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一緒に居るということ

 
 「ねぇ、ユウ? 夏休みはどうするの?」
 「受験勉強」
 「……マジ?」
 「………信じられないものを見るような目をして欲しくないんだが」
 「いや、だって……ねぇ?」
 「未紅は受験勉強しないつもりかよ??」
 「高校のときみたいに一夜漬けで済ませるつもりだったんだけど…ダメなのかな?」
 「未紅のスペックがどんなものかは良く分からんが、多分そりゃダメだと思うぞ」
 「そっか」
 「なんだよ、夏休みにお前は何するつもりだったんだよ??」
 「んー、まぁ色々とあるようでないようで」
 「なんだそりゃ」
 「受験勉強って、ユウは予備校とか行くつもり?」
 「ああ。ぶっ通しってわけじゃないけど。それ以外は図書館で自主勉強のつもりだよ」
 「じゃ、私もそれでいいや」
 「それでいいやって……夏休みに何かするつもりじゃなかったのかよ?」
 「『何かする』んじゃなくて、その過程が重要な訳よ」
 「??」
 「ホント、鈍いわねー」
 「???」

 高校2年生の夏。
 ユウは振り返り思えば、いつも隣に彼女がいたことに気付くのだった。


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