですよ」 「そういや、なんの仕事してるんです?」 僕の問いに、乙音さんの笑みがニヤリとしたものに変わった。 「なんですか?」 「知りたいですか?」 どこかからかうような表情に、僕は内心とは反対の言葉を返す。 「…いや、別に」 「知りたいでしょう?」 「全然」 「仕方ありません、お教えしましょう」 人の話を聞かない乙音さんはきっとB型に違いない。 「時報を告げたり、スケジュールを管理したり、毎日の記念日を調べたりするお仕事です」 なんじゃ、そりゃ? 「秘書みたいなお仕事ですか?」 「秘書だなんて…いやらしいですね、亮クンは」 「秘書からなんの想像をしたらそういう結論になるんです?」 きっと偏った内容のドラマだとか書籍を読んでいるに違いない。 「それはそうと、乙音さんは夕飯どうします?」 「んー、亮クンはどうするの?」 「僕はどこかで食べて行こうと思ってたんですけど。帰りがお急ぎなら、帰り道のコンビニ弁当買って行きますよ」 「それなら、途中の『鳥串』寄って行きません?」 鳥串というのはアパートの近所にある居酒屋だ。名前のとおり、焼き鳥を中心に出す日本酒のおいしいお店である。 「でも妹さん待ってるんじゃ?」 「いいのいいの。それに今日は私、お給料も出たんです。おごりますよ♪」 「え、いいんですか?」 「どーんと来いです」 そう言っている間にも僕達は店の前にたどり着く。 「さー、呑みますよー!」 気合を入れる乙音さん。 と、その首が『こきゃっ』と横に傾いた。 「このバカ姉がぁぁ! また給料分呑み干すつもりかぁぁ!!」 僕の腕から乙音さんの体温が消えた。 乙音さんは傘の下に僕だけを残して、きれいに横に吹き飛んで行ったのだった。 彼女は電柱下のゴミ捨て場のポリ袋の山に頭から突っ込んでもがいている。 僕の隣には代わりに、傘を手にした少女が荒い息で立っていた。 ツインテールの、中学生か高校生か、そのどちらでもあるようなないような女の子。 「あ、えと」 どうやらこの子が乙音さんに全力で飛び蹴りをくらわせたらしい。乙音さんの背中にはくっきりと足跡がついていた。 「今日はまっすぐ帰ってくるって約束したでしょ! 晩御飯作って待ってるんだから、寄り道しないのっ!」 むんず、と乙音さんの後ろ襟首を掴んで引き摺る少女。 「雪音、お姉ちゃんはアナタをこんな乱暴な子に育てた覚えはないわよ」 「そりゃ、姉上に育てられた覚えもありませんし」 少女は僕に目を合わせると、小さく頭を下げる。 「姉がご迷惑をおかけしました」 「いや、別に迷惑なんて…」 「かけてないわよねぇ、亮クン?」 すでに雨でびしょ濡れになっている乙音さんが引き摺られながら言った。 その言葉に少女――雪音ちゃんは僕をまじまじと見つめる。 「アナタが亮さんですか?」 「ひぁ!」 姉の襟首から手を離す雪音ちゃん。乙音さんはアスファルトの水溜りの中にべしょっと落ちた。 「常々、姉がお世話になっております」 深々と頭を下げる雪音ちゃん。 「あ、いや、そんなことはないよ」 乙音さんは妹に僕のことをどーいっているのやら…?? 「あ、そうだ。雪音、お夕飯に亮クンもご招待したらどうかしら?」 「え?」 雪音ちゃんは姉を見て、そして僕に振り返る。 「姉もああ言っていることですし、ご迷惑でなければいかがでしょう?」 「いえ、こちらこそご迷惑でなければ」 「そーと決まればさっさと帰りましょう。雪音ちゃんの料理はおいしいのよー♪」 雨の中、すでに濡れることを厭わずにアパートに向かって歩き出す乙音さん。 「そうか、楽しみだな」 僕は雪音ちゃんに笑って答える。が、 「いえ、人並みですよっ!」 姉の言葉に、雪音ちゃんはぷいっと僕から目をそらして頬をわずかに赤く染めた。 最近は雨降りが多くて憂鬱だったけれど。 今はそんな雨も特に気にするものではなくなっていた。 * ナベ料理だったそうですよ。 雨続きだったのと、お仕事が忙しくなり本州を駆け巡っていたのが災いして風邪引きました。 みなさんもお気をつけて〜〜〜。 16th Oct/2004 ……の世界に一人の少年がいた。 彼は一人だった。無数の人々が暮らす世界の中で、彼はいつも一人だった。 人々と交わることができない彼は、想像の中で一つの世界を作り出した。 しかしそれは、この世界とは全く異なる世界だ。 同じように人々が暮らし、生活を送る世界ではあるが、『この世界」においては『その世界』はお伽話に出てくるような完全に空想の世界だった。 『その世界』を作り上げた彼は、想像主ゆえに神であった。 だが『この世界』の住人である彼にとっては、所詮は『その世界』は想像上のものであり、彼の現実には何ら影響を与えるファクターではない。 しかし。 彼は『その世界』にとっては間違いなく神なのである。 その世界に一人の少女がいた。 彼女は一人だった。無数の人々が暮らす世界の中で、彼女はいつも一人だった。 人々と交わることができない彼女は、想像の中で一つの世界を作り出した。 しかしそれは、この世界とは全く異なる世界だ。 同じように人々が暮らし、生活を送る世界ではあるが、『この世界」においては『その世界』はお伽話に出てくるような完全に空想の世界だった。 『その世界』を作り上げた彼女は、想像主ゆえに神であった。 だが『この世界』の住人である彼女にとっては、所詮は『その世界』は想像上のものであり、彼女の現実には何ら影響を与えるファクターではない。 しかし。 彼女は『その世界』にとっては間違いなく神なのである。 その世界に一人の少年がいた。 彼は一人だっ…… タバコをふかしながら、バーの片隅で彼は終わりのない話をぶちきった。 「ってさ。もしもこんなんだったら、オマエ、どうするよ?」 問われた女はカクテルえ唇を濡らすと、微笑んで呟いた。 「どうするもこうするも、ないんじゃない?」 「オマエらしくもないな」 「そりゃ、だって。それこそ『神のみぞ知る』じゃない」 * 肯定することもできなければ真剣に否定することも難しい アニメ「お伽草子」の13話を観て唖然。 12話までの平安時代から舞台は現代へ。 光、綱、貞光、卜部、金太郎といった面々が現代に転生したとゆー設定らしいのですが、なんとゆーか。 男装の麗人だった光が強気な女子高生になっているのには頷きますが、綱の転落ぶりには笑うしかありません。 一気に目を離せない番組になってまいりました。 今期は『BECK』とか『岩窟王』だと『ローゼンメイデン』なんかもなかなか面白いですなぁ。 特に岩窟王は独特の雰囲気に味わいがあって素敵です。 あんなセンスはどんな人が作っているんだろうか?? 御調さんトコのAIBEx で、ウチの乙音&雪音のWネと藝急面々とのコラボストーリーが公開されています。 旅の気分を味わいたいお方はぜひ〜♪ 9th Oct/2004 昨夜の嵐がウソのように、真っ青な青が天空に広がっている。 突き抜けるような青空だ。 そして対を成すように、穏やかに広がる大海原。 「あれ?」 オレは眼前の青に小さなほころびを見つけた。 それはまるで遠くから何かがやってくるような、そんな白い点。 遥か西の空に見えたそれは、やがてこぶし大となり、そうしてあっという間に空を覆ってしまった。 「んなっ?!」 白く、大量の小さな魚達。 整然と、かつ元気に空を飛び跳ねている。 ただ呆然とするオレの背中に声がかかった。 「どうした、若いの」 「……」 オレは昨晩の宿を提供してくれた爺さんに、ただ空の魚達を指差す。 「ああ、いわし雲のことかい。本物はこうなんじゃよ」 「あー………」 オレは納得した。 いわし雲って、本場では雲のいわしなんだぁ。 * いや、違うだろ 今期イチオシアニメ(元的視点)―― * 月詠 コミックGUM連載作品をアニメ化。同じような作品にはまほろまてぃっくがあったと思う。 霊感0なカメラマン志望男が、外国で吸血鬼の女の子に会うお話(すげぇ大雑把)。 オープニングが「おいおい、こんなのアリですかね?」的な音楽で始まりつつも耳に残る。 アニメでのキャラクター達の動きも動くわ動くわ。ってか、デキいいっすねぇ。 漫画では味わえない、アニメだからできる表現がしっかりできていて好感触でした。 しっかし、ネコミミ少女吸血鬼をここまで本格的に投入してくるとは……。 * スクールランブル 週刊少年マガジン連載の4コマ(?)マンガをアニメ化。巷ではあずまんが+クロマティ÷2だとかいろいろ言われていますが、独特な味わいのある作品だと思います。 初回では藤原とうふ店のロゴ入り車が登場する(というかデータをそのまま引っ張ってきた?)など、マガジン系だからこそできる小技が嬉しい。 あと播磨がシブい。そして気持ち良いほどのバカさがすっきりします。 * サムライガン サムライチャンプルーが終わってしまってがっかりしていたところに、似た雰囲気を持つこれがきたのが嬉しい。 内容的には拳銃を使う必殺仕事人みたいな感じ?(原作読んでません) 影のあるキャラクターだとか、根本的にどこか容赦ない感じが惹かれます。 * 舞−HIME 週刊少年チャンピオンでマンガ連載も始まった作品。少女に特殊能力(?)が備わるお話かな? こういった感じのアニメが多い中でこれを選択した理由は、見ていてどこか息抜きできる場面があるから。 次回第2話は学園モノらしさがアピールされるっぽいけれど、笑えそうな展開なので楽しみです。 またアクションシーンもしっかり動いてくれていたのでこの点についても注目ですかね。 今期は妙に放映される数が多い気がします。 とりあえず1話だけ観て、私的な当たりハズレを選別しているのですが、続けてみているとぶっちゃけ「それぞれの違いが分からなくなる」瞬間があります。 似て異なる内容が多いような……単に私が老いただけか?? 6th Oct/2004 全くイメージがまとまらない。 僕は原稿を前に唸っていた。 何時間こうしていることだろう? 少なくとも5時間は唸っているはずだ。 一度書き出せばきっと最後まで書ききると思うのだが、どうしても出だしが進まない。 ピンポーン♪ インターホンが鳴った。 僕は時計に目を移す。 夜の9時。 こんな時間にやってくる友人など、僕にはいない。 ここは2階建ての安アパートだ。 そう考えると、きっとNHKの集金の取立てか、熱心な訪問販売か、さらにもしくは違う方向に情熱を傾ける宗教勧誘くらいなもんだろう。 それすらも違うとすると……あの人か? ピンポーン♪ 2度目が鳴った。僕は無視をすることに決める。 相手が誰であれ、このライターの仕事の締め切りは明後日だ。 このペースでは進まない危険性がある。 ピンポーン♪ 三度鳴った。 ピンポーン、ピンポーン、ピンポンピンポンピンポーン♪ 何度鳴らしやがる。 ピピピピピンポーン、ピンポポポーン♪ 「あああああああああ、もぅ!!!!」 どたどたどた 僕は6畳間の机から立ち、玄関の扉を開けた。 そこにはやっぱり『あの人』が立っていた。 一升瓶を右手に提げて。 「こんばんわ、亮クン」 「インターホンで遊ばないでください、乙音さん……」 長い髪を背中に流し、ピシッとした紺色のスーツを着こなしたお姉さんはニッコリした顔をこちらに向けている。 この人は隣の部屋に住んでいる乙音さん。3ヶ月ほど前に引っ越してきた。 彼女との出会いは、引越し日に起こった通称『僕は銭形、私はふーじこちゃーん』事件によるものなのだがそれについては後々語ることにする。 そんな事件があってからというもの、乙音さんはよく僕の部屋に遊びに来るようになった。 「何の御用ですか? 僕は忙しいのです」 「そうなの? そんなことよりこれを観てくださいよー♪」 仕事をそんなこと呼ばわりされたのはムッときたが、彼女の掲げた一升瓶のラベルを見て僕は彼女のご機嫌を知った。 「『魔王』じゃないですか。これって幻の焼酎とか言われてるやつですよね?」 「そうなのよ、帰り道の酒屋さんで定価売りしてたのよ、信じられます?」 「そりゃ買いですねー!」 「それじゃ、お邪魔しまーす」 僕の脇をすり抜け、彼女は玄関をくぐった。 「って、なんですか?! 僕の部屋で飲むんですか??」 乙音さんはカクッと首を小さく傾げ、まるで異星人の言葉を聞いたかのような顔をしている。 「私に部屋で1人で呑めと言うの?」 「僕は仕事中なのです」 「どうせ1文字も進んでいないのでしょう? ここ6時間くらい」 「ど、どうしてそれを?!」 「髪の毛の乱れようで判断できるのです」 えっへんと乙音さんは胸を張る。案外大きなそれがお世辞にも揺れて、思わず目がいってしまった。 「た、たしかに僕には悩んでると頭を掻く癖がありますけど…そんなに乱れてますか?」 僕は手で髪を慣らす。 その間に乙音さんは勝手に部屋のちゃぶ台の前に腰を下ろし、ドンと一升瓶を置いている。 僕は溜息一つ。 「まぁ、気分転換にお付き合いしますよ」 戸棚からコップを2つ取り出し、彼女の前に座る。 「そうこなくちゃ♪」 うれしそうに言う乙音さんに、僕はふと呟く。 「どーでもいいですけど、なにも僕とじゃなくてお仕事の仲間とかと呑んだ方が良くないですか? カレシとかいないんですか?」 問いに、乙音さんはじっと僕を見つめる。 「な、なんです?」 じっとこちらを見る乙音さんの瞳はわずかに潤んでいた。 そんな目を、 そんな目でじっと見つめられると…… 「お、乙音さんっ!?」 「亮クン。私、欲しいの」 「……わ、分かりました」 数分後―― 「やっぱり亮クンの作るおつまみはサイコーですね♪」 アボガドサラダを摘みながら、乙音さんは歌うようにして言った。 「たまには乙音さんもつくってみたらどうですか?」 僕は憮然とモロキュウを右手に摘んで告げる。 乙音さんの「瞳キラキラ、アナタのハートをドキュソ」攻撃は色んな意味で無敵なのである。 「んー、料理ですか」 コップの魔王をぐいっと一口。乙音さんはおとがいに人差し指を当て、 「亮クンは『消し炭』って好物ですか?」 「いえ、僕は炭は食べることができません」 「じゃあ、私の料理はお口に合いませんね、ふふふ」 「ふふふ、じゃありませんよ」 「ケケケ」 「ケケケじゃありません」 「メケメケメケ」 「それは超人のツタンカーメンです。てか、笑い方を変えてもダメです」 「ケチね」 「もー、何がなんだか」 「でも私の妹は料理が巧いのよ」 乙音さんは意外なことを言いました。 「へぇ、乙音さんに妹さんがいるんですか」 「いるわよー、確か高校生だったかなぁ。がさつだけど、料理は巧いわよ」 「見習ってください」 「亮クン、人にはね、向き不向きがあるの」 「はなっから放棄ですか…」 そんな馬鹿なことを話しているうちに、僕は魔王のアルコールがしっかりと回って眠ってしまったようです。 「でもね、その向き不向きを知ってしまえば、あとはアナタ次第で全てが決まるんですよ」 ぼんやりとした乙音さんの言葉を、眠りの中で聞いた気がします。 目が覚めると僕の肩には毛布がかけられていました。 時計は翌日の朝8時。 窓から朝日が差し込んでいます。 「寝てしまったようですね」 テーブルの上はきれいに片付けられて、乙音さんの姿は当然ありませんでした。 僕の頭は今やすっきりとして、どんなモノでも書けそうな雰囲気です。 「さて、今日も頑張りますかねぇ」 僕は早速筆を走らせます。 昨日は僕を止めていた見えない壁は、今やお酒に流されてしまったようです。 進む筆の動きに鼻歌を挟みながら、今度は僕がお酒を買って彼女の元を訪れてもいいかなぁ、などと考えていたのでした。 * きれいなお姉さんは好きですか 今期は観るか観まいか悩むアニメが多いです。 絵はきれいだけれども、ハズレも多そう。 今週一週間は1話だけ観て判断する週になりそうです。 でも「お伽草子」に現代編があるとは思いもしなかったですよ? 4th Oct/2004 |