Diary
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この寒さを何とかして欲しい。 とかいっても仕方ないので、今日は乙音さんのお話の続きを――― クリスマス・イブ。 それはここ日本においては、まじめな宗教家にとっては迷惑な話ではあるが、数あるお祭りの1つだ。 ただ、お祭りの1つとはいっても捉える人によって様々な解釈がなされてもいる。 駅前の大型カラオケ店に集った若者達にとっては、どうにも「ただ騒げればいい」といった感じのようだ。 冬の夕方は早い。派手なカラオケ店のネオンに照らされて、高校生らしい少女が呟いた。 「しかしまぁ、よく集まったものね」 「なんだかクラス行事みたいになっちゃったね」 少女――恵美の呟きに、隣のツインテールの少女・雪音も同意する。 「むしろクラスメートでいないやつをあぶり出しているみたいにも見えなくないね」 「そんな感じのノリにしちゃったのは雪音ちゃんでしょ」 「え、なんで??」 「嫌がる市松くんに『じゃ、付きあってる娘がいるんでしょ』とかおもしろおかしな理論を展開しはじめたじゃない」 「そんなこともあったっけ?」 「おかげで『来ない人はきっと大人の世界の住人になっちゃってるに違いない』ってことになって、追求を恐れたみんなが参加しちゃったんじゃないの」 「んー、まぁ、賑やかになっていいんじゃないの?」 「お気楽ねー」 そう言葉をかけたのは絢夏だ。ふわふわなセミロングコートに赤い毛糸の手袋で口もとを覆っていた。 その隣には黒い革ジャンをきこんで、ややふてくされた表情の市松の姿がある。 「さて、みんなそろったみたいね」 雪音の言葉に、集った皆がお互いを見渡した。 「じゃ、今日はとことん楽しみましょう。とことん、ね!」 言葉とともに皆がカラオケ店の中へと消えていく。 こうしてこの日に開かれるであろう、数あるパーティの1つが始まった。 それは1人身の寂しさを紛らわせるためもあれば、単に楽しみたいだけの目的の者もあり、またある者は気になる異性に近づくためでもあった。 そしてその中に、今生の別れの為の宴である者も2人、含まれていたことはその2人以外誰も気付いていない。 そんなカラオケ店などが並ぶ駅前。 大きな時計台のある駅前広場には普段より多くの人たちで沸いていた。 時計台下の、待ちあわせだろう、人ごみの中に彼女の姿がある。 「春菜さん!」 雑音の中に響く若い男の声に、彼女は顔をあげる。 その瞬間、彼女は笑顔とともに待ち人ではなくなった。 ピンポーン 呼び鈴が鳴る。 少し遅れて、 「はーい」 玄関の戸を少し開けて乙音が顔を出した。 「そろそろいきましょうか?」 インターホンを鳴らした亮に彼女は肯いて、戸を開けた。 すでに膝までの長さのあるコートを羽織っている。 「待ってたんですか?」 「いいえ、部屋が寒いから着てただけですよ?」 「暖房つければいいじゃないですか」 「ん、まぁ、省エネってことで」 「はぁ、まぁいいですけど」 「いやー、今日は亮くんのおごりですか、うれしいなぁ」 「割り勘ですよ」 「え、なんで?! 聖夜では男の人は女の人に食事をごちそうしなきゃいけないんじゃないんですか?!」 「どこの風習ですか、それは。100歩ゆずってそれがあるとしても、2人が付きあっているという前提の上でなりたつものかと思いますよ。もしくはそれに近い関係か」 「はっ、なるほど!」 乙音は慌てて 亮から一歩身を引いた。 「亮くんは私のカラダが目当てだったのね?!」 「訳わかんねーし。さっさといきますよ」 「あー、ちょっと待ってーー!」 慌ててパンプスを履きながら、彼女は彼の背中を追いかけた。 これがそれぞれの聖夜の始まりであり、人でない彼女達の別れの日の始まりである。 20th Dec/2005 今週は出張&忘年会ラッシュの予定。 無事に金曜日を迎えたいものです(電車で寝過ごさなければセーフ!)。 ちなみに今日もすでに呑んでます、ウィ〜〜♪ さてそんな呑み会が続く昨今ですが、気がつくとスーツに焼肉やら鍋やら煙草やら酒の匂いやらがいつのまにかまとわりついてしまいます。 毎日、クリーニングに出すほど数を持っていないので、ローテーションを組んできているのですが、簡単に匂いを落とす方法ってないもんですかね?? ファブリーズとか効くのかな? 一番の方法は、よりいっそう臭いものの匂いを染み込ませればっ(意味が無い)。 ―――と、そんなことを帰りの満員電車の中でぼーっと考えていた一日です。 今更ながら、今月のヘルシング――― あ、あれ? これってアーカードが……?? なっ、アーカードがっ! そんなばかなっ!?! 気を抜くと展開が進展するのが怖い。 19th Dec/2005 うん、珍しく毎日更新できてるなぁ。 結構結構♪ さて、今日は風の王国SSの続きを。 若桜姉妹のお話と一緒に、クリスマス前には終われるかな。 業火渦巻く戦場に、その男がどこからとも無く姿を現した。 高句麗東門付近、竜宮直下部隊と高句麗軍との前線である。 傍らには巨大なクラゲの姿をした怪物、そして巨大なホホシロザメのこれまた怪物としか言いようの無い戦士が控えている。 「匈奴族と鮮卑族の争いが始まったか。せいぜい力をすり減らしておいてもらわねばな」 「北門を攻める鮮卑の追撃として、北方大草原のギリム将軍らに呼応させております」 「また暗黒の森の死霊兵団を操る暗黒龍には、西門から匈奴族を攻めるように指示しております」 クラゲとサメの怪物の言葉に、青年は満足げに頷いた。 「では行くとしようか、この地に住まう人間達の最後の砦へ。この私を奇跡的にも封じた者達の国に引導を渡しに……」 「地獄の炎!」 その言葉が終わる前に、三人が高温で青白い炎に包まれた。 「ん、今の私にはこの程度は効かぬよ」 男――清皇太子が軽く右腕を振るうと、炎は風にかき消すように消え去る。 「ばかなっ!」 「うわっ、ヤバくない?!」 術をぶつけたのは、この三人が現れたのを目の前にしていた金色の髪の魔術師と仙人見習の少女。 「ん?」 清皇太子はふと少女に視線をやり、 「はて、どこかであったことのあるような……気のせいか、それであっても無駄な記憶だな」 彼は一人呟き、軽く手を振り上げる。 それを合図に、クラゲとサメの怪物が2人に一斉に襲いかかった! 「逃げるわよ、ヴァレリウス!」 「無理だ,ここは押さえる。君は逃げて城へ戻れ」 「ちょ、そんな!」 勺杖を振りかざしながら、ヴァレリウスは後ろを振りかえることなく叫ぶ。 「そして呼べ、力在る者をっ! ここに全ての元凶の清皇太子がいる、とな!!」 彼は一気果敢の瞳を以って彼我に相対する。 「見せてやろう、ここまで練り上げた人の操る魔術の力を!」 「ほぅ、それは楽しみだ。手を抜くな、クラゲ将軍、サメ将軍」 「「御意」」 そして。 竜宮の力と人間の力が激突した。 高句麗西門――― 匈奴族の圧倒的な戦力を前に、分厚い城壁はそこかしこが砕け、崩落はまさに後一歩。 「西門はもうダメです! 避難を!!」 「ここを落とされたらどこへ避難しろと言うのですか!」 叱咤と共に紫の陰陽服を着た仙人の女性は天に祈り、避難を叫んだ戦士に生命の回復を与える。 「私達にはすでに後はありません。今はただ、前に進むのみ!」 彼女自身、戦場に躍りだし、天への祈りを叫んで前線兵士の傷を癒していく。 「これまで平和に安穏と暮らしてきたツケです、そのツケを今こそここに返しましょう」 と。 叱咤激励する彼女のその右肩に矢が飛来した! 破壊力増加の加護を受けたその矢は、彼女の細い右肩をやすやすと貫き、骨を一部削り取って肉ごと奪って地面に突き当たる。 「ぐっ!」 思わず、手にした龍の加護を受けた杖を落とし、左手で右肩を押さえる。 溢れる鮮血がみるみる彼女の手を濡らしていく。 唇をかみ締め、彼女はしかし力ある目で前を睨んだ。 明らかに、匈奴族の戦力は衰退している。 「あと少し、あと一歩で…」 言葉は途中で切れる。 彼女の目の前、兵士達が一斉に倒れたのだ。 その原因とは――― 「まさか匈奴族首領…」 巨大な剣を肩にかけ、呟き唖然とする彼女に凶悪な笑みが投げかけられる。 「兄様……」 杖を拾い、彼女は誰ともなく呟く。 「こんな時に貴方に助けを求めるのは、とてもとてもわがままな事ですね」 苦笑い一つ、彼女――夜想は襲い来る敵首魁に逃げることなく対峙する。 彼らは戦場を駆け抜ける。 個々が3,4人の少数の部隊を組み、敵部隊にぶつかって行く。 彼らは敵の背後を突く形で攻めいっているため、必ず先攻を取ることが出来た。 また相手は大部隊であり、臨機応変に動くことのできる彼らにとっては相性が悪かったとも言える。 ともあれ、扶余を占拠していた竜宮部隊を排除した古き戦士たちである彼らはそのまま北上。 サメ師団とカニ部隊が攻め入る高句麗南門に到達。 背後から襲われた竜宮軍はサメ将軍という指揮官が何故か不在だったこともあり戦列に乱れを生じ、現在は崩壊直前にあった。 その混乱を寸での所で御するのは、もう1人の指揮官である――― 「カニ将軍かっ!」 「応っ!」 赤い髪の戦士の問いかけに、全身天然鎧のカニの怪物が応じた。 駆ける戦士の隣には豹柄のケープの魔術師と、辮髪の魔術師が付き添う。 「悪いが倒れてもらう、必殺尽力!」 「先を急いでいるの、紅蓮地獄!」 「美味しく食べようか、地獄の炎♪」 戦士の持つ炎の剣は、分厚い甲殻を無視して直接内部を焼き尽くす。 「ぐぉ!」 追撃として2人の魔術師の炎による攻撃で、カニ将軍は全身を黒く染め上げて立ち尽くしたまま動かなくなった。 すでに物言わぬ彼を背後に、三人はもはや統制のなくなった竜宮軍を蹴散らしながら高句麗南門に飛び込んだのだった。 時同じくして高句麗北門――― 「やれやれ、なんだかにゃー」 「とんだお祭り騒ぎだな」 修験者の服を纏った猫らしいしぐさの女性仙人を初め、帝服を纏った義賊帝や重たそうな鎧を身につけた戦士帝が久々の再会に沸いていた。 彼らはかつてこの地で活躍した勇者や賢者達だ。 ある者は久しぶりの帰省にと、またある者は嫌な予感がすると、またまたある者はなんとなく。 そんな彼らが旅立って行った草原の向こうから帰ってくると、なにやら故郷は戦場と化しているではないか。 理由を聞く暇も無く、彼らはかつての力を解放した。 そして今。 彼らの足下には北方草原を支配するギリム将軍配下の兵士や妖怪が、またそれに入り混じるようにして鮮卑族兵士と彼らを率いていた将軍の亡骸が転がっている。 「ま、ともあれ」 猫っぽい仙人はニッコリ笑って言った。 「みんな元気そうで、何より♪」 さて、最近のラグナロク。 相変わらず貧乏です、むしろ貧民です。 無駄なところにお金を使っている長女の騎士のお陰で、次女の魔術師の装備がぼろぼろな状態。 長「ごめんねぇ、ワタシが不甲斐ないばっかりに」 次「それは今に始まったことじゃないし。自覚はあるのね」 長「……泣いていい?」 次「どうぞ」 いくら『なんとでもなる』魔術師職とは言え、そろそろまともな装備を揃えてあげたいところ。 そこであまりのお金のなさに、債権管理人の名を持つ商人に来ていただきました。 露店スキルしかない、2,3時間くらいで生まれたお方です。 倉庫から必要最低限の物以外、売れるものを売っていただきました。 長「ウサミミだけはっ、ウサミミだけは持って行かないでぇぇーー!」 商「うるさいうるさいうるさいっ! さっさと寄越しなさいっ!!」 そんな感じ(でもウサミミは結果的に売れなかったけど)。 間違って買ってしまった属性片手剣とか、鏡盾とか、使いもしないテレポクリップだとかをともかく売って売って売りさばく。 BOT対策で物価も高くなっていたこともあって、売れないと思っていたものもそこそこ売れてくれました。 結果、次女にはとんがり帽子やマーター靴、イヤリングにワムテルクリップなんかを買ってあげることが出来ました。 長「ようやく自分用の木琴マフラーが手に入ったよー」 次「じゃ、ラクになった分、私用のヒールクリップ(3〜5M)購入に向けてとっとと狩り行って稼いで来てね。てか、さっさと行って来い」 長「……泣いていい?」 次「どうぞ」 ちなみに残金は姉妹合わせて400k。 ヒールクリップまでの道は遠い――― ![]() さて、久しぶりにお会いしたアコさんと。 オークダンジョンに連れて行ってもらいましたよっ。 実はウィザードに転職した次女はLoVとMSは覚えられない、お手軽WIZです。 SGさえ使えれば良いのさ、SGさえっ! しっかし他にはJTくらいしか使えるのないなぁ(それは中の人の腕が無いからです)。 FNとかFPとかIWやQMも覚えるには覚えましたが、どーも巧く使えません。 てか、FWとSSさえあればほとんど乗りきれちゃうんですけど……マジシャンの時と成長なしかっ?! そんな昨今です。 18th Dec/2005 さて、そろそろカウントダウンな乙音&雪音小話です――― 12月24日それは――― 「修了式だっけ?」 「違うわよっ! そもそも今年の24日は土曜日だし、その前の23日が祝日だから、2学期の修了式は21日だよ」 「あ、なんかラッキーな気分」 答えて笑うのは雪音。そんな彼女に恵美が僅かに頬を膨らませた。 「で? 雪音ちゃんは24日の予定は??」 恵美は雪音の後ろの席で、眠そうに次の授業の教科書を開く市松に視線をチラリと投げつつ問う。 「ん? えと……」 雪音は一瞬顔色をにごらせ、しかし。 「きっとコタツ日和な一日になるでしょう」 薄い胸を張ってそう応えた。 「……マジで?」 「恵美ちゃん、何、その珍獣を見るような目つきは??」 「だってクリスマス・イブだよ?」 「あ、そうだねー」 「ロマンチックな聖夜にコタツ??」 「じゃ、恵美ちゃんはミサにでも行くの?」 「いえ、そこまで本格的なことはしないけどね……」 呆れた顔で恵美は続ける。 「じゃ、雪音ちゃんも一緒にカラオケしにいかない?」 「カラオケ?」 「そう、一人モノ同士、来年こそはウハウハよーって気合を入れようってみんなで企画してるの」 「それって『傷を舐め会う』って言わな…」 がっしりと、恵美は雪音の両の頬をホールドし、額がくっつくかくっつかないかの位置まで目を合わせ、 「い・わ・な・い」 「分かりましたごめんなさいもう言いません」 「で、せっかくだから一緒に遊ばない?ってこと」 「うん、いいよー」 雪音はコクコクと頷く、そして。 「絢夏もどう?」 丁度、恵美の後ろを通りかかった同級生にも声をかける。 「? 何が??」 「24日、カラオケパーティしない?ってこと」 「アンタ、24日って……分かってるでしょ?!」 驚いた顔で絢夏。その返答として雪音のみならず恵美も、 「「え、もしかしてカレシとラブラブ?!」」 「だ、だれがよっ! てか、ラブラブって死語じゃないの?!」 「だって」 「ねぇ?」 顔を見合わせる恵美と雪音。そんな2人のこれから取り得る行動を予測したのだろう、絢夏は溜息一つ。 「分かったわよ、行けば良いんでしょ、行けば。どの道、もぅどうしたら良いのか分からないんだから最期は楽しんでやるわよっ!」 やけくそ気味に彼女はそう応じた。 「最後?」 ふとその言葉の中の単語に首を傾げる恵美。 「ん、なんでもないよ、なんでもね」 雪音がそう、フォローをいれつつ今度は後ろを振り向いた。 「イチマツはどうなのよ? どうせ暇でしょ?」 「……暇じゃない、と言ったら?」 「あることないことを言いふらすんじゃないかな、恵美ちゃんが」 「私が?!」 慌てる恵美を市松は相変わらず眠そうに見つめ、そして雪音に視線を戻す。 「まぁ、いいか。分かったよ」 「約束よ、逃げたら承知しないからねっ!」 「はいはい」 適当に応える市松は僅かな違和感を雪音に感じていた。 それが何かは分からない。 どこか空騒ぎしているような、それでいて切羽詰っているような……。 「いつものことか」 そう思うことにした。 17th Dec/2005 喉が痛い……風邪だな…。 さて今日は、そろそろ〆が近い風の王国SSに続きを――― 「なぬ?」 8本の腕の一本で大きな槍を手にしたタコの怪物は、カニ族兵士の報告にその太い眉を吊り上げた。 「清皇太子様が来てらっしゃると?」 彼の率いる一軍は一路、高句麗を目指していた。 そしてそれは道中、彼の進軍を聞きつけた先発隊であるカニ将軍からの一報である。 扶余の守備を命じられていたタコ将軍だが、功績が上げられぬとの不安から扶余は連れてきていたクラゲ兵に任せ、配下のタコ兵を率いて高句麗の南門を目指していたのだ。 言うまでも無く上層部からの命令無視だ、が。 「ならば、ますますこのワシの力を振るわねばな」 先発であるカニ将軍の報告によれば高句麗の守備も扶余同様に脆く、陥落は時間の問題である旨を聞いていた。 かつてこの地に数多くいた戦士や義賊・魔術師や仙人達は、そのほとんどが姿を消している。 死んだのか、他の地に移ったのか、それは分からない。 ともあれ彼らさえいなければ、タコ将軍には恐怖の対象は無かった。 「あのオヤジを倒したあいつらさえいなければ、人間なぞ恐れるものではないわ」 そう、呟いたときだ。 「報告致します」 続いては扶余を守備するクラゲ兵からの定時報告である。 「昨夜、人間どもの反逆が扶余の各地で発生致しました」 「フン、雑魚どもが未だに抵抗するか。で、反逆者どもはいつもの通り、捕らえた上でその首を城下に晒したのだろうな?」 タコ将軍の問いに、伝令のクラゲ兵は表情のないその頭部に、明らかに笑みをそれを浮かべたように見えた。 「もちろん」 「ふむ?」 「全ての竜宮の部隊は壊滅させましてございます」 言葉と同時、伝令兵の姿が歪み、瞬時に白い長衣の義賊の男へを姿を変えた! 「仮初の薬か?!」 タコ将軍の叫びはすなわち、一定時間対象の姿に変身できる珍薬である。 義賊の男は手にした槍を軽く振り下ろす。 すると彼の周囲に8名の人間が姿を表したではないか! 「風垢の術だとっ! すると貴様は義賊帝…」 義賊帝とは義賊の術を極めた者に与えられる称号であり、かつ―― 「ものども! であえ!!」 周囲のタコ兵を前に、タコ将軍は後ろへ慌てて下がる。 しかし彼の回りに現れた戦士や魔術師、仙人によって配下の兵はあっさりと切り倒されて行った。 「ひ、ひぃぃ!」 タコ将軍の顔が恐怖に歪み、味方を巻き込むのも構わずに大きな槍をそこかしこに振りまわし始めた。 彼の目前に現れた人間達――それこそまさしく、竜宮で1,2を争う無双であった父を倒した、あの力ある人間達そのものに相違ない。 「やれやれ、息子はこんなにも腰抜けとは。雪豹さん、困ったものですネ」 「違うわよ、刀牙。タコだから腰ないし、骨もないじゃない」 「……それもそうですね」 赤い陰陽服の戦士と、表柄のケープを纏った魔術師が呑気にしゃべりながら、しかし神速の勢いを以って彼に迫る。 「ワシは、ワシは腰抜けではないわっ!」 「大尽力!」 「地獄の炎!」 タコ将軍の脇を戦士と魔術師が駆け抜けた。 「ぐぉぉぉぉ!!」 地の底から沸き起こるような咆哮はタコ将軍のものだ。 将軍の槍が彼の足を巻きつけたまま吹き飛び、同時に彼の全身が決して消えない地獄の炎に包まれた。 「ワシを……オヤジと同じく殺すか、人間…」 炎の中、身体を炭化させながら吼えるタコ将軍に陰陽服の戦士は僅かに振りかえり、 「勇敢で偉大だった貴方の父上と比べたくはないんですけどね」 応える戦士の腕を魔術師が引っ張りながら、 「さぁ、雑魚は殺ったし、早く高句麗に向かうわよ。妹さんがいるんでしょ」 「ざ、ざこ……」 最期の言葉を発しながら、タコ将軍は炎の中に消えた。 「紅蓮地獄」 彼の発した魔術によって、周囲が炎の海となる。 が、それが収まるのはすぐだ。炎の海を越えて、凶悪な牙の並んだサメ兵が彼の喉元を目掛けて飛び掛って行く! と、彼とサメ兵の間に一人の少女が飛び込んだ! 「防壁!」 ごん! 仙人である少女の魔術は成功、彼我の間に不可視の壁が生じてサメ兵の侵入を防いだ。 「なっ、なんで貴女が? 一般市民は自宅にて待機命令が出ているでしょう!」 救われた魔術師は、ところどころ黒くなった金色の長い髪を振り乱しながら浅葱色の着物を纏った少女に叫ぶ。 「残念だけど、私にも少しは『戦う力』ってのがあるんだから」 防壁の術を制御しながら、彼女は苦しそうに告げる。 「待っているだけで全てを受け入れる程、人間できてないの、ゴメンネ」 「まったく…」 溜息一つ、魔術師はその時点で次の魔術の詠唱を終えている。 「では出来るだけの抵抗を共に続けましょう」 冷たい表情に笑みを浮かべ、彼は手にした勺杖を天に掲げて、 「残酷地獄」 魔術が具現化。 壁の向こうのサメ兵を中心に、凍りつくような青白い炎の嵐が舞い踊った。 「それでは戦い、戦い、心の底から諦めるまで戦うことにしましょう、椿水さん」 「ええ、ヴァレリウスさん。最期までお付き合いくださいね」 そして魔術師と仙人見習いは、炎を越えて再びやってくるサメとカニの兵達を、心からの抵抗でもてなしていく――― 北門の鮮卑族と西門の匈奴族の動きに変化が現れた。 それは前線での一進一退ではなく、もっと奥の――各軍の指揮系統のある部分での所だ。 前線の者ならば、指揮の僅かな乱れを感じただろう。 「あれは……??」 紫色の陰陽服を纏う仙人の女性は、高句麗城の城郭上からそれを見出した。 鮮卑族と匈奴族が小競り合いをしているのだ。 やがてその僅かな戦火は次第に大きくなって行き……鮮卑族が押されている?! 「今です!」 彼女は今にも転びそうな勢いで城郭を下りて行く。 行き先は西門。 戦火渦巻く激戦の地、勢いづく匈奴族との決戦の地へである。 16th Dec/2005 前置きなしに、今日は乙音さんのお話を。 って、若桜姉妹出てこないがな…… 四畳半の、畳敷きの狭い部屋。 その畳も長年使い古されたものなのだろう、見事に部分的にささくれが目立っている。 そんな狭い部屋には一脚のちゃぶ台と、14型のダイヤル式テレビ、そしてカラーボックスが2つ。 畳の上には積み重なった新聞と、その上にはこれもダイヤル式の黒電話だ。 アパートなのだろう、廊下側には流し兼洗面台が小さいながらも備え付けられており、その下の部分にはBOX型の冷蔵庫が1つ、うんうん小さな音を立てて稼動中である。 この小さな部屋の表札にはこうある。 『中西』と。 「ただいま」 「おかえりなさい」 20に満たない女性の帰りを、女子高生と思われる少女が部屋で出迎えた。 「今日はチャーハンで良いよね?」 「ええ、ありがとう」 帰宅した女性は言葉と共に大きく溜息。 とすっ、とちゃぶ台の前に座る。 表情は90%疲れ顔だ。 「教師の仕事はそんなに大変?」 フライパン片手に、制服姿の少女は問う。 「そうね…やりがいのある仕事だと思うわ」 彼女はそう応え、一拍置いて。 「違うの、そっちのお仕事で疲れてるんじゃないの」 「……そう、それでなにか掴めた?」 「絢香は?」 「全然」 「そう」 ふぅ、彼女は再び溜息。 「でも春菜姉さん、無理しちゃダメだよ。そんなに簡単に人になる方法なんて見つかるはずが」 「時間はないのよ」 絢香の言葉は、そんな春菜の一言であっさりと阻まれる。 「時間はないの、『彼ら』との契約は今年いっぱい。きっと年始は迎えられない筈」 「ラストファクターを見つけない限り、二度とこの世界に戻れない……?」 絢香の言葉を、春菜は無言でもって応じた。 と。 じりりりり! 「「?!」」 突然の電話の音に、二人はびくりを身体を震わせる。 そして先に動いたのは春菜だ。 「もしもし?」 受話器を取り、一言。 聞こえてくるのはしかし、人の声ではない。 それは人の耳には聞こえない、雑音領域にまで至る高度な信号だ。 高密度な信号ゆえ、通話は一瞬。 がちゃり 無言で受話器を置き、春菜は絢香に振りかえる。 「誰から?」 絢香の問いに、春菜は息を一つ呑み。 「期日は今月25日の0:00」 静かな言葉に、絢香もまた息を呑んだ。 「そう、そうなのね」 頷きながら、彼女はしかし笑みを浮かべ始める。それはやがて苦い笑いとなり、 「キリストがこの世に降誕した日に、たまたま実体を得ることの出来た私達がこの世から姿を消すなんて、ね」 「人を模したデータに過ぎない私達と、神様を一緒にしちゃダメよ」 春菜もまた、苦く笑いながらそう返したのだった。 13th Dec/2005 映画「宇宙戦争」を観ました。 2時間映画と思わず、オチを期待しなければ面白いかと(意味深)。 超科学力が聞いて呆れるわっ! 最近のラグナロク――― 龍ノ城に篭っていた(島流しさせられた)次女がようやく晴れてウィザードに転職! なんだ、この試験のキツさはっ!! ![]() 後ほど、G狩りで監獄へ。ストームガストが気持ち良かったです。 なお、三女として売り子専用の商人を作成。 売るものはたくさんあるんですが、なかなか売れません。需要の無いものばかり在庫で持ってるなぁ…。 そんな感じです。 さて、今日は風の王国SSの続きでも。 とても静かな空間だった。 ここは大陸から半島へ抜け、和国へ至る途中に横たわる、深い深い海溝の底。 海の民の住む、竜宮の地だ。 そのさらに深い場所に、竜宮の王たる宮殿が存在する。 かつてこの場所は、温厚であり、仁者として知られた老いた竜王と、彼を補佐する全能の智者である亀仙人が居を構えていた。 その頃は海のみならず、地上からも学を修めんとする者達でにぎやかな場所であったが。 長い寿命に終止符を打った竜王を追うように、亀仙人もまたその長い歴史に幕を下ろしたのがおよそ半年前。 現在、この宮殿には新たな主が腰を下ろしていた。 玉座に一人、足を組んでいるのは若い男。 海の色そのものの青い瞳でまっすぐの虚空を見つめ、端正な口元を僅かにゆがめた。 清皇太子――亡き竜王の一人息子であり、数年前に海の各部族を抱き込んで謀反を起こし、地上へ攻め入らんとしたことのある反逆者だ。 彼の先だっての謀反は、竜王の支持の下で動いた地上の者達により阻止され、彼自身は海溝の奥深くに父である竜王によって封印されたのだった。 しかし竜王亡き後、封印者である彼の力が弱まり、こうして再び蘇った! 竜王と同じく、いやそれ以上にカリスマのある彼は瞬く間に海の各部族を手中に収め、一気呵成に地上に攻め込んだのである。 無論、単軍ではない。 同じく虎視眈々と侵略を窺う地上の鮮卑、匈奴の部族と呼応して、だ。 「もっとも次に叩くのは貴様らだがな」 虚空を見据えたまま、彼は一人呟く。 彼の目は千里眼の特性をも備えており、水を通してあらゆる場所を見ることができるのだ。 そんな彼の見ている先は、高句麗の国だった。 周囲を高い城壁で覆われている高句麗は、その東西南北に大きな門を有しており、その4箇所からしか中に侵入することができない。 今現在は北門から鮮卑族、西門から匈奴族、南門からは扶余国を早々に侵略を終えた竜宮のカニ将軍率いるカニ族軍とサメ将軍のサメ兵旅団。 そして東門は彼の直下であるクラゲ兵師団が果敢に攻撃を加えている。 高句麗が落ちるのは時間の問題だけだ、が。 その後に鮮卑と匈奴との戦いとなるだろう。さらには現在沈黙を保っている狡猾な中華は、三つ巴の決着がついたところを一気に襲い掛かってくるに相違ない。 ならば。 「高句麗の兵力が限界を迎えている今、邪魔者には消えてもらうか」 清皇太子は立ち上がる、そして。 「出るぞ、クラゲ将軍」 「ハッ!」 いつから隣に控えていたのか、巨大なクラゲの化け物が、彼の言葉に応じたのだった。 どーんどーんと地響きが断続的に聞こえてくる。 それは閉ざされた四大門を破城槌が打つ音。 彼女はそれを聞きながら、事務処理に追われていた。 高句麗王宮は剣や術は舞わないが、戦場さながらに多忙に満ちている。 兵の派兵、糧秣の配布、資材の投入、負傷者の救済、反撃の準備等等。 「忙しいようだね」 「見れば分かるでしょう?」 長い金色の髪を持つ異人の青年魔術師が、紫色の陰陽服をまとう女性仙人にそう問うた。 2人とも、今やこの城に仕える文官だ。だが、 「…貴方も出るのですね」 「ええ、久々に腕がなります」 白く細い腕を見せながら、魔術師は嬉しそうに呟く。 「もともと外での仕事が、私の本職ですよ」 「そう…そうね、無理をしないで」 「それは無理な話ですよ」 笑って彼は仙人に答える。 「全力の相手には、全力で答えねば、ね」 「そうですか」 肩の力を落として、仙人は小さく祈りの言葉を彼に呟き、 「貴方に常に勝利がまとう様、幸あらんことを」 「ありがとう」 そして彼は彼女に背を向ける。 その背に、彼女はこう付け加えた。 「近いうちに、私もまたそちらへ向かうでしょう」 「その時には支援、よろしくお願いします」 言葉を残すと同時、魔術師は光となって消えうせた。 仙人は黒煙たなびく青い空を見上げながら一人、 「兄様、こんな時に貴方の助けを望んでは、いけませんか?」 言葉をさらった一陣の風は、想う先に届け得るのか? 12th Dec/2005 今日はクリスマス前な乙音さんのお話でも――― コンクリートに囲まれたこの街はあまり四季の移ろいを感じさせない。 しかし『暑さ』と『寒さ』は別だと思う。 むしろ四季のはっきりしている田舎よりも、この2点に関しては強烈だと、そう思う。 雪は降りはしないが、すっかりと冬といえる寒さになってきたこの時期。 オレはコタツに腰まで浸りながら、煎餅をかじりつつぼんやりとTVを見つめていた。 TVではニュースが放映されており、何故かサンタの衣装をしたお天気お姉さんがクリスマスの赤と白で飾り立てられた繁華街をレポートしている。 「あー、そろそろクリスマスですねー」 オレの右手、同じく煎餅をかじりつつ、ぼんやりと呟くのは隣のお姉さんであるところの乙音さんだ。 「そーですねー」 ちなみに煎餅はこの人の差し入れである。 草加のお土産だそうだ……何しに草加に行ったのかが良く分からないが。 「亮クンはクリスマスの予定なんてのは詰まっちゃったりなんかしてるんですか?」 ニヒヒ、と挑発的な笑みを浮かべながら乙音さんは訊いてくる。 「そりゃ、もぅ大変ですよ。引く手あまたで断るのに一苦労です」 「へー、断りすぎて予定入れ忘れた、とか言うんだった、お煎餅2枚同時に食べてくださいね」 ごりごりっ! 硬い草加煎餅の2枚はかなりきつかった。 「そーゆー乙音さんは、そんなセレブな過ごし方されるんですか?」 「フフフ……、もぅ、叶姉妹真っ青な、超豪華・超絢爛・超…えーっと…」 「慣れない言葉使わない方がイイですよ」 「……そうですね」 そもそもそんな予定があるような人が、こうしてお隣にお邪魔して呑気にコタツで煎餅食べたりしないと思う。 ってか、くつろぎ過ぎですよ、乙音さん?? 「亮クン、お茶おかわりー」 「…はいはい」 やがてTV画面の中では、クリスマス特集と称してケーキの有名なお店やら、七面鳥やら、人気アミューズメントパークやら、カップルにお似合いなオススメ映画やら、照明がきれいなナイトスポットやら……。 「地域振興会の宣伝みたいな番組ね」 「そーですねー」 「でもこういうのを観ていて思うのだけれど」 「はい」 「えっと、私は違うんだけどね。こういうのに縁がない人が見たら、もーどうしようもない敗北感とか感じるのは何でだろうなーって、そう思うの」 「敗北感ですか?」 「ええ」 「感じてるんですか?」 「いえいえいえ、私じゃなくてね! えっと、その、知り合いがね、そう言ってるの」 「へー」 この期に及んでまだ否定するか、この人は。 「オレは別に、感じませんよ、そんなの」 「そうですか?」 「全然平気ですね」 「本当ですか?」 「縁がないと、そう割り切ってしまっていれば、何とも無いものなんですよ。クリスマス? 何それ? って感じですよ?」 「…じゃ、亮クンはクリスマス・イブはどう過ごされるんです?」 「そうですねー、近所の居酒屋で軽く一杯、ってところですかね」 「そう、ですか」 まじまじとオレの顔を見つめる乙音さん。 いえ、別に顔は引きつっていませんから。無理していませんからっ! ……多分。 「乙音さんはイブはどう過ごされるんですか?」 「え?! そ、そりゃ、もう……えーっと、そうだ、雪音もいるし、姉妹水入らずで」 「雪音ちゃん、クラスメート達と遊びに行くって昨日嬉しそうに言ってましたけど?」 「あぅ! というのは冗談で……えとえと……」 「暇、ですね」 「ひ、暇じゃないもん!」 必至に否定する乙音さん。うっすら目に涙が溜まっているような気が……。 「じゃ、暇だったら、一緒に呑みに行きませんか? 一人モノ同士、少しは賑やかになるでしょう」 「え? それって……」 伺うようにして乙音さんは問う。 「デートのお誘いってやつですか?」 「じゃ、居酒屋は焼き鳥専門の鳥将で決まりですね」 「七面鳥の代わりに焼き鳥で、シャンパンの代わりに焼酎ですかぁ?」 「ご不満そうなセリフの割には顔を嬉しそうですね」 「やっぱり芋焼酎ですよねー、呑むとしたら。亮クンいれば間違い無く家に帰れるからたくさん呑みますよー♪」 よっぱらいの面倒は見たくないので、当日はオレも負けずに呑もうと誓った瞬間だった。 これは何気ない、本当に当たり前のように何気ない、クリスマス前の冬のある日のこと。 まだこの時は、オレはこの当たり前のような時間がずっと変わることなく今の延長線上にもあるものだと、そう信じて疑わなかったんだ。 私はクリスチャンではないのでクリスマスなんて……クリスマスなんてっ!(死 7th Dec/2005 |