Diary
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脱力感が抜けない。 花粉症のせいか?? ちなみに花粉症の薬を病院でもらったら、ほとんどくしゃみ鼻水はなくなりました。 代わりに妙に眠いときがありますが(それはいつもか!?) さて、今回もネコミミ妹のお話。 学校生活は上手く行くのか? 姉はどうフォローするのか?? もうしばらくお付き合いください。 こうして始まった本日の授業。 大丈夫、私はやればできる子だって、お姉ちゃんも良く言ってくれてるもん! 「ところで……そんなに重い病気だったの?」 「う、ううん、そんなことないよっ」 心配そうに私の顔を覗きこむ、隣を行く雪音ちゃん。 「そうかなぁ……さっきなんて頭から何か生えていたよーな」 「気のせいだよ、うん、気のせい気のせい」 「んー、そっか」 ツインテールを揺らしつつ、さっぱり忘れた顔で雪音ちゃんは微笑んだ。 この子の性格からして、これですっかり忘れたことだろう。 彼女は若桜 雪音ちゃん。クラスメートで仲の良いお友達の1人だ。 私達は昨晩のお笑い番組についてツッコミとボケの深い議論を交わしながら教室のドアを開ける。 「おはよう、茜ちゃん。体調は大丈夫?」 教室に入ると同時、そう私に声をかけるのは可愛らしい女の子。 「うん、相馬さん。もう平気だよ」 私は笑って答える。彼女は仲の良いクラスメートの1人、相馬 恵美さん。 「恵美ちゃん、おっはよー」 「あ、雪音ちゃん、おはよう。昨日のあの番組、見た?」 「うん、見た見た。今、茜ちゃんとそれ話してたところー」 「あのツッコミはおかしいと思わない?」 「「だよねーー」」 やがて担任の教師がやってきて朝のHRが始まる。 それは滞りなく終わり、今日の一時限目である数学の授業が始まった。 「相変わらず分からないなぁ」 シャーペンのお尻で頬を突つきつつ、私は教科書とにらめっこ。 「次、今日は14日だから出席番号14番。この問題をやってみろ」 虚数? なんだろう、それって?? 美味しいのかな?? 「ねぇ、茜ちゃん」 遠く、声が聞こえる。 「ねぇ」 不意に横っ腹を何かで突つかれる感触。 「う」 「茜ちゃん、ねぇってば」 それは後ろに座る雪音ちゃんの声。 私は思い出したように顔を上げた。 「ん?」 疑問の後、硬直。 クラスのみんなが、じっと私を見ていた。 「14番、唐沢!」 鋭い声で教壇から私をにらむ数学教師。 黒板には今、教科書とにらめっこをしていた数式が書かれており、解答欄が埋められるのを待って口を開けていた。 「え、えぇ?! 私?!」 思わず立ち上がり、唐突な驚きと緊張のあまりに声が裏返る。 さらに、 ぴこっ! 「「?!?!」」 私を見るクラスメート全員の目がひときわ広がった気がする。 「あっ!」 私は頭と、そしておしりに何かが驚きのあまりに飛び出した感触を知って慌てて押さえ。 がらららら! 突如開かれる教室の扉。 「とぅ!」 掛け声とともに飛び込んでくる人影一つ。 「「?!?!」」 教師を含むクラスメートの視線は一つも残すところなく、私からその侵入者へと移動する。 突如教室に乱入するのは……お姉ちゃん?! いや、違う。 頭にタイガーマスクをかぶっている。 「私はシスタータイガー。正義の茜の味方だ」 「「………」」 シスタータイガーを名乗るマスクマンは、驚異的な速さで黒板に解答を埋めていく。 「わー、素敵」 「いや、茜ちゃん、素敵ってアナタ……」 雪音ちゃんの呆れた声が耳に入った。 シスタータイガーはすべての解答を埋め終えると、私に親指を立て、 「はっはっはー、ではまた会おう」 教室から飛び出していった。 その背に向かって数学教師は叫ぶ。 「来るなっ。いや、むしろあとで職員室に来なさい、唐沢の姉の方っ!」 「え、お姉ちゃん?」 「声で分かるでしょうが……」 背後で再び雪音ちゃんの呆れ声が聞こえてくる。 「あ」 そこで私は気づく。 ネコミミとしっぽが消えていることを。 そして。 クラスのみんなもまた、今の突然の乱入者に意識を奪われ、私の変化を忘れてしまっていることに。 二時限目は体育。 「走り高跳びかぁ」 「茜ちゃんは苦手?」 「んー、というか、運動全般が苦手。相馬さんは?」 「私もー」 私と相馬さんは顔を見合わせて笑う。 そんな私達の前で、 「ほっ!」 華麗な背面飛びを決める雪音ちゃん。 同姓の私から見ても素敵だ。 ピッ! 笛が鳴り、 「次」 体育教師の声がかかる。雪音ちゃんの次は私なのだ。 「あ、はーい」 バーの高さは150cm。身長160cmな私にはかなりキツイ。 身構え、そして走り出す。 とてとてとて 助走は相変わらず力がないのが自分でも分かる。 そして私は、 「よっ!」 跨ぐ様にして…… 「「?!?!」」 クラスみんなの視線が集まったのを感じた。 それは驚愕の色で塗りたくったもの。 同様に、私もまた驚いていた。 ぽす マットレスの上に両足で着地。 飛べた。 「そんなバカなっ、160cmをそんな飛び方で?!」 体育教師の叫びのような言葉と、 「え、え、ええ?!」 私自身、どうしたら良いか分からずに右往左往する。 その時だ! 「困って呼び出し、シスタータイガー!!」 体育倉庫の方から正義の味方が登場。 こちらに向かって全力で走ってやってきて、 「とぅ!」 高飛びのバーを奪い、 「たぁ!」 バキ 膝の上でバーを叩き折った。 「それではまた会おう!」 びしっと私に向かって親指を立ててマスク越しに微笑むシスタータイガー。 駆け去るのその後ろもカッコイイ。 いくらなんでも、あれがお姉ちゃんのはず、あるわけが…。 「……あとで職員室に来なさい、唐沢の姉の方」 体育教師が重く低い声で、小さくなる後ろ姿に向かって呟いていた。 最近のラグナロク――― 三姉妹は元気に過ごしております。 長女と次女が、なかなかLvがあがらねぇ……。 ゆったりまったりペースになってまいりましたよ。 23th Mar/2006 いろいろと考えている間に時間だけ経ってしまって、結局何もできない。 そんなルートだけは辿らないようにしなきゃな、と思う今日このこの頃です。 変に忙しいわぁ。 晴れた空。 白い雲。 暖かな日差し。 空を目を細めて見上げる私は、思わず。 「こういう日って、ベランダでごろ寝するのに最適にゃ〜〜」 「……茜?」 「っは?!」 我に返る。 右隣にはジト目のお姉ちゃん。 「え、え?! 私、今何か言ったっけ??」 なになになに?? 一体、私、今何を言ったの?! お姉ちゃんは真剣な顔で、私の両肩に両手を置く。 「茜」 「は、はい」 「もう一日、休んだほうが良いんじゃないかな?」 「だ、大丈夫だよーー!」 私はお姉ちゃんよりも心持ち、早足で先に進む。 「心配ねぇ」 後ろでそんな呟きが聞こえてくるが、敢えてスルー。 やがて通学路は住宅地の外れ――右手に雑木林を構える道に至る。 ここをまっすぐに行けば、ほどなくして私とお姉ちゃんの通う学校だ。 そして右手の視界の隅に、小さな土の盛り上がりと大きめな白い石が入る。 私は足を止め、それを作った4日前のことを思い出し、小さく黙祷。 その時だ。 「はよっ! 茜ちゃん」 ぽん! 予告なく、不意に肩を叩かれた。 「にゃぁ?!」 驚きに思わず声が出る。 目の前には、同じ驚きの表情の女の子が一人。それは…… 「なんだ、雪音ちゃんかぁ」 クラスメートの若桜 雪音ちゃんだ。 ほっと私は胸を撫で下ろす、けれど。 「茜ちゃん、その、あの……」 「茜…」 目を白黒させている雪音ちゃんと、その後ろであんぐり口を開けたお姉ちゃん。 雪音ちゃんの視線は私の頭。お姉ちゃんは私の背後を指差している。 「え?」 思わず右手を頭に、左手を背中に伸ばす。 「あ」 右手には紛れもない、ふわふわした毛に包まれたネコミミ。 左手にも、くねくねと動く毛に包まれた物体―――しっぽだ。 え、なんでなんでなんでーー?!?! お、お、お、落ち着こう、うん。 大きく深呼吸。 すー はー すー はー 「あれ?」 途端、右手にも左手にも、もこもこふわふわな感触がきれいさっぱり消えていた。 「茜ちゃん……あ、あれ?」 目の前の雪音ちゃんは目をこしこしとこすって私をまじまじと見つめる。 「あれ? 疲れてるのかな??」 「そ、そーだよー、きっと」 「ふむ、そうに違いないぞ、茜の学友さんや」 お姉ちゃんのフォロー(?)もあってか、雪音ちゃんは狐に摘まれたような顔で首を傾げる。 「ま、まぁ、元気になってよかったよー、茜ちゃん。最近の風邪はタチが悪いよね」 「う、うん、そうだねー」 やがて私達3人は学校へ到着。 「じゃ、お姉ちゃん。またね」 私は雪音ちゃんとともに東校舎へ。 3年のお姉ちゃんは西校舎だ。 「無理はしちゃダメよ」 別れ際、お姉ちゃんは私に耳打ち。 「どうやら驚くとネコミミとしっぽが出るみたいね?」 「うん、そうみたい」 「……落ち着いてね」 「うん、分かったよ」 「なになに、姉妹でなんのお話?」 「なんでもないよー、雪音ちゃん。ほらほら、朝のHR始まっちゃうよ」 「あ、ホントだ」 時計を見て雪音ちゃん。 私は彼女の手を取って駆け出した。 視線でお姉ちゃんに『大丈夫!』と答えて。 駆け出していく2人を見守り私は思う。 去り際に茜は視線で私にこう答えた。 『大丈夫……きっと……多分……あー、やっぱりダメなこともあるかも』と。 「大丈夫よ、茜」 私は誓う。改めて誓う。 「あなたはお姉ちゃんがきっと守るからっ!」 書くペースが遅い&分量が少ない為、連載長期化してます。 ごめんなさーいっ! 【更新】 ◆Lumi/2sUEIさんより聖ルミナスSS『二人のアトリエ』をいただきました、多謝! 18th Mar/2006 週末は東へ西へと飛びます、飛びます。 なんか変に忙しいなぁ。 心に安らぎがほしいですよ? なにはともあれ、さて。ネコミミ娘の続きでも――― じゅー 『次は地方のニュースです』 ちん! 「トースト焼けたわね」 その音をまるで合図に、 『昨夜、岸上町で当て逃げがあり、高校生が一名負傷しました』 ぱたぱたぱた 階段からスリッパで、やや駆け足で降りてくる音が近づいてくる。 『この地区では連続してひき逃げ未遂が発生しており、現在警察は警備の強化および犯人の特定を急いでおります』 「物騒な世の中ね」 彼女はラジオから聞こえてくるニュースにツッコミを入れる。 同時。 ぱたぱた、ばたたん! リビングルームの扉の向こう、階段の最後の段で豪快な転倒音。 「あらあら」 フライパンを片手にした彼女は、やや呆れた表情で扉に向かい、そして開ける。 階段の下、やや大きめな、しましまのパジャマをまとった少女が一人。 廊下に打ち付けたのだろう、額を右手で撫でつつ、涙目で彼女を見上げている。 左肩からパジャマがずり落ち、白く細い肩が目に眩しい。 それはいつもの光景。 彼女が何度注意しても治らない、いつもの少女の日課とも言うべき光景。 だった。 はず。 「茜……ネコミミは?」 はっと我に返り、彼女は問う。 問われた少女は顔いっぱいに??の表情。 やがて慌てて自らの頭を両手で撫でながら、僅かに叫ぶように言った。 「なくなってる?!」 『今朝のオープニングナンバーは―――』 「シッポもなくなってるよ、お姉ちゃん」 「いったいなんだったのかしらね??」 テーブルにつき、向かい合った2人はトーストをかじりながら互いに首を傾げる。 昨夜まで茜に生えていたネコミミとシッポ。 今では、まるでそれが夢だったかのようにきれいさっぱり消えていた。 「とりあえず、これで学校にも行けるね♪」 「大丈夫かしら?」 「大丈夫だって! だからいいでしょ、学校行っても?」 自然と上目がちに問うてくる茜の攻撃に、彼女は内心で満足しながらも難しい顔をする。 「……休み時間ごとに確認に行くからね、良い?」 「うん!」 「分かったわ、でもあまり無理はしないのよ」 「はーい♪」 だが彼女達は知らない。知りようがない。 実はあまり状況は変わっていなかったということを。 最近のラグナロク――― 三女が某ヤンキーなプリさんの支援のおかげでJOB50達成。 そう考えると、一番愛情を込めて育てたような気がします。 末っ子が一番可愛いの法則か?! ![]() そしていよいよ転職試験。 プリへの転職は先輩プリ(保護者)同伴可能なのでお手伝いしていただきました、多謝! JOB50転職のため、巡礼は免除されてアンデット退治及びボス級モンスターからの誘惑に打ち勝ちます。 ![]() ジャバウォック並みの質問に答えつつ、割と淡々と進んでいきます。 そして最後のモラル試験を通過し…… ![]() 転職完了。 ヤンプリ様、あざーっす! この子は立派な支援プリとして育てていきますです、はい。 ちなみに次のLv67でINTカンストっぽいです。 14th Mar/2006 小春日和な陽気でございますね。 こういう日は、のんべんだらりとしたいものです。 さて、今日はネコミミ姉妹の妹目線をば。 真っ暗な部屋の中。 けれど、今の私には明かりがついたのと同じに見える。 静かな闇の中。 けれど、今の私には隣の部屋のお姉ちゃんの息遣いすら聞こえる。 猫の目と、耳の能力なんだと、そう思う。 実際、よく転んでいた私はこの3日、階段でつまづくことすらなくなった。 そんな私の身体に猫っぽい症状が現われて今夜で3日目。 「学校…行かなくちゃ、だよね」 思わずため息。 お姉ちゃんとは違って、ただでさえ頭はあまり良くない私。 このまま続けば留年だってありうる。 そんなことになれば、海外でお仕事をしているお父さんお母さんはまだしも、お姉ちゃんまで「茜が留年するんだったら私もーー!」とか言い出しかねない。 ううん、きっと言う。 「どうしよう…」 お姉ちゃんには迷惑ばかりかけてしまってる。 今も、そう。 隣の部屋から聞こえる、定期的に紙をめくる音。 山のように詰まれた医学書を、お姉ちゃんが一字一字余すところなくチェックを入れているのだ。 こうしてお姉ちゃんは3回目の徹夜に臨もうとしている。 いつも私のせいで、お姉ちゃんには無茶をさせてしまっている。 今回は無茶どころか、無理のような気がするけど。 この身体のことで病院に行くのは躊躇われた。たしかにお姉ちゃんの言う通り、最悪解剖とかされかねない気がするし。 でも。 弁護士を目指しているバリバリ文系なお姉ちゃんが、一人医学書を紐解いてどうにかなることじゃないとも思う。 「じゃあ、どうするの?」 一人、闇の中で毛布にくるまって呟く。 対する私は、なにもしない。なにもできない。なにをしたらいいのかすら、踏ん切りがつかなくて分からない。 対して、お姉ちゃんのやっていることは、「どうする?」と問うた時に答えられる一番身近な答えに違いない。やるかどうかは別にして。 私には決してできないそれをやってしまうこと―――それがお姉ちゃんの凄いところであり、憧れるところでもあり……。 「やめてって言っても、聞いてくれないし」 きっと、答えは見つからない。 ネコミミの生える病気なんて、あるはずがないもの。 でもお姉ちゃんは見つかるまで、寝る間を惜しんで調べるだろう。 「もぅ」 手で、頭に触れる。 小さな耳がそこにはある。 「消えて、くれないかな…」 壁を挟んで、定期的にページをめくる音を聞きながら。 私の意識は闇の中へと沈んでいったのだった。 11th Mar/2006 ラグナロクのファイルサーバーからの反応がすぐに切れてパッチが当てられない状況。 くぁぁぁっ! 回線が細いのがそんなにいかんのか?! 困ったものでございます。 そんなこんな(?)で、ネコミミ姉妹のお話の続きを。 ページをめくる。 書かれているのは独逸語だ。 そして私の両の傍らにはまるで城壁のように外国書籍が詰まれている。 今日で三日目。茜にネコミミが生えてから、あと7時間ほどで3度目の夜が来ようとしている。 「今日も医学書かね、遠藤くん」 「あら、市谷先生。ごきげんよう」 ここは私の通う私立高校の図書館。学長の意向なのか威光なのか、全国でも指折りの蔵書数を誇っている。 その一角で情報をあさる私に、今日も声をかけてくるのは学年主任の市谷先生だ。 まだ20代後半と若年ながらも、巧みな人心掌握術で学年主任の位置を掴み、かつ生徒からの人望も厚い男である。 「しかし文系の君が何故かい? 医学部にでも転向するつもりかな?」 「さぁ、どうでしょうね」 適当に答える。 「妹の茜くんは今日で3日お休みしているようだけれど、大丈夫なのかい?」 「ええ、まぁ」 正直私はコイツが…… 「ご両親はイタリアで開かれている学会で、ずっと帰ってこられていないのだろう?」 「そうですね。でも姉妹でしっかりやっていけてますよ」 嫌いだ。 「そうかね? 君は生徒会長だし、多忙だろう。いつでも力になるから、遠慮なく言いなさい」 言って、私の肩に手を置く。 それを軽くいなし、私は思い出したように告げる。 「そうそう、先生。頭にネコミミが生えるような、そんな病気ってありますかね?」 「………は?」 行く先の定まらない右手をふらふらさせながら、市谷先生の目が点になる。 「いえ、なんでもありませんよ。なんとなく思いついただけです」 まぁ、一般の反応はそうだろう。 だから、私は茜を医者には見せていない。 解剖なんてされかねないしね。 「それでは私はこれで失礼します。日が落ちてきましたし、妹も心配ですので」 「あ、ああ」 本を抱えながら告げる私に、市谷先生は思い出したようにこう言った。 「遠藤くん、最近はこの近辺に乱暴な運転をする車が出現するそうだ。ひき逃げ未遂も何軒か起こしているようだから、私が家まで…」 「ありがとうございます、ご忠告感謝いたしますわ」 言葉を遮り、早々に私は図書館を立ち去ったのだった。 「お姉ちゃん、お帰りなさい」 「ただいま、茜」 玄関を開けると同時、パタパタと階段を転びそうな勢いで駆け下りてくる茜は、その勢いで私の胸に飛び込む。 と。 「ん?」 くんくん、と形の良い小さな鼻を私の胸や肩、首許に近づけてなにやら嫌そうな顔をした。 「お姉ちゃんから知らない男の人の匂いがする」 「??」 ちょっと考えてから「ああ」と手をぽんと打った。 「市谷先生ね、多分」 「お、お姉ちゃん、先生と一体何を?!」 「さー、なんでしょうね?」 「……むぅ」 身構える茜の尻尾が右に左にと揺れる。不機嫌な証だ。 「どうしたの? 妬いてるの?」 「違うもん…」 そっぽを向いてしまう茜を思わずぎゅっと抱きしめて、 「冗談冗談。図書館で茜の体調とかを訊かれただけだから」 「ホント?」 「ホントホント」 ネコミミの生えた頭を撫でつつ。 私は猫舌に問題のなさそうな晩御飯を考えるのだった。 7th Mar/2006 止まらない♪ もぅ、止まらない♪ くしゃみ はなみず〜〜〜 ぶはっくしょい!! 花粉症、本格稼動中です。 目が、目がぁぁと叫びつつ、前回のネコミミ姉妹のお話の続きをばー。 ふにふに 「ん……」 ふにゃふにゃ 「んんっ」 茜の髪の間に生えた黒いネコミミ。 軽く引っ張ったり、伸ばしたり、揉んでみたりする。 さらさらな毛に覆われたそれには、仄かに茜の体温が間違いなく通っていて、そして紛れもなく『生えて』いた。 「うーん、なんだろうね、これは??」 ふにふに 「ふぁ…お姉ちゃん」 「ん?」 ふにゃふにゃ 「あんまり……触らないで。くすぐったいの…」 頬を赤く上気させて、茜は私の腕の中で呟く。 む、これはっ!! ニヤリと心の中で私は笑みを浮かべ、 「嫌よ嫌よも好きのうち?」 ふにふにふにふに 「んんんんっ!」 目をぎゅっと瞑る茜。なるほどなるほど、耳が弱いのか。 ぎゅ 「あ」 「痛っ!」 つい、強く引っ張りすぎてしまった。 茜は私の腕の中から飛びのき、机を挟んでキッチンの向こうから涙目でこちらを伺っている。 「ふーーー!」 パジャマの下から窮屈そうに伸びた尻尾が、大きく膨らんでいた。 まるでネコみたいだ。 「ご、ごめんね、もう痛くしないから」 おいでおいでと手招きするも、 「って、お姉ちゃん! そーじゃなくって。私、やっぱり病院いたほうが良いよね? ね??」 ああ、そうだ。 私は決して茜を愛でる為ではなく、ネコミミなんていう奇妙奇天烈なものを調べるためにいじっていたんだった。 「うーん」 私は両腕を組み、 「まずは朝ごはん食べちゃいましょう」 そう、結論付けることにした。 6th Mar/2006 今週末は強化合宿に旅立ってきます。 なんの強化はナイショだっ! 薄闇の中、目を覚ます。 手を伸ばして枕もとの置き時計を軽くノッキング。 チリ…と鳴き出そうとしたそれは絶妙のタイミングで止まった。 時刻は朝の六時ジャスト。 そして私の思考はクリアランス。 布団を跳ね除け、身を起こす。 そのままの勢いで僅かな隙間から光の差し込む窓辺へ。 ガラリ! 窓を、そして雨戸を開ける。 拓ける視界――目に映るのは朝日の金と、頬に触れた桜色。 庭先の若い桜の木は5分咲きだ。 「うん、今日も良い天気!」 そして。 いつも通りの私の一日が始まる。 袖を通した白いYシャツはパリっとしている。 一昨日アイロンをしっかりかけた証拠。 膝下ぴったりの紺のスカートもまた折り目はしっかり。 ともに学校指定の制服だ。 汚れないよう、エプロンをつけて私は毎朝の日課をこなす。 一階のリビングルームに面した台所に立って、私は一人言。 「今日は……うん、から揚げにしよう」 それと牛肉のごぼう巻きと。 彩りを揃えるために、プチトマトも用意する。 それら料理を待ちうけるのはテーブルに用意した2組の弁当箱。 一つは私。そしてもう一つは。 ピピピッ 鳴る電子音は、ご飯が炊けた証。 「朝ご飯はトーストと目玉焼きっと」 すでに熱くなったフライパンには油は敷いてある。 冷蔵庫から卵を2つ。 片手で2つ、同時に割ると黒いフライパンに白い花びらをつけた黄色い花が2つ咲いた。 それに軽く蓋をして待つこと数秒。 「よっと!」 大皿に盛りつけ、テーブルに添える。 その足で温まったトースターに食パンを2つ。 ちょうどそのタイミングがいつもの時間だ。 パタパタパタ 廊下の外、2階からちょっと早足で駆けてくるスリッパの音。 そして最後に、いつもつまづくか転ぶのだ。 パタパタパタ、ガシャ! 「あら?」 今日は転ばなかったのね,そう驚きと一緒に言葉を発しようとして開かれた扉に振り返ったときだ。 「あぅー、お姉ちゃんーー!」 そんな叫びと共に現れるのは、右肩がずり落ちた大きめなパジャマを着て、ふわふわの枕で頭を隠した愛しの妹君。 でも、清々しい朝だというのに涙目で私に向かって飛び込んで来た。 「ちょ、茜っ! お姉ちゃんは火を使ってるから危ないって!!」 枕で頭を隠しながら、私の胸に顔を押し付ける妹はいつもの通りに……。 うん、可愛い。 怖い夢でも見たのかな? 「どうしたの、茜?」 ふと、視界の隅に動くものが入る。 なんとなく邪魔なそれはしかし、茜が何より最優先事項にある今の私にとってはどうでも良いものだ。 「あのね、あのね…」 「うんうん?」 涙目で見上げてくる茜を、思わず抱きしめてしまいたくなる欲望を押さえつけつつ、私は優しく問うた。 「どうしたの?」 「あのね……私……」 茜は恐る恐る、頭に抱えた枕を下に落とした。 ぴょこん そんな擬音が私の心の中に響く。 愛しの妹の、美しい黒髪の間からは。 黒い猫耳がぴょっこりと生えていたのだった。 だからだから、私は。 「くっはーーー!! 可愛いっ、茜!!」 「にゃーーーー!!」 遠慮なく抱きしめてしまったとしても、何の悔いもないと言えよう。 多分、5回くらい続きます。お付き合い頂けると嬉しいです。 ちなみに当初はネコミミ姉&気苦労弟という設定だったのですが、過去に似たようなモノを描いていたのを思いだして変更。 優等生兄&ネコミミ妹としたのですが、兄の行動が犯罪者チックになったために姉に変更。 アレですね。 今回はキャラ変更が多かったので特に感じたんですが、与えられた状況が同じであっても、キャラの性格付けによってかなり物語の色が変わるものですね。 勉強になりました。 あとあとっ。 やっぱり我々モノ書きは「おもしろかった」の一言さえあれば、きっとすべからく救われるものなのだと改めて感じました。 それが知らない人であればあるほど。 そしてその言葉には、作品を以って返していく存在なのだろうね、我々は。 【更新】 雪音を三月分更新しました。 2nd Mar/2006 今日はサブPCのメンテナンス。 なんか音がうるさいのと、立ち上げがハード的にエラー出るので原因調査を兼ねて。 ついでにメモリも128MB増やして、計512MBに。 結果は、悪化。 システムがアブノーマルらしい(そんなエラー)。 まぁ、動くから良い。これがメインシステムだと嫌だけどね(^^; そんな今日はラグナロクのお話でも。 年始頃に書いた、ウィザード−アルケミ姉妹のお話です。 ここ首都プロンテラの郊外の森には魔女が住んでいるらしいのです。 夜な夜な怪しい魔術をくり返し、謎の奇病や謎の爆発や謎の気象現象とかを引き起こしているみたい。 さらには子供をさらってその肝を食べて若さを維持しているなんて聞いたこともあるのです。 だから、 だからボクは。 そんな魔女を倒すために、今日はこの森に来たわけで……。 「ほら、行ってこいよ」 「手ぶらで帰ってくんじゃねーぞ」 「肝かじらてんじゃねぇぞ、ヒヒヒ」 ……決していじめなんかじゃなくて、自ら進んで退治しようと思う所存であります。 森、とは言うけれど、もともと平原に外敵対策で植林したところなのでちょっとした公園のような感じです。 木々の間からは木もれ日が至るところ。生える草も足首までのものが多くて歩きやすいし。 だからボクは、一切の恐怖なしに、勇気全開で森の奥へとまっすぐ進んでいくわけです。 ばさばさ! 「ひっ!」 カラスでした。なんだ、ハーピーかと思って思わず必殺奥義をくりだすところでしたよ。 う、うそじゃないですよっ! こうして幾多の困難を乗り越えて、ボクはとうとうたどりついたのです。森の先に、灯る光を。 「う、うぁ」 威風堂々とボクは光に向かって突き進みます。 「?!」 唐突に視界がひらけました。 そこは森の中、円形にひらかれた広場。 その中心にあるのは、 「焚き火?」 光はこの火のようです。 今で火は消えかけて、くすぶっています。 さては魔女はボクの気配を察知し、逸早く逃げたのですね。 「あら、こんなところでどうしたん、坊や?」 「ひぃぃぃぃ?!」 唐突な背後からの声に、ボクは即座に対応。 身を翻し、間合いをとります。 「坊や、危ない!」 ボクの足が滑ります。 き、きっと魔女の魔法に違いありません。 慌てて、地面に右手をつくボク。 その右手が灼熱の痛みに包まれました! 「熱っ!」 魔女の炎の魔法です! 痛みにうずくまるボクに、魔女は小走りに一気に間合いをつめました。 そして痛むボクの右手を掴みます。き、きっと拷問の開始なのです?! 「もぅ、焚き火がくすぶってる程度でよかったわ。軽いやけどで済んだわね」 魔女はそう言うと、懐から軟膏をとり出してボクの手に塗り、包帯を巻きました。 きっと、きっとこれは魔法薬の実験で、ボクの手は異形のモノに変わってしまうのです!? ボクは恐る恐る魔女を見ました。 ぼろぼろのマントを羽織って、でもその下は銀の糸で織られた法衣を纏っています。 手には薄手の手袋。手の甲のところには五芒星が刺繍されていました。 視線をさらに上に。 目深にかぶったとんがり帽子。耳には六芒星をかたどった金のイヤリング。 そしてその顔は…… 「あ、薬屋のお姉さん??」 そう、その人は町外れにある薬屋のお姉さん。 なんだ、魔女じゃなかったんだ。 ボクは思わず安堵の溜息を漏らします。 薬屋のお姉さんは、上級生の間では美人で有名なんだ…けど。 「ん? それ、私の妹」 「え……、じゃあ…」 「私はあの子の姉よ。魔女なの」 やっぱり魔女でしたーーー!! 「はい、おわりっと」 魔女はボクの手を軽く叩きます。ちょっと痛い。 「で。坊やはこんなところで何をやってるのかな?」 「う……」 魔女はボクをじっと睨みます。まるで蛇のような視線です。 「もしかして、悪い魔女を倒しにきた勇者さんかな?」 「!?」 心を読まれたのです!! 「でもその勇者さんは、ホントのところはいじめられっ子なんだよねー」 「?!?!」 違います、心を読んでなんかいません! だってボクは、いじめられてなんかいないんだもの!! 「あら、違った?」 「ち、違うもん!」 「ふーん、そうなんだ」 魔女はニヤニヤ笑いながら立ち上がり、 「では可愛い勇者さん、その手にした勇者の剣で私を倒して御覧なさい♪」 思わず手を見るボク。 そこには学校で押し付けられた棒切れではなく、爛々と輝く剣が握られている! 「え?!」 気付けば周囲は森なんかじゃなくて暗雲立ち込めた荒野。 そして目の前には耳まで裂けた大きな口を持つ、邪悪な魔女が右手に業火、左手に凍てつく吹雪を持ってボクを迎え撃つ。 「ボ、ボクは…」 思わず後ずさる。 不意に頭に浮かぶのは学校のいじめっ子達。 無理矢理ボクをこの森に追い込んだ、腕っぷしだけは強いヤツラ。 そいつらがボクを笑っている、そんな記憶が蘇り。 「ボクはっ!」 足を前に! 1歩。 2歩。 一度動き出せば、あとは気持ちは止まらない。 ボクは駆ける、魔女に向かって! そして剣を突き出し――― 「はい、よく出来ました」 ぽす ボクは柔らかい何かに頭から突っ込んだ。 「へ?」 周りはもとの穏やかな森の中。 そしてボクは魔女に抱きかかえられている。 「え??」 「ちっちゃな勇者さん、それだけの勇気があれば、何も怖くはないね?」 笑顔で問う魔女のお姉さんに、 「う、うん」 ボクは頷いた。 今の、魔法で幻を見せられたのかな?? ほっとした途端、 ぐー 「あ」 お腹が鳴った。 「あ、そうだ」 お姉さんは思い出したように火の消えた焚き火に枝を差し、 「これ、食べようか」 取り出したのは一本の焼き芋。 それを半分に割って片方を僕に。 「い、いただきます」 「いただきまーす♪」 ホカホカのそれは、甘くて柔らかくてとても美味しかったんだ。 夕暮れに森の中、魔女のお姉さんと遅めのおやつ。 この日ボクは、勇気の魔法をかけてもらったんだ――― 「お姉ちゃん! 買っておいたお芋をどこにやったの?」 「んー、魔法の実験」 「……お芋を?」 「うん」 「…どんな実験なの?」 「焼き芋を美味しくいただくには、どの程度の炎の魔法がふさわしいのかの研究」 「…あ、そう」 最近のラグナロク――― まず長女の騎士、Lvは80/50。さすがに80台になると経験の上がりが厳しいです。 反面、大抵のところは行けるのが楽しいところ。 上げることを前提とするのではなく、遊びに出かけるのを前提とすれば、そのうちに上がって行くでしょう。 次女の魔導師のLvは70/40。 私自身のスキルと、防具の精錬も出来たきたので、当初ヒールクリップが無いと狩りにならないとボヤいていたのですが、なくてもなんとなかってます。 三女のアコライトは58/45。相変わらず畳オンライン状態。 JOB50転職を目指しているので、まだまだ先は長そうです。 さて、三姉妹は万年金欠なことこの上ないのですが、昨日今日とレア運のビックウェーブなのです。 昨日は長女がミノタウロスカード、次女がs1ブーツを。 今日は長女が再びミノタウロスカードをゲット! とどめに古く青い箱もナイトメアからいただきました。 これはこれはっ! この流れ、まさに開ければとんでもないものが来る気がするがしますよっ! そう、今の私は鷲巣マージャンで流れに乗ったカイジ状態っ!! さぁ、レッツオープン!!! ………ニンジン、キターーーー orz そんなこんなの昨今です。 ![]() 最後に上のスクリーンショットは、プロ南でなんとなく集まっているうちになんとなくサンタパーティに。 Bijyouはノリが良い人が多いなぁ(^^) 19th Feb/2006 長いようで短いような一週間でした。 ああ、やっと週末だ……。 さて今日は、福の神と貧乏神のお話。 なんかアレだね、GS美神の横島のお話思い出しちゃったよ。 自慢じゃないが、俺には先日まで福の神が憑いていた。 福の神は文字通り、その存在だけで福を呼び、おかげ様で株に競馬、競輪に宝くじ、パチンコとたんまり儲けさせていただいたものだ。 当時の俺の資産は、おそらく某ビルを抜いていたね。 うん、間違いない。多分某ビル×256くらい。 で、だ。 その当時、俺は幸せだったかっていうとむしろ逆。 金はあったよ。 でも、福の神の奴がサイテーな女だった。 例えば、自らが福を呼ぶってことを鼻にかけて、信じられない豪勢な食事を1日に5回。それもほとんど残しやがる。 着ている服も同じデザインのくせに無理矢理アルマーニにし立てさせ、1日に3回も着替えた挙げ句、一度着たものは捨てやがる。 まぁ、金持ちってのはそれがデフォルトなのかも知れないが、平民上がりの俺から見ると信じられない行動ばかりだった。 そもそも貴様のウェストは160あるんだから60cmのドレスとか気まぐれでし立てさせんじゃねーよっ。当然入らないことを職人に文句言うんじゃねぇ! …つい、愚痴がでちまった。 さらに奴の性格が酷い。ツンデレからデレを取ったものだ。 こうして使用人だけでなく、俺にも怒鳴りちらす訳だ。 そんな険悪な雰囲気が朝から晩まで続くってのは、地獄だったね。 だから俺は願ったんだよ、そんな福の神に心の底からな。 「貧乏でもいいから、可愛くて性格がまともな娘にチェンジ!」 今、俺は風呂なしの3畳半のアパートに暮らしている。 貯金なんてなくて、日々を過ごすのにやっとな生活だ。 辛いには辛いが、幸せに満たされている。 なぜなら、 ばしゃ! ごす ぬるいお茶が頭に降りかかり、少し遅れて湯飲みが俺の頭にヒット。 さらに遅れて、 「ひゃ…」 可愛らしい声とともに、柔らかいものが俺の顔に押しつけられた。 なんとも言えない感触に、幸せな気分になる。 それは花柄のエプロンをかけた貧乏神。 空になったお盆片手に、俺の顔に胸を押しつける格好で倒れ込んできたのだ。 「ああっ! ごめんねさい、ごめんなさいっ!」 お茶で濡れた俺の頭を、慌てて自らのエプロンで拭いてくれた。 存在だけで、憑いたものを不幸のどん底に突き落とすとされる貧乏神。 その姿はとても可憐で、はかなく、どうしても守ってあげたくなってしまう。 それでいて彼女自身は俺に迷惑をかけまいと、細かい心遣いをしてくれる。お茶を入れてくれることにしてもそうだ。 もっともいつも裏目に出るのが彼女が貧乏神である所以なのだが。 「ごめんね…私、失敗ばっかりでご迷惑しかかけられなくて…あなたをこんなにも不幸にしてしまって…ごめんね…」 涙ぐんでうつむいてしまう貧乏神。 俺は思わず彼女の手を取った。 「……」 顔を上げる彼女。 大きな澄んだ瞳からは、大粒の涙。 くぅぅぅ、可愛いっ! 俺は明るくいつもの通りに、心から彼女にこう告げる。 「大丈夫、超幸せだからっ!」 「…うん」 涙をぬぐう貧乏神に、ようやく小さな笑みが浮かんだ。 言葉に偽りは、ない。 17th Feb/2006 ここ日本には八百万だけ神さま達が住んでおります。 なので、ひょんなところでお会いできたりするんです。 今日はそんなお話――― ボクの目の前。 白いトレイには赤いニンジンと、緑色のピーマン。 食べるまで、ボクにはお昼休みが来ない。 「うー」 右手に握った箸を、ボクはニンジンの1つに突き刺した。 伝わってくる、くにゃっとした感触すら嫌だ。 「うー」 「こりゃ!」 ぺし! 「??」 突然、ボクの右手を何かが叩いた。 見れば、小さな雛人形がボクの机の上。 箸を握った右手の、すぐ横にあった。 「な、なに?」 「これ、子供」 「お人形が、しゃ、しゃべった?!」 雛人形が僕を見上げて、そう言葉を発したのだ。 「我は人形ではないわ」 白い頬をぷぅっと膨らませて、小さな女の子は怒る。 「…じゃ、なぁに?」 ボクの問いに彼女は小さな胸をそらして。 「我は箸の神じゃ」 「お箸の…神さま?」 「そうじゃ」 よくよく見れば彼女、自らの身長よりも長い一膳の箸を抱えている。 先程ボクの手を叩いたのは、きっとこの箸。 「それで神様も…ボクにニンジンとピーマンを食べろって言うの?」 だって神様だもの。偉いんだもの。 偉い先生と同じことを言うに違いないんだ。 「? なぜ、我がそんなくだらんことを言わねばならない??」 心外、とでも言わんばかりに再び小さな頬を膨らませる箸の神様。 「…じゃ、なんなの?」 「お主のその箸の持ち方じゃ!」 神様はお箸を握るボクの右手をピシリ、抱えたお箸で叩く。 「そんな持ち方、許さん。許せぬ、許すまじ!」 ぺしぺし 「いたいいたいっ」 お箸を振りまわす箸の神様、肩ではぁはぁ息をしながらようやくおとなしくなった。 「ほれ、ワシが持ち方を教えてやるわ」 言って神様、ボクの右手によじのぼり、 「箸はお主の手の延長。行儀正しく持たねば、馳走を作ってくれた者を侮辱することとなろうぞ」 「そうなの?」 「あたりまえじゃろうが。例えばお主が作った粘土細工を蹴飛ばされて運ばれたら、嫌じゃろう?」 「……嫌だね」 「ならばこそじゃ。ほれ、まずは中指に箸を乗せるようにして…ちがう、小指は動かさんでいい。そうそう、そこに人差し指と親指で挟むようにして」 ボク、箸の神様に文字通り、体全体でお箸の使い方を教えてもらい。 「ではまずそこの器にあるものをつまんでみるが良い。ふむ、良い具合じゃ」 内心慌てながら、赤いニンジンを巧く箸で掴んだボクはそのまま口に運ぶ。 「続けるぞ、その調子じゃ、うむ。巧い巧い」 右手からテーブルに降りた神様。 トレイとボクの口を行き来する箸の動きに満足気に肯いた。 「その持ち方、しっかり覚えておくのだぞ、子供よ」 「うん」 「それではさらばじゃ!」 言うやいなや箸の神様、その姿はどこにも見えず。 代わりに、 「おぅ、ちゃんと食べられるじゃないか」 後ろから先生がボクのトレイを覗き込んでいた。 「あ」 ボクは気付く。 ボクの嫌いなニンジンとピーマン、箸の神様とお箸の持ち方を練習しているうちに食べちゃったことを。 ぱち、ぱち、ぱち 「んー」 ボクは神様に教えてもらった通りに、お箸を開いたり閉じたりしながら思う。 ちゃんとして食べれば、ニンジンもピーマンもちゃんと食べられてくれるんだ、って。 ちなみに箸の神様にはこれっきり、ボクは会っていない。 この半年くらい前から、文体が変わってきているのです。 もっとも前の文体に戻すことも出来るので、新たなレパートリーが増えることになるのですけれど。 どうも新たに生まれつつある書き方は、言葉足らずの部分が強く、クセのあるものになりそう。 しばらくご迷惑をおかけするかもしれませんが、お付き合いいただけますと幸いです。 今週の初めから、どうやらメールサーバーに嫌われてしまったようです。 ツンデレ風に書くと「フン、広告クリックしてくれないからアンタなんか嫌いっ! もう使わせてあげないんだからっ!」 って感じ。 もしも今週私宛にメールを送ってくださっている方がいらっしゃいましたら、新たなメアドである『elactra@infoseek.jp』まで再送いただけますよう御願いいたします。 今回の変更に便乗して、当HPの全リンクを再チェック。 変更およびリンク切れを修正いたしました。 もしも「あ、まだここおかしいよー」ってあればご一報いただけると嬉しいです。 それでは! 16th Feb/2006 この時期は体調崩しやすいです。 あー、まだ喉が痛い…… 【更新】ヘルシング応援投票の第一期分集計結果をイベントコーナーに掲載。 12th Feb/2006 |