Diary


アパートから歩いて15分のところに、僕の通う高校はあった。
昨日、桜の妖精に会った川原の土手を歩き、駅前を抜けて駅向こうへ行った所にそれはある。
「いってらしゃーい」
お隣の乙音さんに見送られ、僕は雪音さんの後ろをついていく。
「でね、私たち2年生は6クラスだから180人くらいかな。3年生も6クラスあるんだよ」
隣を行く雪音さんの言葉を聞きつつ、僕は次第に同じ制服をまとう同じ学生たちが周囲に増えていくのを知る。
今日は待ちに待った入学式。
2年生である雪音さんにとっては始業式に当たる。
「今年の僕達新入生はどれくらいいるんでしょうね?」
「んー、きっと同じくらいじゃないかなぁ。極端に増えたり減ったりはしないと思うけど」
やがてまばらな畑を周囲に散らした通学路は、急な上り坂へと差し掛かる。
100mほどある坂の上に、大きな4階建てコンクリート造りの校舎が見て取れた。
「あれがこれから、そーくんが3年間お世話になる高校よ。屋上からの眺めはサイコーだよっ」
「確かに。小高い丘の上に建ってるんですね」
遠めに見て、アイボリー色のコンクリのそれは2棟あり、体育館の姿も見て取れる。
僕たちの住むアパートのある駅の向こう側とこちら側とは、ずいぶん異なる雰囲気を感じる。
学校のあるこちら側は、人の手による開発はあまりされていないようだ。
校舎の周りには畑の他に、雑木林なんかも見受けられた。
学校まで一本道である上り坂は、多くの生徒達が見て取れる。
そんな中、僕の隣を行く雪音さんの肩が後ろから叩かれる。

―――と、中途半端なところで切ります(^^;

板橋の桜


さて、写真は板橋の川沿いで満開の桜。
お仕事でお客さんがこの辺にあり、思わず一枚。
ウチの近所にある桜のトンネル(道の両脇に桜並木が続く)も満開で、「あぁ、春だなぁ」としんみり感じるのです。
何度見ても、桜は見飽きないなぁ。ちょっと不思議。

1st Apr/2008


Vistaと母艦PCであるXPとがLANで互いに存在を確認しあえないのです。
うんうん唸りながらいろいろ設定をいじってやると、なんとか回復。
ついでにWindows98マシンとも完全にやり取りができるようになりましたわ。
調子に乗って、今までLAN接続ができなかったWindows95の入ったPC9821Asについてもこの機会にといじってみる。
………やらなきゃよかった Orz
PCが立ち上がらなくなりました。セーフモードで立ち上げるも、CDロムドライブを認識しないので上書きで直すこともできない。
仕方ないので、DOSから立ち上げてセーフモードでのAutoexeを書き換えてCDドライブを認識させてやる。
その後、Windows95を上書きしました。
回復はしましたが、なんか解像度がおかしいような?? 映ってるんだけどね。
ドライバを入れなおしたり、ODP上のメモリを認識していなかったので、遠い過去の記憶を思い出しながらなんとか元の状態に戻しましたよ。
やらなくていい事をやった出来事でした。
あとなんというか、Vistaは慣れるまで使いにくいわー。
とりあえずラグナロクオンラインをインストールした時点で、起動しないのには頭が痛かったです。
管理者権限でないと起動しないってのがよくわからない。とりあえず悩みながら調べたら動きましたが。
あとは一緒に付き合っていく中で、よく使うアプリをちまちま入れて、できるだけ自分色に染めるかで勝負ですな。
結構面倒だなぁ。最近はこんな設定ばかりで、肝心の作業がまったくやっていないというのが困りものですわ。
そうそう、メモリは増設しました。簡単にできましたよ、設計が親切というか、PC本体が軽いので膝の上に置いてできてやりやすかったです。
で、肝心の体感ですが……1Gとの違いはあるようなないような、って感じです。
まだメモリがきしむほどの作業してないしねぇ。

4th Apr/2008


桜も散り始めてしまってますね。
今週いっぱいが見ごろ、かな?
さて、久々に書き物を。卯月くんの続きです。
初登校に初出勤、みなさんはどんな出会いがあったかな?


「あ、恵美ちゃん。おはよう」
「ん? この人は??」
雪音さんに話しかけたのは黒髪の女の子。
おそらく彼女の同級生だろうと思われる。
「そーくん。ウチのアパートにこの春から引っ越してきたんだ」
「卯月 総一郎です。初めまして、よろしく」
「私は雪音ちゃんと1年のとき同じクラスだったんだ。相馬 恵美って言います。よろしくね」
そう言うとにっこり微笑む相馬さん。そして雪音さんへと視線を戻すと、
「総一郎だから、そーくん?」
「うん」
それを聞いて苦笑い。こちらに「いいの?」的な視線を向けてくるが、僕も苦笑いを浮かべるに留めておく。
やがて僕たちは校門までたどり着く。
「さて」
雪音さんはこちらを振り返る。
「まずはここでいったんお別れ。あとでアパートで初日の感想、聞かせてね」
「あ、はい」
「新入生の卯月くんは、ほら、そこ」
相馬さんが右前方を指差す。
そこは南側に建つ校舎への入り口で、僕と同じ新入生と思われる学生達で人だかりができていた。
「一年生の昇降口前で、クラス発表されてるの。名前が書かれた教室に行くんだよ」
「アタシ達2年生もクラス替えなんだ」
と、こちらは雪音さん。彼女が視線を向けるのは1年生の昇降口とは反対側、北側校舎の入り口だ。
こちらも学生の人だかりができている。1年生のいる南側よりもその数は多く、しかしスムーズな人の移動がなされているように思える。
「私達と3年生は北側校舎なの。初日、がんばってね、卯月くん」
「はい、ありがとうございます」
「お、恵美ちゃん、お姉さんぶってる??」
「ちょ、雪音ちゃんに言われたくないよっ!」
「ほいほい、じゃ、そーくん、またねー」
「もぅ! それじゃ、また」
わずかに顔を赤らめながら相馬さん。少し駆け足で2,3年の集まる人ごみの中へ入っていく雪音さんを追いかけて行く。
僕はそんな2人の後姿を見送った後、1年の集まる昇降口に目を向ける。
入り口に大きな紙が数枚張られていて、そこにクラス別の名前が書かれているようだった。
僕もまた人ごみの中に入り、自分の名前を探す。
「Cクラス、か」
出席番号は3番。あいうえお順のようだ。
早々にこの場を切り上げて下駄箱のある校舎への足を踏み込んだ。
その時である。
「あー! 君、君!!」
聞き覚えのある、大きく元気な声が僕の背中に投げかけられた。
反射的に振り返ってしまう。そこには忘れもしない、昨日ひったくりを捕まえた少年の姿が……。
姿、が。
あれ??
「おー、やっぱり昨日の君か。同じ学校で、それも同級生になるとは思いもしなかったよ、何組だい??」
馴れ馴れしく肩を叩いてくるその人は、間違いなく昨日のひったくりを捕らえた人。
ただおかしいのは、何故か雪音さん達が着ていたセーラー服を身に着けていることだった。
「ん、どうした? オレのこと、忘れた??」
「あ、えーっと」
「昨日、ひったくりの野郎を一緒に捕まえたじゃねーか」
「う、うん。そうだね、そうだよね」
女の子だったのか、ごめんなさい。
内心、謝っておいた。
「あ」
「ん?」
そして僕はもう一つの視線に気付く。
彼女の後ろ、まるで背中に隠れるように…いや、実際に隠れているようにしか見えないが。
彼女と同じ顔の男子がいる。
男子と分かったのは僕と同じ学生服を着ているから。それがなければこちらは女の子にしか見えない。
「あれ? どうしたの、カナタ?」
カナタと呼ばれた彼は、おずおずと彼女の背中から顔を出すと、小さな声でこう言った。
「昨日はありがとう」
「え、もしかしてゲーセンでカナタを助けてくれたのってアンタ?」
「う、うん。助けたというか、芝居で切り抜けたというか」
それ以前に、まるで性質が反対な、けれど同じ顔2つを前にすると。
むぅ、どんな簡単なことでもなんと答えたらいいか頭に急には浮かばない。
「アンタ、名前はなんだい? ぜひ教えてくれないか?」
「えと、卯月 総一郎」
「オレは柚木 遥。で、こっちが兄の彼方。見たとおりの双子なんだ」
おとなしい方が兄、か。
姉と弟な関係かと思ったが、必ずしも世界は枠にははまらないようだ。
「オレはA組なんだけど、総一郎は何組だい? Aかな、Aだといいな!」
迫ってくる柚木妹。
「ごめん、Cだよ」
正直に答えたその言葉にがっくりうなだれるも、一瞬後には嬉しそうな笑みを見せる。
「って、Cだったら彼方と同じクラスじゃん」
視線を彼女の背中に隠れる柚木兄へと移すと、妹と同じ嬉しそうな笑顔が浮かんでいた。
「よろしくな、総一郎!」
「よろしく、卯月くん」
同じ顔に同じ声、けれどその実まったく異なる2つに僕は2人と同じ表情を向けて告げた。
「よろしく、柚木さん達」
途端、柚木妹からチョップが飛んだ。
「『達』ってゆーな、オレのことは遥と呼び捨てでいいよ。彼方も彼方でいいだろ?」
コクコクと頷く兄の方。
「ごめん、遥、に彼方」
「そう、それでいい」
満足げに頷く遥に、笑顔の彼方。確かに『達』は失礼だったな。
やがて校舎に予鈴が響く。
「さて、そろそろ行こうか。お互い良い学生生活がおくれるといいな!」
希望いっぱいの遥の顔を眺めつつ、僕もまたそうあるようにと心の中で祈ったのだった。


実生活で双子と会ったことないんですよね。
やっぱり似ているもんなのかな??

5th Apr/2008



しだれ桜


近所で有名なしだれ桜の並木道を散歩してきました。
結構口コミで聞きつけた方が多いらしく、普段は閑静な住宅地にたくさんの人がお花見を楽しんでおりましたよ。
私もゆっくり歩きながら、今年の桜を楽しませてもらいました。
次の土日には完全に散っていると思います。
今年は咲くの、早かったなぁ。

6th Apr/2008



ヴァルキリー様の御前


とうとう1st騎士子を転生させました。
三次職がなんだか来年になりそうな雰囲気なのと、キャラグラがゴツ過ぎるので。

転生!


ノービスを経て、

剣士へ

剣士Highに。現在のLvは41/27。まだまだ先は長いですね。
ただ、ノーマル剣士に比べると初期に振れるステ値が多いので、2〜3ランク上の狩場に行けるのが素敵。
さらに剣士当時に比べて装備も充実しているので、上がりやすいですね。
現在は炭鉱やらサンドマンやらレクイエムやらホードを狩った結果、1匹あたりは経験が低いですが数が沸く&倒しやすい毒キノコをメインに狩ってます。
Lv50くらいになったらレクイエムもしくはミノさんあたりを中心に行こうかと。

11th Apr/2008


丸半年振りにトレーニングルームへ行ってきました。
移動手段が自転車(片道30分)なので、どうしても外が寒いと足が伸びませんでしたね(だめ人間だ)。
半年振りのトレーニングはメニューも同じにして行ってみたんですが、なんだい、案外大丈夫じゃないか。
帰りがけに銭湯に寄ってサウナでさらに汗をかいて帰ってきましたよ。
明日ではなく、明後日月曜日に筋肉痛が発生することでしょう。
歳をとると一日置いて体が痛くなるのです、お手柔らかに頼みたい。

12th Apr/2008


早くも筋肉痛が。
明日がさらに怖いわ。
さて、いつもの通り、卯月くんのお話を。
そろそろこの辺で、一度まとめてみないとなぁ。


A組である遥と別れて向かう先。僕と彼方のクラスであるC組は校舎2階にあった。
クラスメートの数は男子15に女子16の31名。
僕達2人が教室へ足を踏み入れる頃には、3分の2がすでに集まっていた。
「えっと、席は」
「あいうえお順みたいだね」
辺りを見回す僕に彼方は言う。机は全部で6列。1つの列に5つづつ並ぶ(窓際の1列のみ6つだったが)。
「じゃ、僕は前の方か。彼方とは対角線の反対側だね」
「『う』と『ゆ』だもんね」
そんなことを話している間に予鈴が鳴った。
途端、慌てて教室へ駆けてくる生徒達と席に付きはじめるその他。
「じゃ、またあとで」
「うん」
僕の席は廊下側の、前から2つ目だ。彼方は窓際から2列目の一番後ろのようだ。
席に着くと同時、目の前の扉が開き、中年の男が入ってくる。
若干、よれたスーツに剃り残しが見受けられるヒゲ。わずかに匂う酒の香り…二日酔い明けか??
彼が教壇に立つと同時、生徒達は席で姿勢を正し、私語がなくなる。
「あー、みんな揃っている……いないな?」
彼は教室を見渡し、そして一点に目を止めた。僕の左手1つ後方。
唯一空いた女子の席だ。
「あー、そうだった。一人、保健室に行ってるのがいたって言ってたな。じゃ、気を取り直して」
彼は背後の黒板に振り返り、チョークを。
「むぅ、白のチョークがないじゃねーか。しょうがない」
言いつつ、黄色のチョークで大きく文字を書く。
『楠木 吾郎』
「今日から一年、このC組の担任となる楠木だ。この学校は今年で8年目となる。ちなみに33歳、独身だ」
その言葉に、えー、とか老けて見えるー、とか色々ツッコミが入る。
それを「へいへい」と言いながら楠先生は受け流すと、
「じゃ、出席を取る。まずは井上!」
「はい」
僕の前の席。はつらつとした声が響き、それだけでざわついていた教室が再びしんと水を打ったように静かになった。
「卯月」
「は、はい!」
「岡村」
「はーい」
やがて最後に「柚木」との問いに、小さめな声で「はい」と聞こえて男子が終了。
次に女子となる。
「安藤」
「はい」
「桐野」
「はーい」
「此花、は飛ばして佐藤」
「はい」
僕の左後ろ、3番目の空いた席。
名前は此花というようだ。此花…と聞いてなんとなくどこか引っかかる気がするが。
きっとそれは杞憂だろう、うん。
「さて、早速だが体育館へ移動だ。入学式、始めるぞ」
楠木先生の言葉に全員が立つ。耳を澄ませば隣のクラスも、はたまたその隣も同じようなタイミングで生徒達が立ち上がっている。
「卯月くん、どうしたんだい?」
そんな声は前の席から。
天然パーマの髪型に、黒縁の眼鏡をかけた優秀そうな前の席の男子――井上くんだ。
「あ、なんでもない。ちょっとぼーっとしてた」
「そっか。さ、早く行こう」
彼の言葉に僕もまた立ち上がる。
新しい教室に新しいクラスメート、そう、ここで僕の新しい学校生活が始まる。


今期のアニメ―――
 ドルアーガ
 仮面のメイドガイ
 穏の王
 RD 潜脳調査室
 彩雲国物語2
 狂乱家族日記
この6本に絞りました。なんだかいつもにも増して深夜アニメの本数が増えてますね。
傾向としては腐女子系が多いような気がしないでも……??
今期では、ドルアーガが意表を突かれました。第一話は飛ばしすぎですね。よもや30分まるまる妄想で終わるとはね。
仮面のメイドガイに至っては、コガラシが上品な方の小山氏を起用しているのが驚きです。
下品な方(ぉ?!)の方が合っていると思ったのですけれど。
ともあれ、どれもけっこう面白そうでございます。

13th Apr/2008


明日から忙しくなりそうです。
バタバタしてますよー。
そんな中ながらも、卯月くんのお話を。
今日は卯月くんは卯月くんでも、ドナドナされた弟の浩二郎の方を番外編としてご紹介―――


みなさん、初めまして。
そしてさようなら。
僕は卯月 浩二郎といいます。
つい最近まで長野の山の中でまったりと過ごしていたんですが、いろいろあって現在は、
「Oh! こんな子供があの魔女の弟子だって!」
「いやいやいや、むしろ日本で言うところの若いツバメってやつじゃないか?」
「「HAHAHA!!」」
左右を屈強な米海兵隊に囲まれながら、軍用ヘリっていうんですかね?
アパッチとかいう、映画でしか見たことないようなヘリで富士の樹海に向けて移動中です。
「あー、弟子とかツバメならまだましなんですけどねー」
むしろ今の僕は彼女にとって『非常食』でしかない訳で。
「食われたくなかったら生きて生きて、生き延びろ」
出会いがしらにそう言われながらこの数日生きてきました。
でも今日で多分死にます、だからみなさんとは初めましてでありながら、さようならなんです。
やがてヘリは夕暮れの樹海のある一点でホバリング。
「さ、降りるわよ」
コックピットの隣に座る彼女がさらりと後部座席の僕に言います。
「え、着地してないけど?」
答えることなく、彼女は上空10mほどあるでしょうか。扉を開けてさっくりと飛び出していきました。
それを僕の左右に座る海兵隊が唖然と見送りつつも、僕に期待のまなざしを向けてきます。
「え、いや、それは無理だから」
がしゃん!
「って、ちょっとーー、あーーーっ!」
「「HAHAHA!!!」」
ひょいと片手で首の後ろを摘まれて外へと放り投げられます。
お腹の底からくるなんともいえない浮遊感。眼前に迫り来る木々の緑。
思わず目をつむります!
がさがさがさがさ!
体のあちこちを木々の枝が引っかく音と、わずかに皮膚を裂いていくのが分かります。
そして最後に、地面との衝突。
ぽす
「あれ?」
体を襲う地面との衝撃はなく、あるのはふわりとしたものに包まれるような感覚。
恐る恐る目を開けると、ふわふわした白いものに受け止められていました。
「なにを惚けているの、しゃきっとなさい!」
「は、はい!」
ふわふわとした白いものは、僕を叱咤する彼女から生えていました。
それは妖狐のしっぽ。
普段は隠してある、9つの巨大な彼女の自慢の尻尾です。
僕が慌てて降りると、白いそれは瞬時に彼女の中へと収まってしまいました。
後に残るのは黒のタイトスーツに身を包んだ彼女と、落下のショックが抜け切らない僕。
重苦しい雰囲気を醸し出す樹海と遠ざかるヘリの音。
そして。
「来たか、妖狐」
「時間ぴったりでしょう」
「だが、いらないおまけもついているようだが」
木々の陰からまるで湧き出るようにして現れたのは、深緑のコートを羽織った中年の男。
鋭い目で僕を見つめています。それはまるで猛禽のそれのよう。
「なぜ兎など連れている?」
「連れてはいけない理由はあるのかしら?」
彼女の言葉に彼は黙る。しかしやがて、
「まぁ、どうでもいい。邪魔さえしなければな」
最後の言葉は直接僕に向けられたようだった。だから僕は全力で首を縦にぶんぶんと振る。
その頃には西の空は群青に染まり、日はその姿をほぼ空の向こうに没していた。
途端に冷気を伴った夜気があたりを満たす。その速度は速い。
視線を周囲にやるとそれもそのはずだ。あたりは大小の洞窟が夜の闇よりも深い黒を宿しており、しきりに冷気を吐き続けていた。
風穴だ。
「ところで八咫、アンタこの闇の中で大丈夫なの? 鳥目でしょ」
彼女に八咫と呼ばれた中年は、フンと鼻で笑う。
「誰に向かってそんな口をきいている。私は神鳥だぞ、八咫烏を舐めるでないわ」
八咫烏――3つの足を持つとされる烏。
古くは日本神話の中において、神武東征の際にタカミムスビによって神武天皇の元に遣わされ、熊野から大和への道案内をしたとされる神鳥だ。
改めて彼女の人(?)脈に感心する。
「あー、いや」
彼女は八咫烏に小さく首を横に振ると、視線をその後ろに向ける。
「見えているんだったら良いんだけどね」
つられて僕も彼女の視線の先を追う。八咫烏もまた振り返ってそれを見た。
僕はそいつを確認した途端、正直に言うと。
おしっこ少し漏らした、ごめんなさい。
「ヒョヒョヒョヒョヒョゥゥゥゥゥ!!!」
そいつが発する臓腑をえぐる様な甲高い怒声に、僕の体は硬直する。
サルの顔、タヌキの胴体、トラの手足を持ち、尾はヘビの、大きなクマの2倍の大きさはある、おぞましい姿をした四足獣。
そいつが八咫烏の少し後ろにいつの間にか存在していた。
鵺。
今回、彼女に託された指令はこの鵺の討伐もしくは捕獲だ。
鵺の発した悲鳴は聞くものの戦意を殺ぎ、硬直させるという。ずばり、今の僕だ。
しかし妖力によって耐性を上げることでそれは回避できる。
八咫烏である中年の男には効かなかったようで、すぐさま鵺から距離を置いて構え直す。
彼女に至っては鵺の『畏怖の叫び』など効果判定するまでもなく効いていない。
「八咫、予定通りに行くわよ」
「うむ、頼むぞ」
彼女はそう言い捨て、鵺に向かって駆け出した。
迎え撃つ鵺は丸腰の彼女に前足の鋭い爪と、尾の蛇の牙を繰り出す。
それらの多重攻撃を彼女はまるで軌道を前もって知っているかのように紙一重で交わしていく。
妖狐である彼女の能力『未来予知』の短縮使用だ。
もともと妖力を多大に消費する未来予知の能力だが、予知が一瞬の未来の短時間のものであれば消費する妖力も少なくて済む。
しかしその為には、一瞬の予知をすぐさま行動に反映して実行するだけの高い身体能力が必要となる。
未来予知の能力を身に付けた妖狐は数多くいれど、彼女のような使用方法を実行する者はこれまでいなかったと聞かされている。
鵺の爪と尾の牙、そして猿顔の噛み付きの攻撃をも受け流し、その巨大な獣の懐に入った彼女は右腕を大きく振り上げた。
五指に光は鋭く伸びた爪。
それをざっくりと、鵺に向けて振るう。
鵺の首へ、手足へ、そして尾へ。
ちょっと押したら折れてしまいそうな爪の刃はしかし、鵺の肉体に直接のダメージを与えたわけではない。
「因果を断ち切る」
彼女はヘリの中で僕にそう言った。
時間干渉の能力を持つ妖狐には、捩れた因果を切り断つ力があると聞く。
鵺の前足の渾身の一振りを、彼女はまたしても交わすと、大きく後ろへと飛んで鵺との間合いを開いた。
「八咫!」
「応っ!」
これまで沈黙していた八咫烏が彼女に答える。
彼女は五指を鵺に向け、こう叫ぶ。
「因果、斬!」
「ぐ」
唸る鵺。次の瞬間、鵺の肉体は4つに別たれていた。
狡猾な猿、巨大な狸、獰猛なトラ、そして猛毒の大蛇へ。
その4匹に向け、八咫烏がまるで翼を開くようにコートを捲し上げる。
そこから飛び出したのは4本の矢。
平家物語に登場し、鵺を討ったとされる源頼政が繰り出した山鳥の尾で作った尖り矢と同じ、八咫烏の羽で作った矢だ。
タタタン!
小気味よい音を立ててそれらは4匹の獣達に命中。それぞれを地面へと生きたまま縫い付けた。
「捕獲完了」
呟く八咫烏。
「よし、ご苦労様」
「いや」
しかし僕は見た。
地面に縫い付けられたトラが、己が身を引き千切りながら立ち上がるのを!
「まだです!」
叫ぶ僕に2人の戦意が戻る。
「あ」
僕の声はトラの注意を引くのに充分だったようだ。黒い血を流しながら一直線にトラは僕に襲い掛かる!
トラの放つ殺気に呑まれ、情けないかな、僕は足が動かせなくなっていた。
「チッ!」
僕のものではない舌打ち1つ。
目前で何かがトラとぶつかり、そのままトラの方が数m後ろへと吹き飛ばされた。
「くそっ、だから何だって兎なんかを連れてきたんだ、アイツは」
八咫烏だった。こちらに振り返る彼はトラと同様、黒い血を肩から脇腹に向かって裂かれた傷から滝のように流している。
怒りに満ちた彼の視線に、思わず僕は身を小さくして、しかし身を挺して守ってくれたことに感謝を述べる。
「ご、ごめんなさい。ありがとう…」
「あ、え、あ、あぁ」
何故か面食らったように八咫烏は頷いたような頷かないような。
――卯月 浩二郎は『魅了』を習得した――
「え、なに? このアナウンス??」
「こら、コジロー! いらん能力を習得するな!!」
遠くから彼女の怒声が飛んでくる。
「それと、逃げろよ」
「へ?」
流血に膝をつく八咫烏の後ろ、身を起こしたトラが再びこちらに向かって襲い掛かってくる!
まずい。
思わず伸ばす手は、失血で動けない八咫烏へ。
掴むと同時、目の前には手負いのトラの、獰猛な爪の一撃。
「僕は」
振り下ろされる、絶命の一撃を睨みつつ僕は叫ぶ。
「逃げる!!」
叫びは力となり、身の内に秘めた能力が具現化した。
恐怖で硬直していた両足は、物理法則と空間を捻じ曲げる力を宿し。
ぶん!
トラの一撃は、空を切った。
八咫烏を抱えた僕は、彼女の隣に瞬間移動していた。
――卯月 浩二郎は『脱兎』を習得した――
「よし、よく身に付けたわね」
へたりと座り込んだ僕の頭を彼女は乱暴に撫でて、トラを睨む。
手負いの獣ほど始末の悪いものはない。
「八咫、捕獲は無理ってことでいいね?」
「…仕方あるまい」
八咫烏の搾り出すような答えを聞くと同時、彼女の両手から炎が揺らめいた。
狐火だ。
ゆらゆらと揺らぐそれは、こちらに全力で駆けてくるトラを包むと、
じゅっ
まるで紙を燃やすように一瞬にして炭へと変える。
ボボボッ!
トラが燃えるのと連動して、他の3体も炎に包まれた。まるで離れていても同じ1つであったかのように。
そして。
気付けば今までの戦闘が嘘のように、静かな樹海の夜が戻っていたのだった。


みなさん、こんにちは。
そして今度こそさようなら。
今、僕達は伝説の鬼が島へと向かっています。そう、桃太郎が退治したあの島です。
なんでも封印されていた鬼達が復活したとのことで、再封印のために乗り込むのだそうです。
今回は前回お会いした八咫烏さんと、初めてお会いする犬神さんの3人+おまけ1人の計4人です。
「あのー、さつきさん?」
「コジロー、私のことは師匠と呼びなさい」
「あ、はい、師匠。なんでどう考えても足を引っ張る僕が同行するんですか?」
僕の問いに妖狐の師匠は「ウィザードリィで新米冒険者をスパルタするために熟練と組ませて9階行くような感じ」と言われたんですが、なんのことやらさっぱり分かりません。
鬼って強いんですよ、指先1つで僕なんてダウンです。
今度こそ死地です。
ただただ今は、兄の総一郎の幸せを願うだけなのです。
もしも。
もしもまたみなさんに会うことができたら、こうして話を聞いていただけると嬉しいなって思います。
それでは!


卯月くん話を『白黒双月』としてまとめてみました。
一部、加筆修正してあります。よろしゅう!

15th Apr/2008



城壁に咲く しだれ 冷やしラーメン

本当は前回で最後の出張だったのですが、色々あって今回こそが最後の出張に行ってきました。
後輩君に仕事を引き継ぎつつ、得意先の皆さんに会っていくと「なんだかんだと付き合い長かったなぁ」と実感。
物思いに耽りつつ、仕事が終わって後輩君と2人で呑み。
相変わらず肴と日本酒が旨いなぁ。

翌日である本日はお昼の飛行機まで時間があるので、山形市内をふらふらと。
駅のそばにある霞城公園という、城壁が残っている公園に足を運んでみると、桜が満開です。
関東では散ってしまいましたが、東北では次の土日くらいまで満開っぽいですね。
あいにく小雨日和でしたが、お花見イベントもやっていて目の保養になりました。写真は城壁沿いの桜と、しだれ桜。

お昼ごはんに、るるぶなんかに載っていて有名と教えてもらったラーメン屋さんで元祖「冷やしラーメン」をいただきました。
冷やし中華と違います。
冷えてるラーメンです。だしはかつお節と昆布かな??
あっさりしてて、夏に食べるとすっきりするかも。氷も浮いていてびっくりでした。
食べたら、ちょっと寒くなりましたわ(^^;

19th Apr/2008


さぁ、GWに突入です!!
……今年の連休は、ちっとも大型じゃないけどな(><)
普通に連休のある週が2回あるだけって感じですね。
暦の非情さ(休みがあるだけ良いか)にめげず、久々に卯月くんのお話の続きをば―――


体育館で行われた入学式は特に際立って変わったこともなく終了。
もっとも長い長い校長先生の話に、途中記憶がないだけという説もある。
睡魔に襲われた入学式も終わり、再度教室へ。
担任の楠木先生から今後の授業のカリキュラムの説明があり、本日は午前中で解散ということになった。
最後に。
「明日から授業が始まるわけだが、各委員を決めておこうと思う」
教壇からクラス中を一望する楠木先生。
みな、一瞬の間に下を向いた。視線を合わせることが危険と本能的に分かっているからだ。
無論、僕も視線の先を慌てて机の上に向けた。
「まず委員長だが、これは男女各1名で俺が決めよう。さてさて」
しかし楠木先生の視線が明らかに僕の方を向いて止まっている。
「井上、お前やれ」
「はい」
先生の視線は僕の前の席、井上くんに向いていたようだ。
強制的な命名に、井上くんは特に嫌がる風もなくむしろ進んで返事をした。
「じゃ、女子の方は…」
再度クラスを見回す先生に対し、
「私がやります!」
鋭い声を上げて挙手したのは、教室の真ん中あたりに座った長い髪の女の子。
「ん? 西岡か。じゃ、井上と西岡でこの後の各委員決定を進めてくれ」
投げやりに言う先生。
自ら立候補した西岡さんは、井上くんを睨みつけているように見える。
一方の井上くんは特に表情を変えず、笑顔で西岡さんに「よろしくー」なんて言っている。
「それでは各委員を決めたいと思います。立候補ありますか?」
先生の代わりに教壇に立つ井上くんと西岡さん。
即席と思われた委員長コンビはなかなかどうして手馴れており、
「緑化委員は柚木くんで決定、と。次は」
特に誰からも異論を挟まれることなくスムーズに委員を決定していったのだった。

おそらく一年生クラスの中では一番に終わった僕達C組。
めいめいに帰宅準備を始める中、僕の机の上にはすでにカバンの中に入っている今後の時間割等が記載された書類の束がもう一部置かれた。
置いたのは西岡さんだ。
「卯月くんは保健委員でよかったわよね」
「う、うん」
先程、井上くんと並んで立っていた時に鋭い目をしていた西岡さんはしかし、今は穏やかな印象を受ける。
「今日一人、女子で朝からいなかった子がいたでしょ?」
僕の左後ろの席、ずっと空いていた席に目を向ける。確か、
「此花さん、だったっけ?」
「そう。彼女、朝は登校したんだけど、校門付近で倒れたらしいの。貧血体質みたいね」
「へぇ」
「で、今は保健室で寝ているわ。彼女にはこのプリント渡して、今日のホームルームでの内容を簡単に伝えてあげてくれるかしら」
拒否は認めない、そんな口調はしっかり残っている。
「ん、了解。でもその此花さんって子、初日から大変だね」
「そうね、結局入学式に出られなくて、クラスに顔出しづらいと思うけど」
西岡さんはそこまで言って僕の顔を見る。
「けど?」
「卯月くんは人畜無害そうな顔してるしね、彼女の緊張をとってあげるのにも一役買ってきてね」
「人畜無害そうって…」
それは褒められているのでしょうか? なんだか複雑です。


出かけようと思ったら雨が降ってきおったわい。
どうするかなぁ。

26th Apr/2008


お休みの本日、高校〜大学からの友達と東京をふらふらしてきました。
東京ミッドタウンに行ったことがなかったので見てきましたよ!
ちょうど一周年らしいです。でもあれだ、おしゃれな空気が2人とも耐えられませんでした。
そこからついでとばかり六本木ヒルズへ。
ここは展望台があるので登ってみることに。下界を見下ろしてやる!!
と。
なんとスカイビューというものが先日オープンされたそうで、ヒルズの屋上に出られるのです。
風が強かったり雨だと中止なんですが、風も弱く天気も良い。
絶好の展望台日和(?)です。
眺めは良いですね、もしかしたら東京タワーよりも高いかも。
直接風を感じられるのが良かったです。空も近く感じました。
ただ、ヒルズの展望台は入場料が美術館とセット券になっていて¥1,500するので割高かもしれないです。
ちなみに美術館も見たんですが、芸術わかんねーー!
その中でも特に、
「もう、いっそなにもなくてライトだけ置いてみたよ。点滅時間で表現さ!」
なんて作品がびっくりでした。それって作品じゃねーよ(^^;

29th Apr/2008


四連休初日です。
ジム行って久々に汗を流した後、スーパー銭湯で体をほぐしてきました。
んで、これを書いている今は夜。
すげー眠い、運動に体が慣れていないとすぐ限界来ますね。
ビールでも呑んで、さくっと寝るかなぁ。


昨日今日となかなか進んでいなかった「Mebius Ring」の修正をごりごり書いてましたよ。
二章の後半までたどり着きました。まだまだ先は長いなぁ。
と、チラシの裏にでも書けばいいことをつれづれと。
明日か明後日は卯月くんのお話書きますー。

3rd May/2008


秩父の羊山公園へ芝桜を見に行ってきました。
ちょっと満開を過ぎてしまったみたいでしたが、きれいでしたよー。
でもすごい人だかり。さすがGW期間中だけあって、観覧者は多かったですね。
久しぶりに長距離運転したぜぇ、ふぅ。
さてさて、卯月くん話でも1つ。


校舎一階の西側は一番端に保健室はあった。
一般教室がある区画と異なり、美術室や音楽室といった特別教室が周囲を占めているこの区画は静かだった。
遠くに生徒達の雑踏が聞こえてくるくらいで、付近には音を発するものがないようだ。
僕は一人、保健室の扉を叩く。
しばらく待つ。
「あれ?」
返事がない。保健の先生がいると思ったのだけれど。
「失礼します」
ガラガラっとできるだけ静かに扉を開ける。
中は白一色に統一され、大きな窓からは穏やかな西日が差し込んでいた。
本来保健の先生がいるはずの椅子は空で、机には飲みかけのコーヒーカップが置かれている。
湯気も立っていないことから、席をはずして結構時間が経っているようだ。
入って右手にカーテンで仕切られたベッドが2つ。春の風に薄地のカーテンが揺らめいている。
その2つのベットのうちの1つに横になった人影が映っていた。
「此花さん?」
声をかけてみる。
返事はない、寝ているのかもしれない。
僕は手にしたプリント類とカーテンに仕切られたベットの2つへ、交互に視線を向けて考える。
とりあえず枕元にプリント類を置いて、帰らせてもらおう。
しばらく考えてこの結論に達し、僕はカーテンに手をかける。
シャッ
思ったより大きな音がしたのに自分で驚いてしまう。
起こしてしまわなかっただろうか? 寝ている此花さんに視線を向けた。
「!」
白いベットの上に墨のように黒い髪が広がっていた。無機質な白と黒。
だがその中心にはわずかに赤みを帯びた白い顔がある。その有彩色がなければ、端麗な人形と思ってしまったことだろう。
そしてそんな彼女に僕は間違いなく面識があった。
「桜の、精??」
思わず漏れた呟きに、昨日土手で出会った彼女の眼が薄く開く。
「こんにちわ、うさぎさん」
力ない声で彼女は目を覚まして言葉を放つ。
「どうして君がここに?」
「貴方はどうしてここにいるの?」
問いに問いで返されて言葉に詰まる。
そんな僕を彼女はまじまじと見つめると、
「私も貴方と同じ」
「同じ?」
「人とのよりよい共生を目指すために。人のことを学びにここへきた」
上体を起こしながら桜の精こと此花さんは告げる。
「貴方もそうでなくて?」
「あ、うん。大体そんな感じ」
まさしくその通りなので頷いてしまう。
此花さんはそれを聞いて、乏しかった表情からうっすらと笑みの色を浮かべる。
ついいつまでも見ていたくなってしまうような、やさしげな微笑だ。
「同じ希望を目指す者同士、これからもよろしくね」
右手を差し出してくる。弱々しい、細い手だった。
「そっか、こちらこそよろしくね」
支えるように彼女の手をとる。
柔らかな感触の中に、しっかりと握り返された。
「でも初日から具合が悪そうだね」
「えぇ、本体から長い時間離れたことがなかったから。学校内の木々や草花にもサポートしてもらっているのだけれど、まだなかなか慣れなくて」
そうだ。
彼女のような樹精は普通は本体である自身の樹から離れることはできない。
だが地脈を利用した植物のネットワーク(ユグドラシルネットワークというらしい)を介することにより、意識体として自らの区画以外に姿を現すことができる。
しかしこの方法には植物達それぞれの担当区画に対して一度一度の許可が必要であり、おいそれと実行できるものではない。
まして、彼女は意識体だけでなく実体も伴っている。
これが可能なのは植物の根源である世界樹ユグドラシルか、もしくは全ての植物から助力を惜しまずに協力される立場――すなわち植物界からの特待生であることだ。
「自分の根から栄養を摂るのと違って、ここで頂ける活力はちょっと味が違ってて…少しづつ慣れていくしかないわ」
「日本食しか知らなかった人が、タイ料理食べるような感じ?」
「分からないけど、味付けが違うという意味では同じかも」
言いながら彼女はベットから足を下ろして立ち上がろうとする。
しかしフラリとよろめいて、またベットに戻ってしまった。
「頭がボーっとする」
「家、というか帰るところはあの土手のところで良いんだよね?」
こくりと彼女は頷いた。
「じゃ、そこまで送るよ」
言って彼女に背を向けてしゃがんだ。
「でも」
「同じ希望を持つもの同士、協力ってことで、ね?」
背にわずかな逡巡を感じた後、そっと彼女の手が触れてきた。
背中に感じる此花さんは驚くほど軽かった。
「ありがとう、ええっと」
「卯月。卯月 総一郎だよ」
「ありがとう、卯月くん。私は此花 さくら」
「さくら」
「…そのままな名前だなって、思ったでしょ?」
「あー、いや、そんなことないよ」
至近距離で視線が僕の横顔に突き刺さっている。そちらを見ないようにして僕は帰路を急いだ。
「……私もそのままだなぁって思ってる」
と、背中の此花さんは苦笑いを浮かべたようだ。
「でもこの名前を彼女に付けて貰ったから、私はより確定した自我を持つことができたの」
「彼女って?」
「お花とお酒の大好きな狐さん」
ふふっと小さく笑う此花さんの吐息が耳にくすぐったい。
「卯月くんはうさぎだから、会ったら食べられちゃうかも」
「それはお会いしたくないなぁ」
そんなことを話しながら、僕の登校初日は幕を閉じた。
後日、此花さんを背負った僕を見たクラスメートから、彼女との仲を勘繰られたりしたのは失敗だったけれど。


さて、今回で導入編が完了です。
次回より小話形式が続く形をとっていきます。
お付き合いいただけると幸いです。

5th May/2008


GW後の土日。
3日間の労働が長く感じましたよー、休みはイイネェ。
そして来週は出張続きます。死なない程度にがんばってきますよー!
さてさて、卯月くんのお話をば。
今回は前後編でいってみまーす―――


部活動。
それは学業とは別に、生徒の自主性に任せられた課外活動。
特にこの学校の場合は「他人の迷惑にならなきゃ何でも良いよ」的な要素が強いため、様々な活動団体がある模様。
またこの自由さから、別に入らなくても良いとも言える。
「僕はアニゲー同好会に入ったんだ」
昼休み、お弁当をつつきながら柚木 彼方はそう言った。
様々な食材が見て取れる、結構豪華なお弁当だ。
「アニゲー??」
「アニメとゲームを扱ってる同好会だよ」
「へぇ、すごいね」
この2つはお隣の土屋さんに見せてもらった。あんなのを作れるんだ、すごいな。
「……えーっと、卯月くん?」
「ん?」
彼方は上目がちに僕を見ている。
「もしかして、なにか勘違いしてない??」
恐る恐る訊いてくる彼方に、僕は購買で買ったイチゴジャム入りコッペパンをこくりと飲み込んでから答えた。
「?? 作ってるんでしょ、アニメとゲーム」
「いやいやいやいや!」
ぶんぶんと首を横に振る彼方。
「作れないよっ、見る方だよ、楽しむ方っ!」
「へぇ、そんな部活動もあるんだね。まるで遊んでいるような…」
「うぁ、なんて耳に痛いことをっ」
器用にタコさんの形に焼いてあるウィンナーを口に運びながら彼方は沈んだ顔で言った。
「卯月くんは部活はもう決めた?」
気を取り直してか、彼はそう尋ねてくる。
「んー、引越し後の準備とか挨拶とかでばたばたしてて、まだぜんぜん決めてないや」
「そうなんだ。どのへんに引っ越してきたの?」
「駅向こうにあるアパートだよ、猫寝荘ってところ」
「ふーん、ご家族は何人で?」
「一人暮らしだけど」
「えぇ、そうなの?!」
びっくりした表情で彼方。
「大変でしょ、高校1年で一人暮らしなんて」
「大変というか…ご近所付き合いが大変なくらいかなぁ」
思わずため息。
猫寝荘の住人はみな一癖も二癖もあって、おかげで色々巻き込まれてしまい引っ越してきてから暇な時間がほとんどなかったりする。
「で、部活動事体は入るつもりないの?」
「一応、落ち着いたらあちこち見学してみるつもりだけど…って」
今の質問は彼方の後ろから。
彼方の弁当を勝手につまみながら、彼と同じ顔の女子がそう尋ねて来る。
「遥。ここC組だけど?」
「お昼休みくらい別にどこいたっていいだろーが」
弁当をブロックする彼方の包囲をくぐって、今度はから揚げを奪っていたりする彼女。
「そんなことより、陸上部に来ないか、陸上部!」
「遥は陸上部入ったのか」
「あぁ、目指せオリンピックだぞ」
どこまで本気か分からない目をして言う。
「陸上部か、活動は忙しいんでしょ?」
「毎日朝練から始まって夕方までみっちり」
「パス」
「何故?!」
身を乗り出して訊いてくる遥。
「いや、だって」
「だって?」
「一人暮らししてて、生活費多分足りないからバイトもしなきゃいけないし」
「自炊すれば安く済むぞ。おまけに弁当作ってくれば昼飯も購買で買うよりずっと安くなる」
「いや、自炊はしてるけど」
どうにも安くならない。
多分、同じ料理として何日分も作り置きしてれば浮くのだと思うが、一人分だとよっぽど材料をうまくまわさないと安くならないと思う。
そんな僕の表情を読み取って、彼女は思いついたように、ぽんと手を打った。
「じゃ、オレが作ってやろう」
「はぃ?」
なんだか急に話が飛躍していないか?
それ以前に、遥に料理ができるのか??
疑問を抱きつつ、彼方を見る。
「あ、このお弁当は遥が作ってるんだよ」
申し訳なさそうに彼方は自らのお弁当を僕に改めて見せる。
そしてその隙に今度は卵焼きが略奪された。
「へー、雪音さんといい、遥といい、結構みんな料理が巧いんだなぁ」
ちなみに姉の乙音さんは巧いとは言いがたかったけれど。味が宇宙風味だ。
「雪音さん?? 誰?」
なぜか遥に睨まれる。思わずうろたえつつも、僕は簡単に説明。
「アパートの隣の部屋に住んでるお姉さん。この学校の2年生だよ」
「へぇ、総一郎はずいぶんその人と仲良いみたいだな」
「お隣だからね」
「ふむふむ、なるほどなるほど」
なんか頷きながら、遥は僕らに背を向け、教室を出て行く。
「な、なんなんだ、彼方?」
「さ、さぁ??」
それを見送る僕ら。
と。
「きゃ!」
「おっと」
教室に入ってきた女子と遥がぶつかって、入ってきた女子の方が倒れたようだ。
声は此花さんのものだった。
「悪い、ぼーっとしてた」
「いえ、こちらこそすいません」
遥に助け起こされて、此花さんは微笑を浮かべる。
こうして見ると、まるで対照的な2人だ。
此花さんは教室を見回すと、僕と視線が合った。そしてそのままこちらに向かってくる。
「総一郎さん、次の土曜日は学校が終わった午後から時間空いてるかしら?」
「ん。特に何もないけど、どうしたの?」
「ちょっと行ってみたい所があって。付き合ってもらえるかしら?」
「あぁ、良いよ」
と、答えたその時。
「ちょっと待ったぁ!」
まだ自分のクラスに帰っていなかったのか、遥が割って入ってきた。
「な、どうしたの??」
「あ、いや、その、なんだ」
挙動不審げにきょろきょろと彼女は辺りを見回すと、
「オレと彼方も半ドンのあとは暇でさ、一緒に付き合うぜ!」
「え、僕は部活…」
「付き合うぜ!」
「ぅ、ぁ、はぃ」
迫力に押されて兄であるはずの彼方は勢いに押されて頷いた。
「遥は陸上部の練習は…」
「ない」
きっぱりと僕の質問を途中でぶった切る遥。
一体なにがなんだか??
こうして次の土曜日は4人で駅前にある、とある施設へと向かうことになったのだった。


部活の選択で学生生活のバランスが大きく左右されると思うのですが、いかに?!

11th May/2008


韓国出張に行ってきました。
今回で何回目だ??
毎度からすぎる料理に翌日つらかったのですが、今回は体が慣れたのか、はたまたチゲ系が少なかったこともあったのか、ずいぶん食については楽でした。
向こうは日本より若干寒い程度。過ごすにはいい時期かもしれません。
仕事でなかったらゆっくりしたんだけどなぁ(早朝出の翌々日深夜帰り)。
慌しい一週間でございましたわ。

16th May/2008



咲きみだれ


近所で観光名所にしようと企んでおる「お花畑」に行ってきました。
小手指駅から歩いて20分くらい。ずいぶん前から畑を休耕させている間に花でも植えておくかーが始まりっぽい。
年々、その面積が拡大して今年は畑6つ分くらいの面積でやってる上に、案内員とか付いてましたわ。
主に矢車草とかポピーを中心に咲かせていて、今週いっぱいが見ごろです。
来年はもっと大掛かりになりそうなヨカン(^^;

17th May/2008


き、気力が……

19th May/2008



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